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質屋のスタッフブログ

比重計と試金石と硝酸

鴫原質店の弟さんです。

昨日(5月26日)はお店で高純度のゴールド(金)を数点買い取りました。買取した金属ドル建金価格はドル金利に左右されて上下していますが、その金利に影響を受けて為替(円)も変動するので、国内金価格はまったりと高値圏内の並行飛行を続行中!!。たったこれくらいの点数で200万円位なのでお客様もお店も皆ハッピーの様子。円の価値が減る~~~嘆いているのは、もしかして私だけなのかもしれない・・・。

なんかいい教材になりそうだったので、今回はこの4点で金性について「簡単に」見てみます。刻印の無い金属インゴッドが24金なのは間違いないとして、指輪には「仟足」の刻印、ネックレスには何の刻印もありません。この刻印はアジアで造られたものに多く、特にタイで製造されたジュエリーに多いかな。18金と比較すると黄色味を帯びており、インゴッドの色に近いのが特徴で金性も高いものが多いです。

先ずはリングから比重を計測します。リングの比重何度も書いてきましたが比重は【(大気中の重さ)÷「大気中の重さ―水中の重さ」】で求められ、比重により金の純度の推測が可能です。今回は重量が「15.12グラム」で水中での重さが「14.32グラム」。比重=(15.12)÷「(15.12―14.32)=18.9(←比重計とズレてる・・・)となりました。24金より純度は低く、22金より純度が少し高い感じかな。

次にネックレスの比重を計測してみます。ネックレスの比重計算式は上に書いてあるので省略して比重は15.3でした。この比重は18金に相当するものですが、どう判断するのが正しいのかしら?。

比重計があてにならないので、ネックレスの細かい部分を見てみます。ネックレスの造り中空(中が空洞)で造られている事が想像できる場所が複数あり、こういう形状の比重を測ったところで浮力が邪魔をして正確な比重は計測できません。そういう意味で18金以上、金が75%以上は含まれている事は確定したという認識に留めます。

次に試金石と硝酸を使用して金の割合を推測。試金石と硝酸で金の痕跡を確認試金石に金を擦りつけ、その痕跡に硝酸を垂らして余計な物質を溶かします。24金であれば痕跡はそのまま残り、純度が低いとその痕跡は割合に応じて溶けてしまい、その残り具合から金性(金の割合)などの想像が可能です。慣れてくると試金石の色を見ただけで高純度の金であると認識する事も「一応」可能。思惑と違い以外にも、リングの痕跡が少し崩れた点と、インゴッドの痕跡が少し形状を崩したのが気に入らない。ブログ用にと少し【雑】にやってしまった事を後悔しましたが、やり直す気力などありませんのでご了承下さい(汗)。

K14WGのリングがあったので、補足的に【丁寧に】やり直します。14金の痕跡の硝酸での変化試金石に擦りつける痕跡は、短い線を数本、物体の同じ場所でつけるのが望ましいかな。硝酸をかけた後、その直後を見るのではなく金属が溶けて煙が上がる様子など見ながら、痕跡の変化を少しだけ時間をかけて観察します。WGメッキに含まれる可能性のある「硝酸に溶けずらい金属」もあるので、少し様子見も必要。14金は58.3%が金という割合の金属で、痕跡も大体半分が消滅したのでやっぱり14金なのでしょう。刻印あるので間違いないけど、一応方法の説明も兼ねてやってみました。4本位の痕跡を残すのが安定的で、上の金の痕跡のように適当にやると適当な結果にしかなりません・・・反省します。

という感じで刻印がない金製品は簡単な検査を行いますが、正直言って1分もかかりません。ただ慣れてないと頭では分かっていても判断もなかなかできないみたいかな。因みにこの指輪は22金で査定させて頂き124,700円で買取しましたが、お客様は大変ご満足でした!!。というのはチェーン店で見積もりしたとき「18金でしか買えない」と言われ、その見積額は6万円だったそうです。その点に関しては私には何とも言えない部分もあり、23金で査定するお店がもしあって、粗利率も当店と同じかそれ以下だと査定金額は当然高くなりますから。比重も試金石と硝酸も推測するモノでしかないので、私は22金を想定したというだけの話でしかないのかな。それにしても、6万円って半分が粗利か・・・・。世の中の現実を知った気がした瞬間です。

今回取り上げた「仟足」と刻印がある金属は「シナ金」などとも呼ばれておりますが、中国で造られたものに刻印される「万足金」や「千足金」や「足金」など、金性を示す刻印は世界統一ではありません。金性を適正に想定する事ができないと、買取査定額に大いに影響するので、それらを判別する為の最低限の機材と知識がないと査定も難しいのが現実なのかもしれないね。とは言ってもそんなに高い機材じゃないのでどこにでもあるとは推測しますから、査定額はお店のスタンスの話なのかもしれないな。という事で、金を売却する際は、是非当店でもお見積下さい!!(←宣伝)。サクッと普通に査定しますから!(笑)。

本日は以上でございます。



カラーチェンジガーネットとアレキサンドライト

鴫原質店の弟さんです。

ネット販売用に写真をパシャパシャ撮影して加工する単調作業が続く退屈な日常の中、たま~に「おおっ!これはっ!」と心ときめく品物があったりします。そんな個人的に何かを感じたものをブログで紹介したりするのが少し好きかもしれない。 指輪の商品画像今回の紹介するお品物はこの指輪。手間を省く為にネット用の商品画像をそのまま使用しますが、宝石が好きな方はこの青っぽい透き通った石を見て「あれかな?」と瞬間的に思う方が多いのではないでしょうか?。

そしてもう一つの画像を追加します。色が変わる宝石この画像をみて最初に想像した宝石名が確信に変わるかも。私自信はこれを見たら個人的に大好きな「アレキサンドライト!」を思い浮かべます。赤っぽいライトに反応して色を変える摩訶不思議な魅力を持つアレキサンドライトは宝石好きに特に好まれ、大きなものはとても高価です。

ところがこの鉱物様はアレキサンドライトではありません。ソーティング「今までの話の流れは何だった?」と突っ込みが入りそうな流れですが、なんとこの鉱物はカラーチェンジガーネット。「なんだ・・・ガーネットか」と誰かの心の声が聞こえてきそうな気分です。普通の一般的にありふれたガーネットは物量がとても多い為、2次流通ではさほど価値がつかないのも一つの現実です。とはいえ、キャンプファイヤーの焔に照らされて色が変わりすれば、私にはそれだけで魅力的なので、鉱物の名前や種類なんてどうだっていいところ。むしろガーネットがセッティングされている珍しさに好感がもてます。

見た目が殆ど変わらないこの2つの鉱物の違いを、どのように判別するかについて。蛍光性を確認してる画像屈折率を測れば分かりますし、ソーティングに出せば簡単に分かりますがもっと簡単な方法があります。暗いところで紫外線を照らすとアレキサンドライトは光に反応して赤っぽくなりますが、ガーネットは全く反応しません。理由は簡単で、アレキサンドライトには蛍光性があり、ガーネットには蛍光性がないから。とても簡単な判別法なので知っていて損はありません。相変わらず話がそれますが、私はブラックライトでダイアモンドを照らすのが大好きで、蛍光性のあるダイアモンドは元気よく紫外線に反応して青白く光ります。画像でも分かる通り、同じメレダイアでもこんなに違いがあって楽しいですよ(笑)。

ジュエリーに関する見解は人の数だけ違います。マネキンが指輪をしてる風景宝飾品の売買価値や使われている鉱物の価値だけがその楽しみ方ではなく、身につけた時の感じや見た目を重視する方も多いのが現実だと私は感じています。こんな感じで指につけた時、このセットされた鉱物がガーネットなのかアレキサンドライトなのか、見た目で判断できる人は恐らくいません。赤い光で変色する鉱物がセットされている綺麗な宝飾品であるこの指輪は、こ十分素敵なジュエリーとして成立してるのではないでしょうか。

ガーネットの和名は「柘榴石(ざくろいし)」でモース硬度(鉱物の硬さ)は7.0-7.5。1月の誕生石として知られている他、誰が考えたのか分からない様々な「宝石言葉」もあり、パワーストーンアクセサリーにも多く使用されます。一般的なガーネットと少し異なるカラーチェンジタイプガーネットにも様々な種類があり、その個体によって特徴的な色の変化があり、そしてまた白色灯や赤色灯など光の種類によっても色の変化が異なります。鉱物内に多く含まれるバナジウムや、鉱物形成段階における様々な物質の微妙な入り方によってその特徴は変化するので個体差が大きいんですね。GIAのホームページ(こちら)にガーネットに関する色々な資料があるので、ご興味ある方はご覧ください。英文の説明もグーグル先生が簡単に翻訳してくれる時代なので興味さえあれば簡単に楽しめます!。

今回取り上げたのはアレキサンドライトと同色に変色するものでしたが、青や赤やオレンジや虹色など変化する色も様々あり、そんな特徴からガーネットは「殆ど全ての色をカバーする」珍しい宝石の一つとなり、珍しいものはやはり高価かな。ガーネットは十分魅力的な鉱物で、素敵なジュエリーを構成できる一つの宝石であり、ブルガリなどのハイジュエリーにも多く使われいます。アレキサンドライトとガーネットの比較から始まりましたが、私的には「セットされた鉱物の名前や種類って重要なのか?」と、このジュエリーを見てると思ってしまいます。「なんだ・・・ガーネットか」とか思わずに、「ガーネットか!。珍しくていいじゃん」という考え方もありのような気がしますが、皆さんはどう思いますか?。

本日は以上でございます。



リシュモンジャパン様からのお届け物

鴫原質店の弟さんです。

3月中旬の事でしたが、リシュモンジャパン様からお店に荷物が届きました。リシュモングループから送られてきた箱少し前に依頼した「ジュエリー洗浄」を無事に終えた事はすぐに理解しましたが、「この大きな箱は何だ?」という戸惑いがありブログ用に写真を撮影していきます。カラーやホワイトバランスが安定しないのは携帯電話撮影の為ですのでお許し下さい。

上の画像では、何かと大きさを比較したくて自分の小汚い手を画面に入れてましたが、箱の横幅はこんな感じ。箱の幅を定規で計る様子なんと27センチもあります。

開封していくとそのステキすぎる梱包に心から驚き、とても楽しませて頂きました。箱を開封していく様子私は中に入っているものを分かっていますが、もし中の物が分からなかったらどんなにドキドキするんだろう。ワクワク感でいっぱいになりながら中身を確認していくこの演出は最高デスな!。尚、箱のお色に関しては「②」が正しい色味です。

そして辿り着いた白く小さな箱を開けると。箱の中に入っていた保存袋そこにはもう一つ保存袋が・・・・(笑)。本当に楽しませてくれますね。

そしてやっとたどり着いたその先には、アルハンブラスウィートペンダント様。(公式サイトURLはこちらスィートアルハンブラメーカー様での洗浄を経て無事に帰還してくれました。その幅は約1cmですが・・・・。

この小さく可愛いジュエリーを演出付きで返してもらえるって凄いよね。箱とジュエリーの対比無駄が多いとか送料が高くなるとか、そんな凡人じみた感覚ではブランド力は養えない訳で、この大きさの比率が面白くて撮影している私は、間違いなく一般市民であることを自覚させられます。とても凄い事だけど「いいのかコレで?」などと感じてしまうのは、私が庶民的感覚の持ち主だからにすぎません。恐らくその一方で、高価格帯ジュエリーを保有するステータスとして、ここまでされるのは当然の事と思われる方もいるはずです。

さて、こんなに素敵に対応頂いた料金はというと。請求書もちろん無料 (^_^:)。因みにですが、メーカー様にジュエリー洗浄を依頼すると、「発送キット」が送られてきてそれに入れて送る訳ですが、往復の送料と洗浄代金が全て無料です。もの凄い対応だと思いません?。流石に大人気の一流ブランドジュエリーメーカー様でございます。

忘れていけない事ですが、ジュエリーの洗浄作業や商品の発送や梱包には間違いなく費用がかかります。近年、「送料無料」という言葉が「いい意味」と勘違いされて使われてきましたが、誰かが代わりに支払うか、又は大体の場合で商品代金に上乗されてるだけに過ぎません。仙台市では○〇協会さんが「トラックでの運搬には費用がかかってます」とテレビCMで訴求するなど、費用や経費という常識概念が消え去った世の中に対して理解を求める動きさえでてきてます。そんな流れの中で整理して考えると「送料無料」を「いい事だ!」と感じていい時代は終わりに近づいてきてるのかもしれませんね。

では今回の送料やメンテ費無料についてどう思うか?。ハイブランドに関していえば原価(金の重さやシェルの価値)などを気にする人には理解しがたい価格で販売されておりますが、購入時に一生分のメンテナンス費用を先に払っていいると思えばよろしいのかも。例えばジュエリー洗浄のコストが1万程度と仮定すると、これを毎年20年間続けたとしたら、定価¥206,800のジュエリー価格が不思議と安くさえ思えてきます。このような対応とか信用とか憧れとか、そういうもの全てが多くの方に愛され、そしてブランド力を更に高めていく要因とさえ思えます。箱を開けていくのは本当に楽しかったし、「流石です!」と感じてしまった出来事でした。

本日は以上でございます。