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質屋のスタッフブログ

ダイアモンドのカラー(カラーストーン)

鴫原質店の弟さんです。今日は前回の続きのお話。

いい機会なので、ルースにしたダイアモンドのカラーグレードを判別して下さいとスタッフM君にお願いしました。カラーストーンを用意して検証していましたが、通販の発送で少し忙しくなり、その間に社長夫人がトライします。そして一生懸命やって頂いて出した答えが「G~H」と!。カラーストーンとの比較カラーストーンとの比較「へっ!?」と心が凍り付きます。

ダイアモンドの値踏は論理的な基準に当てはめるだけの作業的な要素しかありません。そこに個人がどう思うとか、感じるというような感覚的な要素は一切なく、米国宝石学協会(GIA)が定めたカラー基準のどこに該当するかを定めるのみです。前回書きましたが、値段をつけた要素として私は「カラーはF以上」と判断をしてしまっています。クラリティの件で見落としがあった事実もあり、「もしかして間違ったか‥‥‥‥かも」と急に弱気になる私は、その根拠となるカラーストンを確認します。判断基準となった並べられているカラーストーンを見ると、確かに並べられた石と同等の色に見え、凍り付いた心臓がポキッと折れた感じになりました。

「やっちゃった!」と意気消沈していく私の心と、そんなはずはないと強気な私の心が闘いを始めます。そんな自問自答の中、冷静な私がマスターカラーストンの並びに疑問を感じてくれました。冷静な私にはFカラーがGカラーよりも黄色く見えたのです。そしてよく見るとカラーストンの順番が全然バラバラになっています(涙)。少しの安心感と「誰がやったんだろ…‥」という猛烈な虚無感は表現できません。買ったダイアモンドのグレーディング以前にこれを戻さないと。ここで自分の3つに分離した心が一つにまとまります。

そこから順番に戻す作業の開始です。カラーストーンの並び替えカラーストーンの並び替え最初はスタッフM君が一生懸命頑張ってくれました。それでもこの作業はとても難しいことなので簡単には進みません。

そしてなんと!、私も知らなかったとある事に彼は気が付きます。ケースの裏側にカラット数が書いてある!。カラーストーンのケースの裏側カラーストーンのケースの裏側今まで何度も触ってきた道具でしたが私は知りませんでした。これを利用すれば一番重たい石がEカラーと超絶簡単に確定できます。

そして早速カラット計を取り出し一番重たい石を選定します。カラット計による計量カラット計による計量そしてこれが一番重たい石なのでEカラーが決定!表示より0.03カラット多いですが完全無視。一番重たい石という事が重要事項なのです。こんな差なんて実際のグラムにすると0.006グラムなので埃の重さ程度だから気にしません。

その後は私とM君の二人かかりでこの微妙な色の違いを並べ続けます。カラーストンの並び替えカラーストンの並び替え光の反射するものを見続けていると目が疲弊します。そしてそのうち全てが同じ色に見えてくることも。「あ~でもない」「こ~でもない」を繰り返して相当な時間を費やしました。そして最終的にこのように並び替え。並び替えの仮完了形並び替えの仮完了形とはいえこれで終わりではありません。やり続ける事で目が慣れてきて思い込みがでてくるので過信は禁物です。

そこで最後に当店のGIA GG(宝石鑑定士)に最終チェックを依頼!並び替えの最終チェック並び替えの最終チェックそしてまた別の目と手によって「あ~でもない」「こ~でもない」が始まります。そして最終的に並べられた順番がこちら!並び替えの最終形態並び替えの最終形態中間グレードの一つが入れ替わったようです。(アイフォンで撮ったので色の違いがあまりでていない!。)

そして購入したダイアモンドのカラーグレードチェック。最初からこれが全ての目的です。カラーの比較カラーの比較適正位置はカラーストンのEカラーと同等もしくはその上というところ。最初は心臓が凍り付きそして折れてしまいましたが、「良かった」と私も一安心です。当店ではダイアモンドを買う事は珍しい事ではありません。ですが、買取した一つのダイアモンドで再確認をこれだけするのは珍事です。

ダイアモンドの「クラリティ」「カラー」「カット」は慣れてくると考えもせず判断し決定します。経験による瞬間的な感覚で判断してしまうのです。でもそこに少しでも疑問を覚えると決めることができなくなります。「え?間違った?」と思ったその時から、自分の判断基準の全てが不安になってしまうのです。そしてそれは、商品が高額になればなる程、恐怖は増加していき最終的に思考停止にさえ陥ります。自分の一つの間違えで、数十万円の損害に繋がることもあるので、自信がないと決定することはできません。

そういう一面からこの仕事については、強い責任感と意味不明な自信と継続的な努力が重要だと思ってます。やっていることを「簡単」とか「普通」とか「当たり前」と感じる思考回路が何かを決定する上で推進力になり、その自分の判断基準の調整を継続すれば大きな間違いは起こさないのではないかな。なので意味不明な自信を持つことが必要だと私は思っています(←これ怒られそう…)。仕事って「やって当たり前」なのですからね。

長々と続きましたが、結果的に今回のダイアモンドに関しては、大きな間違いがなくて本当に良かったなと思っています。一度ミスをすると大体は凹んで、しばらくの間判断がとても鈍くなりますので。失敗はしょうがない事ですが、見落としはまずい事、そこはしっかりと反省しないとね。繰り返しですが「やって当たり前」の事をコツコツと繰り返していきたいと思います。この件は以上で終わりです。

2020年度の鴫原質店スタッフブログの更新は終了です。来年も何か変わったことがあれば書いていきたいと思います。目指せ定期更新、コツコツと継続する事がとても大事ですね!(笑)。来年も仙台の鴫原質店をよろしくお願い申し上げます。



ダイアモンドのクラリティ(幻の線)

鴫原質店の弟さんです。

先週初めに0.31カラットのダイアモンドリングをお売り頂きました。ダイアモンドを買う事は当店でも珍しい事ではありませんが、そのダイアモンドに関連して色々とありましたので2回に分けて書いていきます。譲って頂いたダイアモンドリングはこちらです。買取したダイアリング買取したダイアリングもう分解してしまいましたが、最初はちゃんとセッティングされてある状態でした。

初めてご来店頂いたお客様に「買取の見積」という事でこちらを渡されました。ルーペで一見すると、カラーもクラリティもカットも良さげなダイアモンドだとすぐに分かります。汚れによる視認性の悪さが査定額に影響を及ぼすので、「洗浄してもいいですか?」とお客様に確認し、了解を得た後に洗浄。そして顕微鏡をのぞき込んでグレードを決めて値段を決めていきます。

この時の私の初期判断ではこんな感じです。
「カラーはF以上」
「クラリティーはVS2が取れそう」
「カットはグッド以上、ファセットが厚くその上が取れるかどうか」 
「ミディアムくらいの蛍光性あり」


自分の判断で不安定要素のカットの部分が値段に影響するので、1人で悩まず社長に「これいいもんっすよ」伝えと判断基準を伝えます。悩んだ時点で自分では決められないことを悟る事、そしていくら悩んでもお客様を待たせるだけなので、決められない場合は人に決めてもらいましょう!。そしてカットの部分を見て下さいと社長にお願いすると、当社の宝石鑑定士は「ベリーグッド取れるね」というので、その基準で値段を決定しお客様に査定額をお伝えしました。その時のお客様の反応が「ありがとうございます、それでお願いします」と少し不思議な反応。とても喜んでおり、他の店で相当安く言われたのかな?などと思った事が記憶に鮮明に残ってます。

購入後はソーティングをとる為に、すぐに上のようにバラしましたが、このダイアモンドを眺めていた社長夫人から「大きなキズっぽいのがあるけど大丈夫ですかね」という感じの言葉が!。お客様も値段に大変喜んでたし、私にミスがあった可能性が大いにあり、はっきり言ってこういう時は恐ろしく焦ります。

急いで顕微鏡にルールにしたダイアモンドをセッティングしてのぞきます。顕微鏡で覗いたダイアモンド顕微鏡で覗いたダイアモンドでも最初に認識していたインクルージョン以外は見つける事ができません。もちろん後からこうやって探している事自体がダメな事なのですけどね‥‥。

私の場合はキューレット(一番底)にピントを合わせ、テーブルまで引き上げていくようにインクルージョンを探します。普通に読んでも意味が分からない文面に思えるので解説すると、顕微鏡やルーペは基本的に単一焦点です。単一焦点の意味合いは焦点距離が一つだけという意味で、例えば顕微鏡の場合、ピントを合わせた1mm奥(手前)でもよく見えません。そのゆえに、単一焦点の拡大鏡で見る場合は、全体の厚みを面の組み合わせとして一つ一つ確認していく必要があります。それを私の場合は一番下の面(キューレット)から一番上(テーブル)まで引き上げていく方法をとっているという意味合いですが伝わりますかね?(くどくてすみません)。因みに一番下から覗くのは、ダイアモンドの外部の後ろについた埃をインクルージョンと認識しない為です。セッティングされた状態のダイアモンドは汚れやら埃やら、洗っても落ちないものが沢山ありそれを誤認しない為にこのようになりました。

一応最初から認識していたインクルージョンがこちら。ダイアモンドのインクルージョンダイアモンドのインクルージョン階層が違う高さに小さくあります。でも私にはこれ以外に見つける事ができません。それ故にクラリティグレードの判断が「VS2が取れそう」なのですが。

そして大きな傷が「どこら辺にあるか教えて~」と聞くと「テーブルにあるように見える」というので焦点をテーブルに合わせて顕微鏡を覗いてみます。テーブル付近に見える線テーブル付近に見える線明らかに何かがあるのは分かりますが「これなんだろう?」というのが初見の印象。キズではなさそうに見えます・・・・・、というよりモース硬度10のダイアモンドにこんな傷を付ける事かできるのだろうか?。というかダイアモンドの表面にはありませんし、中に焦点を合わせても見えません!。取敢えず私にはよく分からないので、先に「何か分からないけど気が付かずに買ってしまった。ごめんなさい」と社長さんにお詫びをいれます。間違いがあった時点で損失が確定しますので、間違ったらすぐに謝りましょう!。これをマイナス評価に入れればもっと安い値段の提案になるので、私の間違いであることは確実です。

その後、社長にもこのダイアモンドを確認してもらいました。そしてこれは「結晶構造のゆがみ」であると教えられます。「何でしょう?それは?」。ググってみると論文のようなものばかりがでてきて、はっきり言って私には理解できません。詳しい説明を受けましたが、「何面体の結晶がどうとか」理解不能‥‥‥聞きながら頷いて、左から右に話が抜けていきます。無知な私なりにできるだけ簡単に要約してみると、「ダイアモンドの結晶構造が形成される過程で、何らかの理由によりその構造が歪んだ為に見る事のできる現象」という感じでいいのか?。(※私は宝石の専門家ではありません!ので違ってたら申し訳ない‥‥‥。)

その後、このゆがみで見える現象については、クラリティグレードに影響しないという言葉に安心してもう一度眺めます。結晶構造のゆがみ結晶構造のゆがみ本当に不思議。透明なダイアモンドの内部で屈折した線のようなものがみえ、何故それがテーブルに焦点を合わせると見えるのか。内部を覗いても何にもないのにね。2枚目と5枚目を見比べるとこの感覚が伝わるはず。光の屈折なんかも影響してるらしいが本当に不思議だ。

今回気が付かなかったのは、ダイアモンドを見る時の癖が大いに関係します。基本的にインクルージョンを探す目的でテーブルをマジマジとみることはありません。最初にテーブルに焦点を合わせて奥の方へ進んでいってれば最初に気が付いたかもしれません。言い訳がましいですが、よく見てないのは事実なのでしっかりと反省します。

今回は画像を拡大してダイアモンドをご覧いただきましたが、実際の大きさはこんな感じです。撮影環境とダイアモンドの大きさ撮影環境とダイアモンドの大きさ直径5ミリくらいのダイアモンドの内部に点のような内包物があり、それを見つけるというのがグレーディングのお仕事です。当たり前ですが肉眼で見えるものなど何一つありません。台座にセットしてある状態でインクルージョンを見つけるのにも慣れとリスク覚悟が必要な場合が多いですね。今回は失敗した事実を反省し、結果的に損害がなさそうなこと、お客様が喜んでくれたことをプラスに捉え良かったことにしましょう!!。

などと締めくくってますが、この件に関しては続きがあります。次回の更新でそちらを書いていきます。本日は以上です。



「風の谷のナウシカ」© 1984 Studio Ghibli・H

こんにちは。鴫原質店の弟さんです。

昨日の金曜ロードショーで風の谷のナウシカが放映されてましたね。風の谷のナウシカの一部の映像風の谷のナウシカの一部の映像36年も前(1984年)に公開されたものとは思えない素晴らしい作品です。隣で一緒に見ていた息子が「これ何度もみた」と言ってましたが、「俺は君の数倍みてるぞ」と心の中で呟きます。僕たちの世代だと部分的にセリフさえも覚えています(笑)。

著作権があるので恐ろしくてテレビの写真も使用できませんが、昨日のナウシカを見て思った事があり、ジブリ公式ページを見てみたら「常識の範囲でご自由にお使いください」とフリー画像がありました!。ジブリ公式ホームページの一部の写真ジブリ公式ホームページの一部写真もの凄く嬉しかったのでそのまま勢いでお借り致します。その公式ホームページは「こちら」です。今年の9月から12月までで全1178枚が提供されていいるとのこと。ルールは順守ですね。(尚、このページに画像はフリー画像の保管形式をジェーペグに変えただけの、何一つとして加工していないものです。また商用に使用しておりません。)

私の息子もそうですが、この素晴らしい物語に原作がある事は若い世代にあまり知られておりません。私が中学生か高校生くらいの時に何かの雑誌(アニメイトだったような?)連載されており、大きな単行本として発売され、全7巻で完結した作品です。私もこの本を高校3年生の時に手に入れ、とても大切にしていた記憶がありますが、結婚前の奥様に27年前に貸したらその後戻ってくることはありませんでした。(今でもこの件はチクチクと嫌味を言ってあげます!)

この映画の物語は、実は原作の2巻までのお話(全7巻の中)。その後はとても深く考えられた難しいストーリーが続き、心に突き刺さる痛烈な主張や批判が大いに描かれています。そんなことを書きながら調べてみると、今でも普通にヨドバシカメラとかで原作コミックが売っていました。暫くぶりで見たいので買おうかな。多分子供達も見るだろうから買っちゃいましょう。奥様は絶対文句は言えないはずなので、お正月の過ごし方はナウシカで決まりか!。

という事で実は深すぎる物語「風の谷のナウシカ」の原作の存在についてでした。映画はとても綺麗に描かれていますが、原作は全く違ったイメージ描かれています(私の感じ方です)。最近では再アニメ化される物語が多くありますが、名作として残る現在の映画の物語の他、原作に忠実な物語の映画版とか出たら世界中の人が夢中になるのではないでしょうか。今後の展開がある事を期待したいですね。

約40年感銘を受けた物語ですが、子供の頃から今現在でもこれががあったら絶対欲しい。メーヴェの写真メーヴェの写真メーヴェはドイツ語でカモメを意味する言葉らしい。あったら本気で手に入れたいですね。

昔からいつも不思議に思うこのシーン。腐海の底での会話シーン腐海の底での会話シーン「長靴いっぱい食べたい」という不思議な言葉。他のアニメでも使われていることも。いっぱいという表現と長靴の連想が凄い。世界感的にも、食べ物を長靴に入れる事を不思議に思わない環境ということなのかな?。

年末なので少しのんびりと仕事と関係ないことしてました。後で誰かにサボったって怒られるかも…‥。でもジブリのホームページ見て良かったな。フリー画像ありがとうございます。ナウシカが手を振るシーンナウシカが手を振るシーンそれではちゃんと仕事をしたいと思います。一応手を振っている映像!。本日は以上です。





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