質屋のスタッフブログ
2024年09月20日
鴫原質店の弟さんです。
近所に住む方がわざわざご来店頂き、とても貴重な資料を見せてくれたので今回はその時に撮らせて頂いたものについて。私が早朝に足繁に通う(早朝散歩!)近くの榴岡公園には、仙台市歴史民俗資料館(公式ページはこちら)というものがあます。建物が旧日本陸軍の兵舎建築だったようで、公園には防空壕跡地も昔はあり、小学生の時に入って遊んでた思い出も。そんな所以から、その資料館では軍隊や平和に関する資料の収集や活用とその公開も行われており、私にこれを見せてくれた方は、そちらにも資料提供をしているという事です。
その方が言うには、おじさまが日中戦争(昭和12年)で活躍された方だったとか。見せてくれた物は、帰還された際に報奨金として渡されたもののようです。金額別に15種類あるようですが、お話を伺うに責任ある立場の方だったようで当時の千円は大金だったみたい。当時の国が発行した債権・・・って何だか凄いものを見せてもらったように思えました。色々考えた結果ではありますが、この債権の正式名称は書かないでおこうと思います(※画像を見れば分かりますよね。)。
債権発行日は昭和15年で、色々と細かい記載があります。千円の利付債で金利は毎年3分6厘5毛、債券価格が千円だから毎年36円50銭が貰え、昭和35年4月に償還する(←千円が帰ってくる)というものでした。
債権書の右下を見ると日付が書いてあります。右下は切り取ってあるけど並び順から察するに、昭和20年4月1日から利払いが開始されたのか?。昭和15年発行で利払いが5年後の昭和20年開始って・・・見方が間違ってるのかな?と考えたけど、その結論で思いついたのは戦時中という事。国も資金不足の上、ハイパーインフレでお金で物を買う事さえできなかった事さえ想像してしまいます。昭和20年(1945年)8月14日の終戦数カ月前のお金の価値を空想しますが、絶対的な食糧不足の中で配給制度が展開されてた歴史を見る限り、この利息分(36円50銭)はどのような使い道があったのだろう?。
裏面が利息の引換券みたいになってました。換金するとき1枚切り離すように使ったのかな?。
色違いの債権書も見せてくれ、額面が異なりこちらは300円の利付債。こちらも一番右下だけ切り取られていて「なんで使わなかったのかな?」と少し調べてみたところ、国立国会図書館サーチにその理由が書いてありました。グーグル先生でちょこっと調べると上位にでてくるのでご興味がある方はお調べ願います。結果だけストレートにいうと、この債権は利払い1度の後にデフォルト(債務不履行)しますが、個人的にそんな部分(※敗戦の影響)を深堀したい訳ではないので、こういう歴史があったという事を学べた位に留めます。ただ、80年間もの間、大切に大事に保管されている意図を思うと・・・切なさと虚しさを感じてしまいました。尚、この債権書は残存するものも多く、ヤフオクでもたまに出品されたり、資料館などでも見る事ができるようです。
今回のとても貴重な資料を拝見し、それとは別に考えさせられたのは、そんな戦後の経緯(←国にお金がない)から、日本人の貯金習慣は国策として誘導され、郵貯や銀行に預けた(貯金した)個人のお金が間接的に国内融資で投資され、そこに爆発的な人口増加も相乗効果をもたらし、国の高度成長の原動力となってきた歴史について。現状と異なるのは、人口減少と日本の資本(会社や銀行と個人含む)が国内だけで回るのか、海外でも回るのかという点が、経済にどのように影響してるのか興味深いところです。数年前より個人による直接投資が推進されてますが、国民全員が貯金もせず、余裕のある手元資金を仮に【外貨や国外の有価証券(※オルカンとか)】に替える未来がもしあるとすれば、円という通貨価値がどう動いていくのだろう?。2024年8月の日本人による対外債権購入額は十数年振りの高値という発表(←財務省の)を見るに、国内での資金循環を促進させる為に必要な事も色々ありそうにも思えました。通貨(円)の信認という言葉がでてくるようになった今日この頃、価値を完全に失った円債の現物を見たのは少しショッキングな出来事です。
本日は以上でございます。
2024年09月11日
鴫原質店の弟さんです。
社長様が仕入れてきたジュエリーに興味深い鉱物がついてたので取り上げます。 なんとも不思議な構成だな~というのが初見の感想。少し地味にさえ思える、なんとも言えない雰囲気を醸し出すダークグリーンが特徴です。
ところがね、光で照らしてあげると何となく素敵な感じなのだよ!!。光の多角的反射がとても綺麗で、なんとも表現しにくい、明るくそして深い緑色がキラキラと輝いてくれます。写真で伝えるのは不可能だと思われるのが残念だ。
そしてこの不思議な鉱物はガーネットらしい。色々な種類のあるガーネットの中で、クロムとカルシウムを主成分とする「ウバローバイトガーネット」という事。火成岩や変成岩の中でクロムを含む鉱物とともに産出されることが多いようですが、中に含まれる成分により派生する鉱物名は十数種類あるようで、その中の1種類という事で話は終わりにしておきます。その派生する鉱物名まで掲載し始めるとキリがないからね。
発見された時のロシアの鉱物好きの文部大臣の名前「セルゲイ・ウヴァーロフ 」(Sergey Uvarovite)にちなんで「ウバローバイト」と名付けられ、和名では「灰クロム柘榴石」と命名されてます。結晶構造がもろく(モース硬度:6.5-7.5)、結晶体をルースとして取り出すことが困難な為、鑑賞用とする場合は原石のままが主流となるようで、まさにこれが原石です。この画像は顕微鏡で表面を撮影したものですが、結晶がこのまま成長し大きくなったとしても、どっかで「パリ~~~~っん」って割れちゃうんだろうな。これが大きくなったからグリーンガーネットになる訳じゃないって事ですね。それにしても、拡大して覗かせて頂くとかなりステキな光景です。
横から見るとこんな感じ。母岩から緑色の結晶が沸いている様子が面白い。日本では海道平取町仁世宇(にせう)地区にある日東鉱山で発掘されるようですが、1960年(昭和35年)に閉山したとの事。現地に行けば、もしかしたらこんなのがウニョウニョ沸いてるのかしら??。ま~そんな情報からも察するとおり、この鉱物には金銭的価値があまりありません。
蛍光灯の下でも、角度を変えればいい感じの緑色になってくれるので、鉱物好きな人が買ってくれそうな感じ。個人的には結構好きなジュエリーだけど、ちょっと地味かも。でも喜平ネックレスとの相性も良さそうなので、男性にもおすすめできそうです。
などと考えていたところ、ネット掲載後にすぐ「見に行くから取っておいて~~」と直電が入りました。こんな小さなお店ではありますが、自社ページをチェックしてくれてる方がいるのは本当にありがたい事です。取り置きを2つされたので、この子を選ぶか、他を選ぶかは分かりませんけど、果たしてこのウバロちゃんは選んで頂けるのかね?。加熱処理や放射線処理やカットなど、天然石を綺麗に見せる為の科学的技術は多くありますが、天然のままの美を宝石として身に纏うのは、なんだかとてもお洒落に感じてしまう一品だと思えました。こういう変わったジュエリーをお店にもっと展示したいですね。
本日は以上でございます。
2024年09月04日
鴫原質店の弟さんです。
社長様がオークションで仕入れて品物に、何だか不思議なアクセサリーがあったので取り上げさせて頂きます。形の崩れた天然パールを上手に利用したピンブローチですが、角度を変えてみてみると色んな表情があって、個人的には少し魅入ってしまった一品です。社長様はこういう商品を好んで仕入れる傾向があり、売れるか売れないかは別として面白かったりします。
着用した状態で少し右方向から見るとこんな感じに見えます。この画像だけを見るとなんか可愛くてイイよね。私には首の部分のチェーンが首輪に見えて、ペットとして飼われてるアヒルさんに見えてしまいます。
全体像の写真を撮ったらこんな感じに・・・。不思議と食べ物を思い浮かべてしまうな。少しも食欲はそそられませんが、○○○の丸焼き?。ピンの位置が何故に顔なのか不思議でなりませんが、色々考えて造ってるようにしか思えない。一枚目の画像と殆ど変わらない・・・と気が付いたのは全てを書き終えた後なので気にしない(※所詮ブログです)。
左の画像は正面から見たところだけど、ブサ可愛いく愛嬌がある。そして少し上から見ると、顔に何か刺されて怒り狂った表情のようにも見えるのよ。パールの天然の突起がこれまた上手く使われてるのは偶然か、それとも狙ってか?。頭の血管浮き出てるように見えました(※個人の主観)。「人の顔に何に刺してんじゃ~~~」と言ってるかのような、お怒りの表情が少し可愛い。
後頭部の部分に位置するところは天然のボコボコがあります。この部分のみをみると、ひで~~~パールだな~~って思うけど、アヒルさんの耳の部分を上手く構成してのでとても不思議だ。
できるだけ品物がステキに見えるよう考えた末、これを1枚目の画像にしてみた。なんだか軽やかに羽ばたいてるようにみえる・・気がする(※個人の主観)。私の場合、背景を黒を選択するの珍しいけれど、スーツの胸元にこんなピンブローチがあれば「さぞお洒落だろうに!!」くらいに感じてくれないかな?。きっとイケてるセンスの持ち主なら買ってくれるはずさ。
でも真横からみると、罠に掛かって苦しむ小鳥さんのようにも見える・・・。「苦しい~~よ~」と助けを求められてるように見えるのは、私だけなのかね?。
ということでこのお品物、アート(芸術)かギャグかジュエリーかは知りませんが、天然の素材を上手に生かして造られてるな~と見込んでしまいました。見る角度によって色々と表情が違うので、ちょっと芸術よりの創作物にギャグが混じって、最終的にジュエリーと成立してるのが面白い。問題はコレを欲しい人いるのかな(笑)。ピンブローチって結構難しいジャンルなのよね。とはいえ、売れ残って暫く店頭に居たとしても、色々な方々の目に触れて愛でて頂けると思える、なんとも不思議な子だな~というのが感想です。
本日は以上でございます。