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質屋のスタッフブログ

76年前の紙幣と日本のお金の歴史について

鴫原質店の弟さんです。

先日お客様がお持ちになられた品物に珍しい「紙幣」がありました。1月にこのブログで書いた【質入れできるもの紹介パート5「日本銀行券」】を少しご覧頂き、このブログで紹介させてくれないかとお願いしたところ、是非是非と快諾頂き写真を撮らせて下さいました。とても珍しいのでご紹介させて頂きますが、パパパ~~と書き終える上、全く専門外なので間違ったこと書いてたらごめんなさい。

まず始めに五銭札。日本銀行券の歴史の中で最も額面が小さい紙幣で、五銭札には「い号券」と「A号券」の2種類が存在し、こちらは「A号券」の方。発行されたのは1948年で、この貨幣単位が廃止された1953年(昭和23年)末まで使われていた紙幣のようです。五銭札の表裏1銭を100個集めると1円になるという単位で、すこしピンと来ないな。表面には梅、裏面には彩紋が描かれています。尚、「い号券」とは金本位制度から管理通貨制度に移行する際に発行された紙幣のようで、その後継札が「A号券」そして「B号券」と続き、日本の円紙幣および貨幣は色々と変化していきます。「日本銀行券」が読みずらい漢字(感じ)。経年劣化はあるものの折り目もないピン札状態で、コレクションに対する愛が伝わってきます。

次に十銭札。十銭札にも「い号券」と「A号券」の2種類が存在しており、これも「A号券」。十銭札の表裏表に鳩と裏面には国会議事堂。1947年から発行され、五銭札同様に貨幣単位が廃止される1953年(昭和23年)末まで使われていた紙幣らしい。これもほぼピン札でやはり愛を感じます。

そして次は五十銭紙幣。表に板垣退助と裏面には国家議事堂。因みにこれは「日本銀行券」でなく市場全般に拡散された紙幣ではないようです。よく見ると真ん中に「日本政府紙幣」って書いてるね。五十銭札の表裏ちょいと調べてみたところ、戦時経済の制約などが感じられた紙幣でしたので、この辺の深堀は避けさせて頂きます・・・。わずか70年前のことだけど、個人が大切にしているお金の価値自体は国の政策によって変わっていき、国の借金を減らす為の政策として、通貨安とインフレが借金の実質減少をもたらす史実をみると、現状の円安も「もしや国策か?」など自分勝手な怪しい空想に浸ってしまいます。(←※無知な私の稚拙な発想であり事実とは無縁です!!。)

次は1円札で、この紙幣は日銀のホームページ(こちら)にも掲載がありまして、肖像は二宮尊徳という江戸時代の思想家らしい・・・。発行開始は1946年(昭和21年)3月19日で、発行が停止されたのは1958年(昭和33年)10月1日。明治の時代から発行された1円札の最後になるようで、日本銀行のホームページに4種類の1円札のサンプル画像が掲載されてました。1円札の表裏その後、1955年(昭和30年)より発行が開始された1円硬貨の流通によって、「銭」という通貨単位は姿を消しますが、その1円硬貨が、約70年前から同じデザインで製造されて、今も尚使用されているのは凄い事ですね。少し話がそれますが、円という通貨概念が産まれたのは、明治新政府が発行した政府紙幣から。「円」「銭」「厘(りん)」が決められ、厘は1円の1000分の1という単位。その時の最小通貨である1厘が1千万枚あれば今の1万円と同じ通貨なので、なんか天文学的な数値にさえ思えます。凄く混乱する話ですが、同じ1円札でも「日本銀行券」ではなく、「日本銀行兌換銀券」とか「大正兌換銀行券」とかの記載があり、色々と制度が変わっているのかな?。興味深い部分なので、時間があればいつまでも調べ続けそうで怖い・・・。

今回は70年前の紙幣を調べましたが、インフレによる物価上昇によって貨幣はその価値を変えていく事が分かります。そして、その貨幣を変更できる権限を貨幣発行体が持つ事も・・・。もし仮に今後日本でもインフレ進行で「食パン一斤が3千円」なんて時代になれば、5万円札や10万円札などが発行される可能性はあるのかもしれない(?)。お隣の韓国では日本と似た単位ですが、硬貨は1・5・100・500ウォンで、紙幣は千・5千・1万・5万ウォンがありますし、近場のベトナムの通貨ドンを見てみると、紙幣は100ドン札から50万ドン札まであります。50万って・・・もうよく分からん単位だね!!。

国内では、人口の少子高齢化により労働人口は減少し続ける事が想定され、数年前には日本女性の過半数が50歳以上となり今後の急激な出生数上昇は見込めない中で、労働市場における若者の取り合いは既に本格化しており、これから更に加速していくのかも。ここ最近の賃上げニュースやインフレ動向を見ていると、これが継続し続けるのであれば、私の子供が大人になった時(←約20年後)は初任給が月給100万円でも少ない・・・・という時代になる可能性もあるように思えます。そして今見てる国内での貨幣価値と物価がどう変化していくのか、そしてその流れの中で、円という通貨の国際的な価値がどうなっていくかを観察し対応しながら生活する必要性さえ感じてしまいます。ちょっと前の老後2000万問題は最近のインフレ率を加味すると、今後20年でいくらまで増えていくんだろう?。老後が~とても~不安だ~~~(哀)。

本日は以上でございます。



PTP刻印ダイアモンドリングの査定と機材の大切さ

鴫原質店の弟さんです。

今回は少し前にお店で買取させて頂いたダイアモンドリングについて。石が台座から外れた指輪色々検査をした後なのでリングからは外れてますが、最初は指輪の状態での査定希望があり、もしダイアモンドの重さ(カラット数)が「この位だったらこんくらいの金額になる」という大体の概算金額を口頭でお伝えしました。普通なら見積書をお渡しするのですが、お客様が「大体の目安でいい」とおっしゃる事と、このままでは値段のつけようもなかったというのも理由の一つです。

正確な値段が付けれらない理由はダイアモンドの重さが分からないから。指輪の台座の詳細部分大体の品物は金属部分に石目の刻印がありますが、そのようなものはなく、そして刻印されているのは「PTP」。大昔の製品で「Pm」刻印があるのは何度となく見てきましたが、「PTP」ってなんだ?から始まります。もちろん想像で直ぐに「Platinum Plated」、つまりプラチナメッキを思い浮かべますが、そんな部分からも、最初見た時は本気で「オモチャじゃね?」と思いました。だって、とっても大きいし、メッキだし、ギラギラしてるし。社長様が色んな器具で検査をやってましたが、ダイアモンドであると認定した瞬間「え???」と驚きです。とはいえダイアモンドと認識しても、台座から外さないとカラット計も使えないので正確な見積は不可能でした。そして数日後、再度来店されたお客様より、台座から外しての見積もり依頼があり、改めて見積もりをして譲って頂くという流れになります。

実際の大きさはこんな感じ。ダイアモンドの大きさ規模感は定規じゃ伝わりづらいけど、直径が1.1センチ位あります。

ソーティング結果は想定内で本当にひと安心。ダイアモンドソーティング結果事前にカラット計で6カラットアップと認識してますが、この「.094」(0.0188グラム)がとても大切な数値なんだよな。そんでクラリティが「VS」に残るか「SI」になるかの瀬戸際だとは思ってたけど、VSとでてくれて安堵します。ダイアモンドは4Cの掛け算みたいなものなので、とても大きな違いになるのよね。

大きなダイアモンドなので光を当てるとビカビカ光ります。ダイアモンドのファイアーカットが悪くてもこれだけファイア~~してくれれば綺麗です。ただやはりオモチャに見えるのは、私の目が節穴だからに違いない・・・。このダイアモンドを宝石としてどう使うかなど、庶民思考の私には想像もでません。

私の不細工な指の先端と大きさ比較をしながら、一般的な結婚指輪に使用される事の多い0.3カラットのダイアモンドと並べてみる。0.3カラットと6カラットのダイアモンドを並べた写真やはりどこから見てもオモチャにしか見えない・・・。初見でそう思ってしまったからそのイメージが抜けないのと、私の目は節穴だからです。昔の駄菓子屋さんで、こういうの売ってた気がしません?。

そしてPTPと刻印された台座も科学的に解明してみた。試金石と硝酸のテスト結果ではプラチナが入っている事はほぼ確実で、比重は85%プラチナと近似値の数値でした。X線検査の結果最後の極めつけはX線分析!!。結果は画像の通りで88%がプラチナで10%位がパラジウム。PTP刻印で「Platinum Plated」を想像するのは普通だと思いたいけど、「台座がメッキ」という間違った認識が怪しい思考を増幅させていたのも事実であり、何も調べずに勝手なイメージを持つ事は避けるべきですね。

しかし本気で思うのは、初見で感じた「オモチャ?」という認識で、何の検査もしなかったらどうなってたんだろうね(汗)。というか、そういった事が実際にあったのも想像され、その結果としてウチに売ってくれた可能性もありそうです。一つ一つの品物をしっかりと見ていかないと、と改めて感じる出来事でした。一応付け加えますが、話の流れで「オモチャ」を連発してるけど、ダイアモンド特有のインクルージョンはすぐに見つかる大きさ(SI1よりのVS2)だったので、「ダイアかどうか」で悩むのではなく、最後まで苦しむのは「合成か天然か」の決断でした。その判断は現状、人間の目では一切判別不能なところで、機械判断という悲しい現実があります。それにも関わらず、金額が大きすぎるという理由はあるにせよ、「この機械(GIA iD100の事)・・・間違ってないよね?」って何度も繰り返し検査してたりして・・・。それに、機械なかったら手が出せない案件のような気もしており、道具ってマジ大切だなって実感します。そして一つの重大な事実ではありますが、専門機材の査定結果に不安を覚える私自身こそが、世界最強のポンコツで節穴なのだと自覚してます(←アホのビビりですから・・・)。

本日は以上でございます。



2002年発行 カンガルーナゲット金貨

鴫原質店の弟さんです。

お店の買取品の中にエリザベス2世のコインがあったのを発掘したので取り上げます。ケースに入った金貨ケースに入ったままのビカビカのお品物!。最初に触れるのは私なのかもしれない(笑)。

この金貨はオーストラリア連邦のパース造幣局が発行しているカンガルーナゲット金貨ちゃん。カンガルーが描かれた金貨1986年からオーストラリアで発行されている地金型金貨は「ナゲット金貨」と呼ばれています。以前オーストラリアの「ハンド オブ フェイス」が描かれた金貨について書いた事がありますが、金塊がレリーフされたのは1986年から1989年までの3年間で、1990年からは可愛いカンガルーちゃんがレリーフされています。しかも毎年カンガルーのデザインが変更になるのが面白い。2002年のカンガルーはこんな感じでちょっと怖そうですね(←ついさっき可愛いって書いたけど)。

「NUGGET」とコインに記載がありますが、英語で「金塊」を意味しており、そのままやね。金貨にかかれた文字この金貨の通称は「カンガルー金貨」と「カンガルーナゲット金貨」又は「ナゲット金貨」などがあり、グーグル先生はどの名で聞いてもちゃんと教えてくれます。個人的にはカンガルー金貨と呼び続けたいかな。

そしてその裏側には世界中で多くの人々が崇拝するエリザベス2世女王様。金貨描かれたエリザベス2世2002年におけるご年齢は76歳ですがとても若々しく描かれてますな。(※個人的感想です。)

女王様のレリーフは見どころが多くて、今までも色々なコインを拝見させて頂いてます。光の反射などにより表情が少し変わって見えたりする事なども計算されてるのかな?。エリザベス2世の描写発行年数によって女王様の年齢が異なるのでそんな部分とか、発行国によっても描写は異なり、髪飾りや耳飾りなど見続けると興味深い点はとても多いです。ご年齢に応じたシワの描写とかは本国のイギリスが一番手厳しく、1990年代初頭から目じりのシワがリアルに描かれてます。その逆にカナダのメイプルリーフ金貨は可愛らしく描かれていると個人的に思います。(←怪しい人間に思われそうで怖い・・・・。)

コインの大きさは直径で約25ミリ。金貨の大きさ1/2オンスで15.55グラムの純金で造られており、豪ドル換算で50ドル貨幣として発行されました。今時ではオーストラリア1ドルは約95円位ですが、このコインを円換算すると大体151,000円位で、逆算すると大体1590豪ドル分位の価値があるという、金貨あるあるの悲しい換金率はいつ計算しても面白い(笑)。使い方を間違えると大損しますわ。

理由は知りませんが国内において、イギリスのソブリン金貨やオーストラリアのナゲット金貨と比べると、カナダのメイプルリーフ金貨の数量が断然多いと個人的には感じています。何となく年ごとに変更されるカンガルーの比較をしたいと思ったものの、全制覇するのは無理ゲーだね。めぐり合う機会があれば、今後も違ったカンガルーちゃんと女王陛下様のお顔立ちを拝見させて頂きたいと思います。

本日は以上でございます。