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質屋のスタッフブログ

万年筆

こんにちは。鴫原質店の弟さんです。

古物買取品の中にペン先がゴールド(K18)の万年筆がありました。古びた万年筆古びた万年筆何かのブランドのようですが、腐食もひどく商品にはなりません。実のところ、こういう商品は比較的多く見ますし、今までも多く扱ってきました。景気のいい時に流行った一般ぜいたく品なのかも。

このペン先の金の重さについて、店内で意見が割れたので計ってみることに。18金のペン先18金のペン先0.4グラム~0.6グラムというのが経験上の推測です。また個体によって造りも変わり、それにより重さも変わるので一つの参考にするだけです。因みに見た目から重さを推測することも実は重要スキルで、私は0.5グラムと推測しておりました。

壊すと決めれば簡単に外せます。18金のペン先を破壊18金のペン先を破壊横から時計のオープナーをこじ入れちゃいましょう。

外れた姿を見て思うのは「薄っ!」ってこと。外れたペン先外れたペン先マジでペラペラだ。0.5グラムあるかな…‥‥と不安になりましたが、それこそが私のスキル不足で自信がない証拠‥‥‥‥(涙)。

そしてグラムを計ってみます。ペン先の重さペン先の重さなんと0.6グラムもありました。色んな意味で推測が外れまくりで、少し恥ずかしいです(哀)。

万年筆のペン先などメーカーによっても形が違うので、もっと軽いモノもあろうかと思います。なので本当に参考までに。壊す場合には注意点も!。インク汚れインク汚れあちこちがインクのせいで汚れます。捨ててもいい紙の上などで破壊した方が後で楽できます。

今回は腐食が酷い上、変な思い付きがあった為に壊しましたが、使用可能な万年筆は商品として金以上の価値で販売できます。リユース可能な商品は大切にしたいので、状態のいい商品は次のユーザーをできる限り見つけてあげたいところですね。

しかし万年筆か~、多分一万年使えるという意味だと思うので、ネーミングセンスは本当に凄いと思うんだけど、整備し続けた場合に実際にはいったい何年くらい使えるのでしょうか?。腐食に強い素材で造れば、数十年使うこともできるとは思うんだけどね。もしそういう造り方をしたときは、製造年数なんか刻印したら、その価値も高くなったりするかもしれませんね。使いもしない万年筆に対して、勝手に色々妄想してしまいます。

本日は以上でございます。






遺品(記念入場券)

鴫原質店の弟さんです。

今回は前回のブログと同じように昨年の思い出話です。一番最初は電話にて、父が他界し家を整理しているが、品物が多いので出張買取が可能かどうか、と問い合わせがありました。基本的に出張をしていない旨をお伝えしたところ、時間がある時に色々持って来店頂ける事に。

出張買取をするところなど沢山あるはずなので、なんだか不思議な会話だったという印象がありました。その数日後お客様にご来店頂き、実際にお会いしてお話しした時に「安心できそうなところを選んだ」と言って頂きました。完全に当店で品物の選別をすると決めていたそうです。お会いしたこともないお客様にこのように言って頂けるのは何故なのか不思議に思います。とてもありがたい事なので、誠心誠意対応させて頂くのみです。

そして様々な遺品をゴソッと持ってきて頂き、お値段が付くものは見積として金額をお伝えしました。貴金属(金のネックレス)の値段は喜んで頂けましたが、値段が付かないものも沢山ありお持ち帰りになった品物が多かったです。

値段が付かない品物の一つにこちらがありました。旧国鉄時代の記念品旧国鉄時代の記念品鉄道が大好きな方だったようです。

亡くなったお父様のお話をしながら中身を見せて頂きました。年越しのメモリアル切符年越しのメモリアル切符2000年の新年をJR本塩釜駅で迎えられたのかな。本当に好きだったのでしょうね。そんな話をお客様と長々としていました。新年の1分前に切符を購入し、1分後に切符をまた購入したのかなしら。それともこういう商品として売られていたのか?。つい色々な事を考えてしまいます。

お客様にとっては色々な思い出があるコレクションのはずです。緑色の新幹線の写真緑色の新幹線の写真子供の時に乗った新幹線は確かにこの色でした。状態も色も綺麗に残っており保管状態の良さが分かります。お客様の為に何とかお金にできないか色々と調べてみるも、ヤフオクなどで100円で取引された履歴を確認し、仕事としては扱えないことを悟ります。

「本当に凄いものだと思いますよ」と本心からお伝えしながら、趣味の世界であり価値観の違いもあるので、古物の商品としての買取は難しい旨を伝えます。「金銭的価値」と「品物の価値」が違う事をやんわりと申し上げ、好きな方にはとても価値があるものであることも補足してました。

すると「お兄ちゃん電車好きでしょ!これ、あげるね」と(実話です)。私は切符に興味を示したのではなく、昔の仙台駅の写真で飾られた入場券を興味津々で拝見させて頂いており、後学の為、携帯電話で2枚ほど写真を撮らせて頂いたのがきっかけだったのだと思います。ただ貰うのは申し訳なく「記念にとっておいた方が」とお伝えましたが、「あげるよ!誰かすきな人いたら譲ってやって」とのことでした。

そんな流れで私の机の引き出しに保管されている切符のご紹介です。明治27年の仙台駅の写真明治27年の仙台駅の写真こちらは43年前に建てられた(らしい)現在の仙台駅を記念して発行された新駅開業記念入場券です。この券には明治27年に建設された仙台駅の写真が掲載されています。当たり前の事ですが駅の前には道路もなく、そもそも自動車があったのさえ分かりません。歴史学的には日清戦争が勃発した年号です。

入場日の日付が同じなのでこちらもセットのようですね。昭和25年の仙台駅の写真昭和25年の仙台駅の写真裏に昭和25年に建設された仙台駅という説明がありました。賑わいも感じられるし、奥の方には建物もいっぱい見えるので私が想像できる駅っぽさがありますね。自動車も沢山あり何故だか意味もなく嬉しい思いがします。

そしてこちらもセットなのでしょう。現在の仙台駅の写真現在の仙台駅の写真まさに今の仙台駅です。私にはこの駅の記憶しかなく(←当然ですが)、この駅が既に建築40年以上経過しているという事を意識したことがありません。いつかこの駅の建て替えの時期が来ることを考えたこともなかったので、この入場券をマジマジと見て、色々と想像していたのが今回のきっかけで間違いないと思います。

そんな流れで私の手元に保管してあるこの歴史ある入場券ですが、「誰か好きな人がいたら譲って」も言われているので、誰かの手に渡すのが私の役割となりました。こういうものに興味を示す方がいたら、譲ってもらった経緯を含めて差し上げたいと思っています。手渡し限定で!。ただ事前に申し上げますが、発行数も残存数もとっても多く、正直言って今現在珍しいものではなさそうです。ヤフオクで200円で売ってますから(涙)。

人と物を繋げることを生業としている質屋ではありますが、金銭的価値が絡まなくてもお客様に差し上げ、または譲ってもらったり。頻繁にはある事ではありませんが、たまにあるからこそ記憶に残る、そんな出来事のご紹介でした。なんだか昔ながらの質屋っぽい話だ(笑)と感じます。

本日は以上でございます。



遺品(セルロイドの髪飾り)

鴫原質店の弟さんです。

今日はちょっと思い出話、昨年の8月の事です。「どんな品物なのか鑑定して欲しい」ということで、ご年配の男性が大きな荷物をお持ちになりました。倉庫の整理をしていたらでてきた品物で、随分前に他界したお母さまの遺品という事です。買取希望ではなく、この品物が何なのかをお知りになりたいという物言いでした。

その品がこちらです。沢山の髪飾り沢山の髪飾り専用ボックス3つの中に綺麗な髪飾りが沢山あります。写真の右上に偶然映り込んだ家帳(A4)から、髪飾りの大きさと全体のボリュームが伝わればいいのですが。

その見た目から女性用の髪飾りである事は想像できます。髪飾りの見た目髪飾りの見た目ですが私は実際に使用されている風景を見たことがありません。私が想像したのは時代劇物のドラマで見るシーンばかりでしたが、ご年配のお客様のお母さまの品物ということであれば、もう少し後の時代のお品物なのかな。

社長さんが素材を調べてくれている時間に恐る恐る品物を確認していきます。髪飾りの装飾部分髪飾りの装飾部分か細い棒状の装飾部分は軽く押しただけで折れてしまいそうで怖い。とても細やかな装飾品でした。

細かに装飾されたパーツは部分的に稼働してその見た目を変える事が可能なようです。髪飾りの装飾部分髪飾りの装飾部分なんとも華やかですね。でもプラスチックのように見えます。

中には金属製のパーツも。髪飾りの装飾部分髪飾りの装飾部分ピンク色のお花と鶴が華やかでかわいらしい。

そんなことをしている間に素材の判別が終わります。この素材なセルロイドということです(なんだそれは?)。当店の宝石鑑定士は本当に博学です(笑)。

このセルロイドという素材はニトロセルロースと樟脳を合成し造られた世界初のプラスチックということ。製造が開始されたのは18世紀中ごろからで多くの品物が生産されたそうです。ただ、素材の特徴としては可燃性が高く燃えやすいようで、170℃以上で自然発火。世界中で問題視され実際に事故(火災)などもあったのでしょう。日本でも消防法で第5類危険物として規制対象に指定されており、量によっては消防署に保管の届け出義務があります。その他にも色々と素材独自の問題があり、新たなプラスチック素材が開発された今時分では、殆ど使用されなくなっている素材のようですね。(勉強になります)

セルロイドという素材で造られている髪飾りか。どんな場所でどんな風にどんな方が使用されていたのか。時代劇とか幕末とか、最初はそんなことばかり想像してウキウキしてましたが、ふと祖父から聞いていた話が頭をよぎります。昔の話をするのが好きな祖父は、たまに仙台の赤線地帯の話をしてました。もちろん質屋とこの赤線地帯に関連してのお話です。今では信じられませんが、売春防止法(昭和33年)という法律が制定される前まで、仙台市中心部のとある一角は遊郭街だったそうです。今でもその地名や町並みはそれを垣間見る事ができ、場所の特定も興味さえあれば容易です。事実など分かりませんが、この品物からそんな祖父から聞いた風景を思い浮かべました。

話がそれましたが、お客様へは「素材とその特徴」「女性用の髪飾りであること」、そして現在の中古市場としては大きな価値はない事をお伝えしました。そしてこのご年配のお客様は「ありがとう。お手数かけたね」と言って下さり、「これ、置いていっていいかい?」とおっしゃります。全部実話で昨年8月のお盆の出来事です。お金の問題ではなく処分してくれというのがお客様のご要望です。その後は少し色々ありましたが、お客様はこの髪飾りを玄関先に置いていかれました。

何となく時間があったら書いて見ようと思い、写真だけ取っていた今回の出来事。ただ書き進めていたら、相変わらずコロコロと話が変化し「なんだかな?」という感じになってきました。(セルロイドの話じゃなかったのか…)。一度脱線するとそっちの話にどんどん思考が食い込むのでもう終わります。

ただ、物からその時代背景、そして人と物の関係などを想像し、とても印象に残っている品物と出来事でした。質屋ならではなのかもしれませんね。

本日は以上でございます。





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