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質屋のスタッフブログ

「P5 SV95」刻印とは ジュエリーマキ

鴫原質店の弟さんです。

お店で買取した品物に見た事ない刻印があったので、少しだけ時間を使って調べてみました。ジュエリーマキの商品にあるP5SV95という刻印ジュエリーマキさんの商品である事を示す刻印の横に「P5 SV95」とあります。SV95に関しては何となく「シルバー95%」という想像ができますが、P5って何だろう?。グーグル先生に聞いてみると「プラチナが5%入ってる」と記載しているところが複数あり、最初は「そうなんだ~~」的な感じで納得します。

プラチナが5%の場合、試金石に載せた痕跡がどんな感じで消えていくのか?。意味不明に興味が湧いてきたので、遊び半分で確認してみる事に(←仕事しろや~~って後ろから聞こえる気がする!)。P5SV95の金属を試金石に擦りつけ硝酸をかけた画像指輪の外側をガシガシと試金石に擦りつけその痕跡に硝酸を注ぐと、白い煙と共に全てが消え去ってしまいます。プラチナって王水(濃塩酸と濃硝酸の混合液)以外で溶けないはずだから、擦りつけた部分にはプラチナなかったのか?。

取り合えずプラチナが入っている事を確認したいので、指輪を切って断面を満遍なく試金石に擦りつけてみました。P5SV95の金属を切って断面を試金石に擦りつけ硝酸をかけた画像そして硝酸を注いでみたのですが、白い煙と共に全てが消え去ります。しかも徐々に溶けるという感じではなく、速攻で消えてしまいました。金属の配合の問題なのか、少なすぎるプラチナが試金石の上に載らないのか、なんか腑に落ちないし理解不能な状況です。

馴染みの地金屋さんがお店に来た時に「P5 SV95って何ですか?」と聞いたら、5%程度プラチナが入っている金属で、SV925と同じ扱いをしているという事でした。ネットの情報と全く同じ事を言っています。個人的に納得できない為、「これのX線分析をお願いできますか?」と依頼すると、「成分表を印刷せずにX線検査の結果を示す画面の写真を送るという事であれば、無料でやりますよ」となりまして、東証一部上場会社で日本有数の地金会社様のX線装置を使っての検査結果を待つ事に。

そして送られてきた結果の1部がコレ。成分分析の結果その1金(AU)0.009%、銀(AG)95.57%、銅(CU)0.074%と表示があり、「P5 SV95」と刻印があった指輪の大体の成分が分かりました。ただ、この金(AU)と銅(CU)に関しては、パーセンテージ的に考えてみても、「ぶつかったってついた」なども考えられ完全無視するのがいいと思えます。そういう見方で見ると95.5パーセントが銀である金属と判明です。

そして残りの成分は・・・・。成分分析の結果その2なんとパラジウム(PD)でした!!。銀とパラジウムの混合物なので硝酸で全て溶けた事も納得です。数値のズレが若干あるけど、95.57%+4.600%=100.17%なので信頼できる数字と考えても良さそうです。

そして成分分析結果の画像を送ってくれた担当者の方にメールでお礼を伝えます。お礼のメールこのやり取りを見ても「パラジウム」が入っている事は想像していなかったのかな。正直言って、どうでもいい話である事は間違いなく、わざわざ調べる気もないのでしょう。現実的に「P5 SV95」はSV925と同じ銀扱いで、高価な金属でもない上、ジュエリーマキさんの商品としてのみ存在し、グラム数も個体数も少ないのが事実です。こんなことに高価なX線検査機を使って頂きありがとうございました。

という事で、今回色々と弄った「P5 SV95」と刻印された金属は5%のパラジムと95%の銀の合金と判明しました。ただ、一つだけ忘れてはいけない事ですが、あくまでも目の前にあったものを調べたに過ぎなく、5%のプラチナと95%の銀の合金の「P5 SV95」も存在する可能性もあります。とはいえ約95%がシルバーである事は間違いないようですので、当店ではシルバーアクセサリーと同じ認識で扱いたいと思います。興味本位で調べてみましたが、凄くどうでもいい事だったような気もしてます(←今更)。でも情報を鵜呑みにせず調べてみるというその姿勢こそが大切なのではないでしょうか(←自己肯定!)。さ~て、怒られる前に仕事しよう!!。

本日は以上でございます。



質屋の道具「ホロテック社製 マルチクォーツテスター フラッシュテスト」

鴫原質店の弟さんです。

お店に新しい道具が導入されたのでご紹介します。ホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」の外箱の画像こちらはホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」という最新の機械。使用目的はクォーツの日差を測る為と、新しいもの好きな社長の趣味!かも(笑)。

本体はこんな感じ。ホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」の本体画像1枚目の画像を外箱にした理由が自分でも分からない・・・(謎)。

取り合えず使い方はそのうち覚えるとして、社長がいじくっているところを眺めていました。歩度測定をしている画像機械に載せて120秒ほど待つとクォーツ時計の日差と月差がでるようです。表示によるとこのフランクミューラーは1日あたり0.23秒進み、1っカ月では6.8秒進むそうです。大体9か月で1分くらい進む計算で、ま~順調って感じだと思います。このズレが気になる方にはアップルウォッチや電波時計をお勧めしたい。

次に興味本位でお店に並べてあるグランドセイコーを測ってみました。グランドセイコーの歩度測定をしている画像表示によると1日あたり0.08秒進み、1っカ月では2.32秒進むらしい。因みにこの腕時計はGSのスポーツコレクション(SBGN003)で9F86ムーブメントを搭載しており、メーカーホームページ(こちら)によると、このムーブメントの精度は年差±10秒との記載があるので、100%の性能を出し切れていない状況にあるのかも。でも中古品なので常識の範囲で許される精度のような気もします。こんな感じの情報を外見から判断できちゃう事はとてもありがたい事ですね。

この「フィラッシュテスト」さんには他にも色々な機能がついています。タッチパネルに表示された各種機能を撮った画像「電池電圧測定」「回路発信チェック」「コイル抵抗値測定」「回路消費電力測定」「ムーブ消費電力測定」「歩度測定」とこんな感じか?。まだ使用経験が浅いので良く理解していませんが、こんな多機能な機械の定価はたったの93,500円!というから驚きです(←性能が伴えばですが)。随分前からクォーツ歩度測定機は欲しかったのですが、数十万の機械ばかりだったので躊躇してました。ところが道具屋さんのカタログを見ていた社長様が、この商品を発見し速攻で買ってくれて今に至ります。「フィラッシュテスト」さんの今後の活躍を心より期待しております!。

正直な話、クォーツ時計で1日あたり1分遅れたりするものは、そのまま販売する事も出来ず、整備費をかけるか投げ売るかどちらかの選択でした。もちろん1日20秒の遅れでも同じですが、そんなことは見て分かるものではありません。買取の時間なんてたったの数分ですから、時間が遅れない事が前提での話であり、その前提が崩れる事もたまにあります。その「たまに」という事故を無くすことが出来るのは、「素晴らしい」という一言に値します。

ただちょっと気になるのは、一般的な許容度がどこにあるのかはしっかり考えたいかな。「年間で5分遅れるから整備が必要な状態です」などと見積時に言葉にし、少しでも安い金額を言ったもんなら、この競争の世界では値段負けてしまいます。少し問題あるものを自店で販売しないのは当たり前の事ですが、業者卸売りが可能な精度がどのくらいなのかなど、色々と考えてみようと思います。お客さんにとっては「高く買ってくれる店」がいい店というのは不変の話であり、お客様がお持ちの品物に対してお店側が「粗さがし」しても意味はありませんから。ま~色々と有効活用していこうと思ってます。

本日は以上でございます。



ルイヴィトン「N41207」ポシェット・アクセソワールの価格変動で感じる事

鴫原質店の弟さんです。

6月末の事ですが、新品(未使用品)のルイヴィトンを同じお客様から3つ譲って頂きました。3つのルイヴィトン製品の写真今回は左上の画像の白いポーチについて、買取した際の実話の出来事と、経験と思い出からくる偏見のお話です。

ルイヴィトンの新品に関して、当店では相場がある商品は買取値段をホームページに明記しています。ホームページに公表してる買取価格これは実際のサイト画面ですが、白いポーチ「N4127」ポシェット・アクセソワールの新品は127,000円で買取させて頂きました。

新品のルイヴィトンの査定は「状態の確認」をするだけで特別な知識は不要です。新品(未使用品)と判断する場合は、お客様も確認できる当社のホームページから型番検索で値段を見るだけで、そこに何かを「考える」的な要素はありません。(※もちろん真贋判定は必要です)アクセサリーポーチの画像このポーチに関しても同様の流れで値段決めましたが、社長と私が「これ 間違ってない?」と同じような反応をします。お客様もホームページで値段を確認されて遠方から来てるので、間違っていた場合「すみません」ではすみません(←おやじギャグ?!)。取り合えずルイヴィトンの公式ページ(こちら)で定価そのものを改めて確認し、相場も確認しますが何の間違いもありませんでした。考えてみれば、アクセサリーポーチの新品を買い取ったのは何年振りなんだろう?。定価が「¥155,100もするんだ~~」と驚くぐらい、このポーチについて見向きもしなかった期間が長い事を認識します。

「これ 間違ってない?」と定価それ自体に疑問を抱いた理由もあります。それは旧型アクセサリーポーチの昔らかの記憶や経験よるところ。旧型といっても、姿形が殆ど変わらないこの子の事です。旧型アクセサリーポーチの写真20年前位の事ですが、モノグラムのアクセサリーポーチが大流行し、非常に多くの中古品がありました。その頃の市場(業者間オークション)相場では数千円で競り落とされ、店頭販売価格も1万円を割るものが多かった記憶があります。5千円で買ってきて9千円で店頭で販売するなどの感じかな。しかも大流行した品物は中古の数量が莫大に存在するので、どこにでもあった定番商品の一つです。ところがこの数年、海外直輸出業者がルイヴィトン製品を買う相場で、このポーチも非常に高値で競り落とされており、「海外では人気商品なんだろうな~」とは思っていましたが、今時の定価がこんなに高い事を初めて知ります(←アホですよね~~)。

昔の中古相場が数千円だったという話は、信じられない方もいるかもしれません。2002年のルイヴィトンのカタログ取敢えず2002年のルイヴィトンのカタログを引っ張り出してきます。

2002年の中盤に価格改定がありましたが、改定前の定価は26,000円だったようです。2002年のアクセサリーポーチの値段このブログで何回かだしてますが、この頃はカタログを毎年購入して価格を書き込むという、今では信じられない地道な世界。仕事としてやってきた事なので、この情報に間違いありません。そして現状のアクセサリーポーチの形状はモノグラム柄にしかなく、ダミエのアクセサリーポーチは四角いものでした。その後ダミエ柄でも同じ形状のアクセサリーポーチがでてきますが、基本的に新品定価がこういう値段だったところが着目点です。

このような思い出や記憶がある故に、現状のアクセサリーポーチの定価が¥155,100という事に「これ 間違ってない?」と思ってしまった訳です。ルイヴィトンの定価が上がった事や海外での中古相場の影響、そして最近での猛烈な為替変動も加味して、国内での中古相場も大きく上昇しました。そして、それに合わせて売買をしている現状ではありますが、昔の価格を知る「私達と同年代か、ご年配のお客様」が店頭販売価格を見て首を傾げてしまう方がいるのも頷けます。以前も「ルイヴィトンの価格推移」について書いた事がありますが、このポーチの躍進には驚きしかありません。そもそも、こまめに情報のアップデートをしていれば定価変動は当然の知識でしょうが、数がすごく多かった大流行品が故に気にも留めなかった点も、このような誤解の原因だと反省しています。

因みに、こういう事を書いていると、「私も年なんだな~」と実感します。亡き祖父は「幼い頃に2銭で買った餡餅が美味しかった」という思い出話を何度もしてくれました。亡き父は「子供の頃、キャラメルは6個入りで10円だった」と教えてくれました。聞いてる時は「そんな昔の話・・・」なんて思っていたけど、私が言っている事ってそれと同じです。歴史の流れを見る限り、多くの物の値段は過去と比べると上昇を続けます。貨幣価値が実質的に下がり、貨幣価値の切り上げもされ「銭」という貨幣が事実上消滅しました。そういう歴史上の流れをみてみても、今は「価格が高い!」と思っているものも、未来の世界では「とんでもなく安い価格」になる日が訪れるのかもしれません。というか既にそういう事例が目の前にあるのに「見てない」「知らない」「感じない」と、平和ボケあるあるの無関心が今回の話であるようにも思えます。最近は特に「インフレ」感が国内でも漂っており、デフレ経済にどっぷり浸った金銭感覚である私は、今後数年間、どんな世界になっていくのだろう?と悲観的な事ばかり考えてしまいます。

本日は以上でございます。





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