2024年12月17日
鴫原質店の弟さんです。
当社に新しい機材が導入されたので「質屋の道具」シリーズとしてご紹介します。こちらはエビデントのVanta蛍光X線分析計というもの(メーカーページはこちら)。正直、信じられませんが社長様が買っちゃったみたいです。
大きな箱が目につきますが、本体はこちらの鉄砲型の方。家庭用ゲーム機にもありそうな色合いと、子供達が使う電動水鉄砲のような見た目とは裏腹に、この子はすっごく重たくて筋トレの道具にさえ使えそう。コヤツを何と呼ぶか考え中ですが、そのうち誰かが「あだ名」をつけるのでしょう。
そしてこちらはFSの世界か・・・・?。映画やアニメで見た事あるあのマークが(汗)。誤った使用方法をしてしまうと被爆するようです(哀)。
そんな話をしてる中、【新入社員のAK君が最新鋭の武器を捕り、即座に身構えた!!!】。「X線をくらえ~~」とでも言わんばかりで恐怖心が芽生えますが、これは使い方のレクチャーです。重たい本体を持つときに、落下防止を目的に結束バンドを手首にしっかり巻き付ける練習で、本当に重たいのよ。私のようなオッサンには扱いが大変で、気合を入れて持たないとギックリ腰になりそうだ。
お掃除をしながら、道具コーナーの模様替えが完了。持ち運びをして、ハンドガンタイプで使用するのが主流のようですが、箱状のボックスに本体を接続し、この形状のまま使用する事も可能で、オプション品みたいなものかな。このボックスがX線の拡散を防ぐとともに、スペクトラムを増幅するとか。使う頻度は下に追いやられた2つの方が遥かに多く、その二つが少し使いづらくなった気がするので、今はこの配置の上下を変更した方がいい気がしてます。
使い方の一例として、最初にやってみたのは、先月からブログに何度か登場頂いたインディアンコインの偽物君!。判定結果はCu(銅)43.73%、Zn(亜鉛)13.74%、Au(金)42.53%との事。X線分析機の焦点距離は30ミクロンで、ミリ換算にすると0.03ミリ。スペクトラム増幅により40ミクロン位までは判定ができるとの事で、その判断距離は0.04ミリ。なかなかシビアな道具ですが、例えばインディアンコインの金属構成はAu90%のCu10%の21.6金という知識があれば、この機械だけでも直ぐに判断可能となる訳か。ま~言うても焦点距離を考慮するに、これだけに頼るとひどい目みるのは間違いなさそうです。分析してるのは表面部分の構成比でしかないので、結局は人の見る目と知識が最低限必要だね。
導入されたばかりなので、効率的な使い方が沸いてきませんが、これから試行錯誤して偉そうなコヤツをこき使ってやろうと思ってます。時計のステンレス構造の分析やブランドバックの金具分析にも使用可能なので、真贋鑑定の補助役での活躍を期待!。宝石に関しては、例えば水色のトルマリンを分析し、「銅やマンガン」が構成成分で確認できれば、ソーティングの事前段階で「パライバトルマリン」の判定がでる事が分かるので、品物の見積をするときに少し強気でイケるかも。何にせよ、これから色々と使い方を検証していかねばなるまいよ!。とはいえ、購入費用をペイできる可能性は絶望的で、費用対効果は超絶ウルトラ最悪な感じがします。ただ、上手く使いこなせレバ・・・その効果は高まっていくのかな?(焼け石に水!)。ま~既に設置されているので、これから長い時間をかけて色々と戯れ、存分にその性能を活かしてあげたいところですね。
本日は以上でございます。
2024年12月07日
鴫原質店の弟さんです。
今回はお店で買取したペンダントヘットについて。最近コインの話が続きますが、目の前にあるものをその瞬間に取り上げているだけなので、ご興味があればご覧ください。これは金貨らしきものに丸環を溶接した手抜きのアクセサリーですが、硝酸テストの結果をみるに、一応は高純度の金(ゴールド)が入っているようでした。尚、金品位を示す刻印はどこにもありません。
そしてジョージ5世の肖像が描かれているこの子は、実はとても凄く珍しいお品物。だけど、なんか「グニャ!」って底部が曲がってるんですよね。一応ですが、もし本物であれば、22金で19.3ミリの重さが3.98グラムの金貨さんです。
そしてこちらも違和感を感じます。何だか全部がチープに見えて、スレて削れてこうなるのか?。これが金である事こと以外はやっぱり全く分かりません(笑)。そしてやっぱり外枠が見た事ない形状をしていて不思議な感じ。見た事ないから分からないけど、たぶん加工されてるよね。
ちょっとアップで見てみましょう。なんか今まで見てきた彫り方とはちょっと違い、この子は少しショボい・・・。本物だったら、110年前に製造されたものだから、こんなもんって言えばこんなもんか?。スレて削れて減っていくゴールドの定めかも。
そんな事をパチパチ書いてた数日後、都合の良い事にソブリン金貨をお店で買取しました!。「類は友を呼ぶ」か・・・。2度ある事は3度あるっていうし、次は何が来るか楽しみですね。但し、大きさの違う7.9グラムの金貨で、単純比較していいのかどうかは分かりません。
この金貨には、随分前にブログで取り上げた記憶があるヤングエリザベス様が描かれてます。崇拝する女王陛下鑑賞は趣味のような世界ですが、今回の目的とは異なるので、スルーして先に進みます。確認だけしておきたいのは枠の形状ね!。違いは一目両全です。
そして本題の「聖ジョージの竜退治」。これは1981年の金貨だけど、やっぱり上に画像を載せた金貨とは全然違うよね(笑)。大きさが違うだけでこんなに表現が違うってあるんかね?。でも「使用型金貨」と「保管型金貨」の違いもあるので、後程触れたいと思います。
ソブリン金貨の竜退治って、細かな描写がとても素敵なのさ。ナイトさんとお馬さんの筋肉モリモリの力強さや、お馬さんの股間あたりに意味ありげに描かれている突起物、ドラゴンの胴体や顔の描写、そして右下に刻まれる「B P」の小さな文字は大きなポイントかな。平面で描かれているのではなく、高低差を用いてレリーフされている点も見どころです。とはいえ、長年の保有により色々削れてたり、金が足されてたり、やっぱり判別は難しいのがアンティークコインだったりもする。とはいえ、この表面を摩りまくった結果、上部で取り上げたような状態になるのかどうかも興味深いところです。インディアン金貨も原型が無くなっていたので、そんな事があり得る可能性があるのが面白いところかな。110年前だもんな・・・、やっぱりあり得る話に思えてきます。
イギリスのソブリン金貨において「セントジョージの竜退治」と呼ばれるこのデザインは、1816年から1917年までは金本位制の元で実貨幣として、1974年からは地金型の金貨として造られ続けてます。金本位制の元で使用された実貨幣を見る事は殆ど無く、今でも多く見る事のできるのは1974年から製造されてる地金型金貨の方。よく見るその金貨は敬愛するエリザベス女王様がご年齢に応じて描かれており、「竜退治」は同じだから何度も見てきました。ソブリン金貨の場合、品位はau0.917の22金ですが、上部で取り上げた金貨っぽいやつは、最終的に22金という結果がでております。今回取り上げた小さなソブリン金貨について、「最初こそ何だこれ?」とも感じましたが、実貨幣であった事を想像すると、心から興味を抱き嬉しくなります。違和感を覚える外枠の部分は、ただ単に加工されてるだけの可能性もありますし、もしくは「こういうもの」だった可能性も否定できないよね。110年前のイギリスは、世界を支配する大英帝国の歴史があり、植民地政策により世界を治め、世界中でエリザベス女王陛下の金貨が造られるきっかけになったイギリス連邦を創り上げた時代です。この金貨で何が買えたのか・・・やっぱり空想に浸ってしまうな。本物かどうかなど知る由もありませんが、実貨幣のソブリン金貨を次に見る機会があれば、今回のモノと比較してみたいと思います。
本日は以上でございます。