質屋のスタッフブログ
2022年02月07日
鴫原質店の弟さんです。
今回はある腕時計の防水性能についての色々です。それがこのGLYCINE(グリシン)のAirman(エアマン)、型番はGL0161という腕時計について。24時間表示の一風変わった自動巻時計で、回転ベゼルを使う事で2か国の時間表示ができます。1914年に設立された老舗メーカーで、戦時中などに軍に時計の供給を行っていたとか。様々な復刻版のモデルがあるようですが、このエアマンNo1は1953年に発売された36mmサイズを再現した限定1000本の限定モデルという事。商品説明をしたいわけではありませんが、小ぶりの時計が好きな私は結構魅力を感じるお品物です。
さて、今回は裏蓋にあるこの防水性能表示について。「1ATM」と鮮明に刻印された1気圧防水というこの文字の意味。商品説明を記載する為に色々調べていたスタッフさんが、「ケースの1ATM刻印はメーカーの製造工程ミスで10気圧防水が正解、そしてメーカーもそれを認めている」というような記事をインターネットで見たとの事。「そんな事はあるはずない」と思いましたが、そんな事が書いているページが確かにありました。インターネットに書いてある一つの情報を鵜呑みにせず、根気よく情報を集め続けます(インターネットですが・・・)。別の店舗では生活防水と書いていたり確証までなかなか辿り着けません。「1ATM」と刻まれている事実に、真実が分からないネット上の情報が迷いを与えてきます。「メーカーが認めている」って言葉がとても力強いから迷うんですよね。
という事で社長さんがメーカー様に直接メールで聞いてくれました。「最近GL0161を買ったけど、裏蓋にある1気圧防水ってホント?」って感じの意味だと思う。
その返答がこちら。「前と裏蓋の写真送って」って感じですか?。(違ってたらすみません)
そして写真と共に送ったメッセージ。「写真をご確認下さい」という意味だと思われる。
そして頂いた返答がこちら。「1気圧で間違いない」という意味だと思う・・・。1ATMって刻印があるから「1気圧で間違いない」と答えられたのかもしれない・・・。データとか確認頂けたのかは分かりません(汗)。
写真にやり取りしてるアドレスも意図して載せてますが、製造メーカーから「1気圧で間違いない」との返答を頂きました。インターネットに書かれているがいつも事実とは限りません。ただ当店では「1気圧」と明記するになると思います。もちろんメーカーの担当者によって返答が変わる可能性も否定できないし、多くの時計を製造販売しているメーカーであれば全ての情報があるはずもない。「ケースの製造表記ミス」疑惑だって理由があって出てきた話だと思うし、私には本当に何とも言えない。でもメーカーに確認してメーカーの担当者が言っているので、今時点ではこれが事実なのでしょう。
時計の背面からリューズを抜いたところを撮影しました。リューズパッキンなども見えず、リューズと本体との接触面に何かしらの特殊構造も見られない。そういう部分を見ると防水性能表記に間違いは無さそうだ。
という事でやっぱり防水性能は「1気圧」という事になるらしい。だってメーカーも「1気圧」って言ってるもん!(涙)。日本で言う生活防水は3気圧なので生活防水すらないのですね。防水検査(気圧テスト)でこの時計の防水性のを計測する手も思いつきましたが、そこまでする意味を感じないのでやりません。だってメーカーが1気圧防水って言ってるし刻印されてるし。ってな感じで何だか色々と考えさせられる案件でした。情報へのアクセスが簡単な現代において、情報を発信する側も受け取る側も色々と大変です。
本日は以上でございます。
2022年02月02日
鴫原質店の弟さんです。
昨日の買取品の中に初めて手にした品物があったのでご紹介します。こちらは1972年に開催された札幌オリンピック冬季大会の記念メダルです。50年も前の品物ですが、よく残ってるな~というのが初見の感想かな。
恐らく今後みる事がない可能性が高いので付属品もチェックしときます。尚、画像の下の文字はケースを開けた上蓋に記された文字です。
小さな冊子にはメダルの関する情報が記載されていました。メダルの直径は30ミリ。品位は純プラチナで36グラムとの事。当店の計りでは何度やっても36.1グラムを計測してしまいますが・・・・見間違いか?。
表のデザインはこんな感じです。北海道の上に聖火が描かれているのかな。冬季大会の記念品なのになんだか暑そうなイメージのように思えます。
裏面のデザインはこんな感じです。「第11回」という最初の文字が「札幌」という文字に干渉してるところが少し残念だと感じました。第11回目の冬季オリンピックである事を第一に考えて欲しかったと思うのは私だけでしょうか?。ここに自己アピール的な感覚はいらない気がします。
細かい部分を見てしまうのは性分か。文字自体や文字の間で隙間が大きいと鏡面仕上げになってるのに、間隔が狭い部分は文字の一部と同化しています。技術的な問題か、時間的な問題か、費用的な問題か、良く分かりませんが今時の技術ならやってやれない事はない点が気になります。
一番気になったのはこの鋭利な角。大げさではなく下手したら手が切れる位に角ばっていて持つと痛かったです。現代の感覚で言うと角を落とすの当たり前だと思いますが、これも時代の流れなのか?。それともオリンピックのメダルって角が鋭利なのか。知る由もなしですが・・・・。
北京2022オリンピック競技大会がもうすぐ始まりますが、50年も前のオリンピックの記念品が目の前にあるのが不思議だ。でも待てよ・・・・。オリンピックって4年に1度(?)。50年前にオリンピックが開催されているのは何故だ?。と思って調べてみたら、1992年の次の冬季大会は1994年に開催されていたので2年間短縮されたようです。理由は知りませんが、それ故に50年前なんですね。
オリンピックは「平和の祭典」と言われております。開催年号を調べてみると1940年と1944年は開催自体が中止されており、これは一般的に言われる第二次世界大戦の影響なのでしょう。そう考えると、もうすぐ始まる北京オリンピックの開催はとても喜ぶべき事なのだと改めて実感させられます。雲行きが怪しい世界情勢だと感じられるニュースが散見されますが、世界が平和である事を望みながら、オリンピックでの日本選手の活躍を期待したいと思いました。
本日は以上でございます。
2022年01月22日
鴫原質店の弟さんです。
市場(業者間オークション)に参加していた時、出品されていた品物に不思議なものがありました。こちらはルイヴィトンのアマゾン(M45236)というバッグで、20年前位に爆発的に流行した知ってる方も多い品物です。バッグの名前などはどうでもいいのですが、背面から鋭利な何かでザックリと切込みを入れたような状態で、内部が完全に露出した状況でした。「何をしたらこうなるんだろ?」とその状況を意味もなく想像してしまいます。「刺された?」「刺した?」「ストレス解消?」「八つ当たり?」などか?。そもそも空想する時間が無駄だだけど・・・・・考えてしまうのは性格のせいです。
考えてみれば内部を見る事ができる貴重な機会かも。一般的な業界語で「トアル地」と呼ばれているモノグラムやダミエで使われているこの素材は、丈夫な綿素材にコーティングを加えた素材ということ。普段は表面のコーティングされている部分しか見えませんが、素材の裏をマジマジと観察する事ができます。背面はとても細かく編込まれた丈夫な繊維質の素材(画像の左側)。触れてみるととても丈夫な素材である事が再確認できます。内張りの内側(←言い方が難しい)はザラザラとしたコルクが連想されるような素材で造られおり、湿気などにも強そうな感じですね。
向きを変えてもう1枚!(パシャリ)。
内ポケットまでザックリと刻まれた断面により普段みる事のない部分が観察できます。凄くどうでもいい話ではありますが、切り口を見ると数回に分けて強い力で引き裂いたという感じでしょうか。鋭利な刃物だとしても一刀両断とはいかない強度なのかもしれないですね。
そしてこのようになったバッグはいくらで競り落とされたのでしょう!?。何と最高落札価格は5千円でございます。5千円は確かに凄い金額だと思いますが、発句が千円に対して1~3千円で多くのバイヤーが声を出しており、たまたま5千円つけた方がいたという感じに見えました。内張りがベタベタで外側のダメージが大きい同じバッグが3千円で競り落とされている状況下で、刻まれたバッグが5千円というのも物珍しさへの敬意なのか?。
韓国のユーチューバーがルイヴィトンの大きなバッグを分解してトアル地を採取し、その素材を器用に利用して、ルイヴィトンの再生品のようなものを制作している動画を見た事があります。どうせ素材を取るのであれば旅行カバンのジャンク品などから大量のトアル地を採取した方が効率は良さそうなので、今回のケースでは素材集めに購入した可能性は無さそうかな。色々な立場の人々が集まる市場なので、全てを理解する事などはできませんが、この品物の使用用途を色々と考えてしまいました。未熟な私には理解できない値段ですが、正規品の中古を販売するという枠からは逸脱した値段である事は間違いなさそうで参考程度にと考えています。このバッグをもし店頭に5千円で展示しても売れる気がしないしね。
本日は以上でございます。