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質屋のスタッフブログ

最近と今後の金相場の考察

鴫原質店の弟さんです。

店頭に来店されるお客様から「これから金は上がるの?」と質問をされることがあります。大体の場合は上がる前提をご期待されているようにも感じますが、小難しい話の上、変な用語を出しても普通はピンと来ないはずなので「どうですかね~。分かってたら働きませんよ~」とか答えたりします。ご興味がある方には為替の話などもしたりしますが、どんな説明をしたところで、最後には「未来の金相場など分かりません」というのが本音でもあります。とは言え、気にして見ている部分はあり、お客様にはその話をすることも多く、今回はそんな部分をご紹介していく、大体の方にはとてもつまらなくアホみたいに長いお話です。※下記にチャートを貼り付けていますが、一つを除いて私がよく見てる楽天証券さんよりお借りしてます。(楽天証券URLはこちら

取り合えず国内の円建て金価格チャートは現状こんな感じ。円建て金チャート日々の上下はあるものの高値圏内を維持しておりありがたい限り。お店の在庫の評価額にも関わってくる事なので急落は好みません。そして、金相場を気にする多くの方々は国内で発表されているこのようなチャートを見ているのではないでしょうか。私も一喜一憂できるので毎朝必ず見ています。さ~てこの線の進む方向はどちらでしょう?。

見る指標を変えて、金相場をドル建てで見てみると、日本国内とは違う状況だと分かります。ドル建て金チャートこれはドル建て金価格チャートですが、3月をピークに下落しており現状で約20%位下落してます。ドル高による下落なのか、世界の金相場自体が下落してるのかは私ごときには分かりませんが、現状では高いドルの影響がかなり強いようです。ドル高による影響で世界相場があるものはドル換算で見ると全てが下落しており、もちろん金もその一つということですね。私が仮に普段ドルで生活していたら、金を保有している事自体が恐ろしく、パニックになって売ってしまいそうだ・・・。(こちらのチャートはFFG証券さまからお借りしてます。公式URLはこちらです。)

その話とは別に、ニュースで今騒がれているように、ドル円相場はこの半年で大きく変動しました。ドル円為替チャート3月頃より115円/ドルが今や145円/ドルと円安ドル高に進み、ドル建て金相場の下落を円安がカバーし、円建て金相場は高値を維持している状況です。いいのか悪いのか・・・正直言ってかなり複雑です。

そしてこれはアメリカの10年債利回りチャート。米10年債利回りチャート米10年債を保有するだけでもらえる利率のチャートですが、ドル円為替チャートとほぼ同じ動きをしている事が分かります。この金利が上昇すれば為替は今以上に動いていくことが想像され、更にはとても多くのものに影響を及ぼしているので、世界中の人々が毎日確認している指標だと思います。

そしてこちらは米10年債の価格推移。米10年債利回りチャート債券価格の赤で囲った時間軸に注目してみます。これは3月位から米10年債の金利が上昇し始めた部分です。詳しい説明は省きますが、金利が上昇する事は債権価格が下落する事を意味します。米10年債の金利だけだと少し分かりずらいので債権価格のチャートを載せてみました。

グラフの形状が違うので少し分かりずらいですが、同じ時間軸をドル建て金相場チャートで囲ってみました。ドル建てチャートチャートの形状が違うので上下幅はもちろん違いますが、何となく米国債価格と同じような形状が見えてきます。金相場はそれこそ様々な要因で世界相場を形成してますが、最近の「円建て金相場のトレンド」はドル建て金相場と米10年債利回りが多大な影響力を持っている事が分かります。ただ、理解しないといけないのは、いつでもこういう状況ではない事で、ポンドもユーロも円も大変な状況であることが原因で生じた特殊な状況なのかもしれません。なので【今・この瞬間】の相場はここの影響が強いという事を、全ての前提として整理しておかないと変な誤解が生まれるので、しっかりと【今現状】と繰り返し書いときます。そして悲しい現実としては、こんな感じの情報を見たところで、「今後金はどうなるの?」と聞かれた場合・・・、「アメリカの金利と為替レート次第でしょうか・・・」という話が精いっぱいなんですよね。米10年債利回りの予想ができるのであれば、はっきり言って億万長者間違いないのですから・・・・。

ちょっと付け加えますが、以前もブログに書いたように、金相場は【実質金利】と逆比例の関係性を持っていますが、アメリカの実金利を簡単に見れるところが無さそうなので、誰もが簡単に見れる10年債利回りとの逆相関関係を例に出しました。※ちなみに10年国債利回りの金利が上昇しても、実質金利がマイナスの場合があますので、その時はこのような逆相関関係は見られません。(←こういう話が好きな社長夫人に突っ込まれると面倒くさいから言い訳がましく付け加えさせて頂きます。)

金利差による為替レートの先行きは想像もできませんが、9月に発売されていたドル円仕組債(←説明省きます)では123円~158円の幅で為替が動くと利益がでるという商品がでていました。そして何となく付き合ってる証券会社の年末為替予想では1ドル145円らしい。米10年国債利回りがさらに上昇し、一段とドル円が円安に進むと、円建て金相場は上昇する可能性もありますが、米10年債の金利が上昇するとドル建て金相場が下がる傾向があるので、その関係性だけを考えると為替レートにより相殺され、国内金相場は現状の相場維持する可能性が高いということになりそうかな。為替介入などが無い自由経済の流れだけを見て、そして米ドルと円だけに焦点を絞った全くあてにもならない見方ですけど、ドルが強すぎる現状ではそんなに的外れではないと思ってます。

とはいえ、日本銀行が現状の政策を止めた場合、為替(ドル円)は幾分か円高方向に進む可能性と、長期金利が上がると商品相場(金など)はアメリカと同じような経路をたどっていくことが想像でき、この点が国内(円建て)金相場の分岐点になる可能性が高い部分だと考えられます。そして全く話は変わりますが、世界的に大きな出来事(戦争拡大など)があれば、世界中で金(ゴールド)が買われる可能性もあります。それに全世界同時で債権や株式が売られている現状で、紙幣価値そのものに大きな障害がでてくると金(ゴールド)を持っている利点が大きく、そんな側面で買われる可能性もあります。思う事をだらだら書きましたが、何をどう考えても先の事など分からない(汗)のです。ま~今後の相場の傾向を推測することすらできない!って事かな。

最後に付け加えますが、私はただの質屋の従業員で、要するに何も分からない素人です(笑)。お店の在庫高管理やお店の預かり金額想定などに、必要かもしれないと個人的に思い、趣味も兼ねて色々見ているだけに過ぎません。だけど質屋をしてる以上、数か月後の相場を考える事も大切で、正解か間違いかは関係なしに興味を持つ事が大切であると思い続けてます。そしてまた、店頭の接客時において、お客様から軽い気持ちで「金相場これからどうなるの?」と聞かれたときに、マジマジとこういう事をだらだら言っても、かなりの確率で嫌がられるので、普通はこんな話はしません。経済全般の話に興味がある常連の方と、為替の話や経済の話で1時間以上も話し合ってたりすることもありますけど(笑)人は選びます。金相場の話が好きなお客様とは「こんな感じの話もしている」というご紹介であることご理解頂けると幸いです。ということで売買に関しては完全に自己判断で!!。もし売られる時は鴫原質店をどうぞよろしく!お願いします。買取価格を毎日公表、手数料などかかりません(笑)。

読み返してみると長すぎですね・・・。
本日は以上でございます。



平成元年発行「天皇陛下御誕生日記念 記念メダルと記念カバーの特別セット」

鴫原質店の弟さんです。

とても珍しい記念メダルがあったので取り上げます。天皇陛下御誕生日記念 記念メダルと記念カバーの特別セットの外観表題として「天皇陛下御誕生日記念 記念メダルと記念カバーの特別セット」と書かれており、このカバーも含めて全てがセット内容として発売された品物のようです。右下には純金製というシールが貼ってあり、中に記念金貨が入っている事が容易に想像できますね。

説明書きがあったのでそのまま画像で使わせて頂きます。品物の説明書き天皇陛下が御即位したその年(平成元年)の誕生日(12月23日)に、記念品として造られた品物らしい。発行数がとても少なく、この金貨セットは僅か300個限しか生産されなかった世にも珍しい品物に違いありません。

本のような構造になっており3ページ目に金貨とハガキが封の中に飾られてます金貨と封筒画像で確認しにくいですが、封筒のようなものには東京中央郵便局の公式消印が手押しされており(←先程の説明書きより)、「1.12.23」という数字が記載されてます。令和になってから天皇誕生日は2月23日に変更されましたが、少し前まで12月23日は祝日だったのを思い出しました。休日のはずですが、クリスマス前なので大体は出勤して働いており、「なんで数少ない貴重な休日がクリスマス前なんだ~(涙)」と思い続けた悲しい記憶がよみがえります(哀)。

次のページに解説があったのでそのまま掲載しておきます。解説書き今回は画像全体がとても見ずらく申し訳ないです。もともとが大きなページを広角で撮影して圧縮させてるから、どうしても全体を写すと小さな文字はぼやけるんですよね(←言い訳)。でも何とか読めるとは思っているのでご興味ある方はご一読下さい。

本の最後に松本徽章工業さんからのお礼のメッセージが入ってました。松本徽章工業からのお礼の手紙赤丸の部分を見ると平成2年と書かれているので、出来上がり次第の順次発送って感じだったのでしょう。12月23日に郵便局でハンコを押してたとすると、平成2年の春頃に発想されたのかな~など、勝手に想像してみます。

まだ誰にも開封されてないメダルを私が取り出します(←恐れ多く、そしてスミマセン!)。開封作業風景クリアファイルのような本の一部から厚紙上に封をされたページを抜き取り、金メダルの固定方法を確認していきます。こういう記念品は大切に保管されているだけで、開封されていない事が多いです。というか開封するとその価値が減るので当然の事ですけどね。

金貨の表面はこんなデザインです。記念メダル表面のデザイン画像4枚目の説明書きに「表面の意匠は、皇運の弥栄を讃える日・月の錦旗に陛下を象徴する鳳凰を描き、聖寿萬歳の数字を配したもの」と詳しい解説がありました。語彙力に欠ける私にはかなり読みずらい・・・というか読めない(涙)。天皇陛下に関連するものには鳳凰が描かれている事が多いですが、陛下を象徴する対象として鳳凰が採用されていたんですね。そして一つの疑問が生じました(←どうでもいい話です)。このメダルを手にしたことのある人って世界に何人いるんだろう。

金貨の裏面のデザインがこちら。記念メダル裏面のデザイン説明書きを丸写しすると「裏面の意匠は、菊花と桐花と奉祝の文字を中央に表し、周囲には記念事項銘と輝く日・月を謹刻した清楚なデザイン」という事。丸写しをするだけでも漢字変換が結構大変でした。憲法とか法律もそうだけど、日本語って難しすぎるような気がします。私の教養が足りない事は十二分に理解したとしても、難しすぎる気がする。

メダルを見ていると流石に松本徽章工業さんの作品という感じです。記念メダル細部の画像このブログでも何度も取り上げていますが、デザイン性や表現力にいつも魅入ってしまいます。純金という文字の後ろに刻まれた刻印こそが松本徽章工業さんのブランド刻印で、貴重な記念品の多くはこちらのメーカー様が製造していると私は認識しています。(公式HPはこちら

今回の品物は、34年前に僅か300個だけ造られた珍しい品物で、恐らく今後の人生で再び見る事はないと思います。品物の売買を繰り返すという仕事柄、多くの品物を手に取って見る事ができますが、こういう工芸品的な品物を見るといつも「この姿を崩すのは勿体ないな・・・」と感じてます。「誰かに売れないかな?」とも考えますが現実はそんなに簡単ではありません。興味がある方には気を引く品物かもしれませんが、多くの方がこういうものに興味がないのが普通だと思っています。せめて品物への敬意として、開封して観察して調べるくらいの事はしてあげたいですね。

本日は以上でございます。



質屋の道具 腕時計のピン外し機「スプリングバーツール」

鴫原質店の弟さんです。

今回は質屋のアイテムとして、少し前に購入した新しい道具をご紹介します。 ケースに入った新しいアイテムスプリングバーツールと呼ばれるこちらのアイテムは、簡単に言うと特殊なピンセットかな。

先っぽが先割れスプーンのようになっており、特徴的な形状をしてます。先端の拡大画像画像をみて分かるように先端部分はとても小さく、手に刺そうものならば出血する鋭さがあります。「どういう思考回路してんだ?」と思う方もいると思いますが、このような道具で手に大きな怪我をして、時計を弄らないと決めこんだ同業者の方は多いです。時計をいじくる道具って結構危険なんですよね・・・。

実際に摘まむものは、このような形状のピンです。汎用性の時計ピン中央部分が空洞になっており、その中に入っているバネの力で左右のパーツを押し出しています。バネの力より少し強い力で押しこむ事で、ピンを短くすることができる仕組みで、突っ張り棒のようなイメージが分かり易いかも。その押しこむ事に少しコツがいる為、その行為を補助するアイテムになります。多くの腕時計はこのようなピンによりベルトやバックルが固定されています。

実際の作業風景はこんな感じ。作業風景とても楽に作業ができるので、買ってよかったかな。

先っぽの形状が崩れるとその意味を失いますが、硬度が高いステンレスで造られているので丈夫です。作業風景例え曲がっても裏表を変更して使える上、交換パーツもついていたので長~く使えそうですね。

先端部分の幅は赤丸のネジで調節できる仕組みになってます。作業風景先端の長さを調節して使えますが、とても弱いバネ仕掛けなので最大幅にしておくとスムーズに使えそう。でも、ケースに収納する為には先端幅を小さくする必要があるので、結局毎回調節するハメになりそうです。

時計を頻繁にいじくる方には「今までどうやってたのよ?」と思われそうですが、原始的に普通のピン抜きで全部やっていました。このピン抜きは20年位使い続けてますが未だに現役です。昔から使っているピン抜き今でも何の問題もなくやれますが、残酷にも進行していく老眼も隠し切れなくなってきたので、「そろそろ道具にも頼ろうかな・・・」と思って買った次第です。毛嫌いしてましたけど、最近の道具っていいですね。(←昔からあるけど・・・っていう突っ込みはいりません!)

価格も安いし使い方も簡単だし、毛嫌いしていた割にはいいアイテムだったというのが本音かな。ま~まだしばらくの間は、原始的なピン抜きをサクッと手に取って作業してしまいそうですが、老後の準備を早めにしたという事です。時計が好きな方は、革ベルトを交換する為にマイアイテムとして保有するのもいいかもしれないですね。簡単ですがニューアイテムの紹介でした。

本日は以上でございます。





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