質屋のスタッフブログ
2019年04月26日
鴫原質店の弟さんです。
前回の続きですが、今回はROLEX 228235のコマの取り付けに関してです。
前回紹介したシリコンのような筒状のパーツを内側にいれてからコマとコマを合わせて、横からネジを優しく差し込みます。上記画像ではネジが入っておりませんが、ここを入れるときに筒状パーツの強度が現状では分からないので相当慎重に進めます。ネジと筒状パーツは殆ど遊びがないので「スルッと」はいるようなものではありませんでした(前回のブログでやんわり触れていた点です)。このまま押し込んでパーツが曲がっても嫌だな~などと考えながら恐る恐る色々やってみます。最終的に画像のように少し刺した状態でベルトを縦にして、前後のベルトを動かしてみたらネジさんが勝手に沈んでくれました。時計をいじくる時には力は一切不要ですので決して無理やりねじ込んだりしないことが大事です。
次はドライバー選び。ドライバーの重要性について以前ブログで書いたことがあります。5本くらい精密機械ドライバーをあててみますが、幅と厚みで対応するものがありませんでした。しょうがないから削って造ろうかな~と思っていたときのことです。なぜかは知りませんが女性用スポーツモデルのROLEX専用ドライバーを試しました。今思っても不思議ですね。メンズの時計に女性用を試す意味が分かりませんが、何故か私は試したようです。
その時の状態がこちら。幅が0.1mm位足りませんが平面にびったりと全面にフィットしているので問題なさそうです。しかも右下の画像で少し分かると思いますが、ネジ山の隅が若干凹んでるのでその部分に触れることもないので、まさに丁度よい道具となりました。ドライバーの形状による厚みに注意して決して押し付けることなくそしてもの凄く慎重に回していきます。あくまでもドライバーを置いたところがいい感じではありますが、押し付けることでドライバーの厚みにネジが耐え切れず変形するのはないでしょうか。新製品に対応したドライバーを買わないとな~とひしひしと思います。
コマをつけ終わった画像がこちらです。いじった箇所が2か所です。綺麗にできたのでないでしょうか。
繰り返しますが画像左側のネジを凹ましたのは私ではありません。
(しつこくてすみません)
前のブログをみてない方は、なぜ私が「ネジネジ」言うのか理解できないかもしれませんね。
時計の精密機械ドライバーの重要性は昔のブログを見て頂きたいのですのでリンクを張ります。詳しくは「精密機械ドライバー」「砥石と固定ローラー」をご覧ください。
時計のネジにあっていないドライバーを使うとネジそのものを痛めます。時計が好きな人で自分の大切な時計を人に触らせるのが嫌で自分でコマ調整をされる方がたまにいますが、合っていないドライバーを使用することが多く、その大切な時計を結果的に痛めるている方もおります。皆さまもご注意下さい。
このROLEX 228235も傷んでいるところがありました。
幅が足りなく、また厚みがあるドライバーをあてて回したのでしょう。ズレて空回りをすることを恐れてなのか厚みのあるドライバーを力いっぱい押し当てた形跡があります。ネジ山の隅っこはしっかり形状を維持してますが、特に画像左側の中央付近の変形が分かります。18金のネジなのでこのように外圧で簡単に変形してしまうんですね。新品のときはネジに接着剤がついているのでどうしても力が必要なときがあります。ただ回す力は必要でも押し付ける力はいらないのでネジさんが痛々しくかわいそうな限りです。
一応補足しますが画像に映っているのは直径が1mmのネジ山ですので目で見て何かを感じる人は殆どいないはずです。傷がついてることすら気が付かないほどの傷です。ちなみに画像右側の傷に関しては殆どの場合この程度傷がつくのは当たり前のことです。アップにして画像を掲載しているのでたわみのようなものがみえますが0.1mm程度のゆがみなど人の目にみえるものではありません。
そして少し笑ってしまった点・・・・。
PGの本体にYGの純正ピンが入ってます(苦笑)
一体何がったのか想像できる点もありません。これから外装仕上げと内部点検にだすので聞いてみたいと思います。
本日は新入荷のROLEX 228235をご紹介させて頂きました。
付属品完備でギャランティーカードの印字は大丸東京のブティックです。購入日は2018年4月28日。あまり使ってなかったようで小傷程度の状態の良いものです。外装仕上げ後に販売させて頂きますのでご興味のある方はお問合せ下さい。
本日も鴫原質店のスタッフブログをご覧いただきありがとうございました。
皆さまよいゴールデンウィークをお過ごしください。
毎度の閉め言葉ですが
時計の修理/電池交却/販売/買取は仙台の鴫原質店へ
お見積は無料ですのでお気軽にご利用下さい。
2019年04月25日
こんにちは~
鴫原質店の弟さんです。
仕事(作業)をさぼって今日もブログの更新です。
先日2015年発売のニューモデル「ROLEX 228235」(公式ページはこちら)が入荷しました。GWが終わったら早速整備にまわすので、多分6月後半から7月くらいには店頭で販売することになります。
外装仕上げをする前に余りコマを全てつけます。初めて触る時計なので色々観察しながら作業をしますが、作りが今までと異なった構造になっておりました。今回は2部作で今日と明日(又は明後日)でちょこちょこと書きます。
ここまでで様々な反応があろうかと思います。「2015年モデルなのに初めて触るの」とか「ベルトの構造変わったこと知らないの」とか(笑)。「質屋という専門業種でも分からないんだとか」色々聞こえてきそうですが、触ったことがないものは知らないのが当然です。
でもこのモデル、中古の絶対数が非常に少なく4/25現在インターネットで簡単に見つけることのできる中古品は3つのみ。もともとにして新品の定価は3,866,400円の品物ですので沢山あふれるようなものではありません。
見たことや触ったことがあったとしてもコマを外したりその中を見たりしたことある人なんて、ROLEXにお勤めの人以外は非常に少ないのではないでしょうか。時計業界に関わる方でさえ大抵の方は知らない部分だと思うのでちょっとミクロの画像撮影を頑張ってみました。そもそもこういう品物を扱えるお店で働いていることって素敵だな~と感謝するぐらいです。
ではこっからが本題!
バブル期に非常に多くの本数が販売されたROLEXの金無垢18238や18038は中古市場でも在庫が結構あります。当店にもちょうどこれから整備にだす18038があるのでちょっとした構造を比較してみます。
一緒にパシャリ!
見ればわかりますがラグの造りが大きく変わっていて、この辺は2005年くらいでしょうか?ROLEXの116233など型番が6桁になった時から全てこのようにラグが分厚くなりました。それにあわせてムーブメントやベルトの構造など様々な変更がされております。
※どうでもいい話ですが私は新型の作りが大好きで好んで使用してます。
コマの造りの違いはこちら。
上が18038 下が228235です。
最初はこの白い筒状のパーツが「なんだろ~」と戸惑いました。繰り返しますが初めてみたものですので。シリコンのような素材ですが見た目と違い強度があります。ネジを入れ込む穴は両サイドが広くなっていますが中央部分にネジ山があり、この筒状のパーツは通り抜けない構造になっていました。
そして新しいネジがこちらです。ネジ山がある場所が変更になっています。それにより「コマにピンが刺さりやすいのか?」と最初は想像しました(最初の感想です。次回の更新で少し触れます)。
今まで見てきたネジ穴よりも溝が狭いという感じを受けます。
定規を一緒に置いたので大きさの想像がつくと思いますが、本当にすごい精度でパーツがつくられています。ネジ山の横から見た画像をみると、時計が好きな方でしたらきっとキュンとするのではないでしょうか。0.5mmにも満たないこの溝の底の直角!もちろん機械で製造されるのでしょうがものすごい精度ですね。
最近文面が長いと感じるので今日はここまで。今日も長いのか?
他の店のブログって数行で終わってるの見ると弟さんのブログ長すぎですよね
まぁ~楽しみに読んでくれている人がいるようですので頑張ります。
次回はこのコマの取り付けに関してです。
以上
本日も鴫原質店のスタッフブログをご覧いただきありがとうございました。
時計の修理/電池交却/販売/買取は仙台の鴫原質店へ
お見積は無料ですのでお気軽にご利用下さい。
2019年04月24日
鴫原質店の弟さんです。
もうすぐゴールデンウィークですね。休み明けは休日日記などをまたアップすると思うので、少し前に書いていた「質屋あれこれ」ネタでブログ更新です。この系統が読んでいただけている方には好評頂いてます。
休日日記はブログ的に不要かもしれないという噂も‥‥。
(一応色んな所の紹介的に書き続けますのでご勘弁ください。)
さて、4月初旬のことですが非常に良い状態のIWCの時計が入荷しました。
目で見た感じでは小さな傷がベルトにあるくらいでとっても綺麗なお品物。
しかも付属品完備です!
インターネットに掲載して販売する為、洗浄して乾かして、本体のあらゆるところと付属品の写真をパシャパシャと撮りました。その後、サクッと加工して出すぞーなどと意気込んで撮った写真を見ると……傷が結構あるではないですか(T_T:)
写真の画像はマクロレンズで写すので私の老いた目には見えないものもしっかりと映し出します。一応ルーペで確認すると細かいのが結構あります。
この時点で選択を迫られます。
このまま画像を加工して売りに出すか
磨いて綺麗にして最初から全てやりなおすか。
結果的にサラっと磨いてすべての画像を取り直した為、前後の写真が揃ったのでブログネタにしちゃいます。今回の対象の画像はこちら。
定規を置きました。僅か8ミリのこの鏡面部分がベゼル一周分です。アイフォンでは傷なんぞ映りませんでした!
そして磨く前と磨いた後がこちらです。綺麗になりました(分かりますかね?)。これで写真の見栄えもよくなります。肉眼で見た見た目は変わりません。だって見えないのですから。画像では小傷が少し見えますがこれで実物の8倍くらいの拡大率です。
ついでにベルトもサラっと磨きました。
傷がある状態で出しても問題ないのですがどうせ磨くならということで綺麗にした次第です。
最初がこちら研磨してこちら。もとが綺麗な為に大した違いではありませんが小傷が消えています。もうこの領域の話は自己満足なのかもしれません。
この品物には随分と長い時間をかけてしまいました。
研磨作業などは5分もかかりませんが写真の撮り直しは30分くらい(それ以上かも)かかります。
でもこの工程を一人でやっているからやり直しなど思いつくのかもしれません。仮に「メンテナンスや清掃をする人」「写真を撮る人」「画像の加工をする人」が分かれていたら、他の人にやり直しをさせるわけですから簡単には言い出せませんよね。しかもこんな小さな自己満足の世界で。目に見えない傷があるから磨いて写真を取り直すなんて、大きな組織ではなかなかできなさそうです。
ですが私は「無駄な時間を使った」などとは思っておりません。
私が思うに役割が全く違うことをしております。
傷を消すときは「できるだけ本来の形を維持して傷を目立たなくすること」
写真を撮ってるときは「傷をより鮮明に映し出すこと」
画像加工のときは「映っているものをより強調すること」
という感じでしょうか。
手を抜くことはどの段階でもできます。画像の加工で全て白ぼけにして傷を見えなくする。写真を遠めから撮り傷が映らないように撮影する、などなど。コントラストをあげる、画像レベルを下げる、などなど。
綺麗に見せる為の方法などいくらでもあるのです。
私の完全な持論ですが、中古品の特性上、商品を綺麗に見せる必要はないと考えています。メーカーの商品カタログのような画像は不要で、限られた画像の枚数でどれだけ商品の状態を伝えられるかが一番重要だと思います。これは社内でも賛否両論があり、なぜ目に見えない部分を映し出す必要があるかは議論が絶えません。でもこれは担当者のこだわりというしかありません。自己満足も少しありますが、すべては購入頂いた方に納得して満足いただく為なのですから。
傷が多い商品はその傷を見せることが必要です。
傷がない商品は本当に綺麗であるという事を見せることが必要です。
画像でも言葉でもいいので商品の状態をしっかり伝えることが目的です。ただ当店の通販ページでは言葉よりも画像が多いだけの話。写真を減らして言葉でしっかり伝える手法の方が時間効率は良さそうですが・・・・・、果たして何が正解なのでしょう? 私はただ百聞は一見に如かずという思いがありこのようなことになっているだけです。
ただ、当店で購入されたお客様は「画像よりずっと綺麗な商品が届いた」などのお褒めのお言葉を頂きます。お話さえしたことがない常連の方も増えてきました。時計を買うならお宅からと、もう何本も購入頂いているお客様も本当に多いです。業者のリピーター様も多いです。
ご満足頂いている結果だと思いたいです。
お店やスタッフの顔の見えない通信販売だからこそ購入検討時の安心感に繋がればと思って頑張っております。
ということで
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ご検討よろしくお願いいたします。
以上