質屋のスタッフブログ
2022年08月08日
鴫原質店の弟さんです。
金属スクラップ用の箱に最近お店に入ってきたコインが複数ありました。
その中に発行年数の近いコインがいくつかあり、興味本位で見比べていたら結構楽しめたので取り上げてみます。
まず最初に見比べていたのが1989年と1990年に発行されたこの2つの金貨。
こちらはカナダ王室造幣局が発行する純度99.99%のメイプルリーフ金貨で、カナダ中央政府が保証する法定通貨でもあります。表面(裏面?)にはカナダの国旗にも描かれているカエデの葉が描かれており、重量は31.1035グラムの1オンス、直径は30ミリで厚さが2.8ミリ、流通量はとても多い金貨で珍しいものではありません。
見ていたのはエリザベス2世(以下クィーンと書きます)の表情について。
これは1989年のクィーンの表情。レリーフと呼ばれるこの浮彫のような造形表現により、角度を変えることで違った表情を見る事ができ、私は結構ガン見してしまう人間です。クィーンは1926年生まれらしいので、63歳の時の肖像という事になるだろうか?。とても63歳には見えず素敵な王女様ですね。
そして1990年のクィーンの表情は・・・。
なんか痩せたように見えるし、急にお年を召されたように見えません?。この時代のイギリスで何か大変なことがあったのかな?など考えてしまいました。この時は御年64歳なので、それでもやっぱり若く見えて素敵な王女様ですね。
そんなアホな事を考えながら、今度はプラチナのメイプルリーフのクィーン様を観察。
恐らく造形の型枠は金と同じなので全てが同じだと思いますが、プラチナの彼女はとてもやさしい表情に感じれます。63歳の女性の肖像ですが、10代や20代の女性に見えます。
ついでなので1991年発行のオーストラリア カンガルー金貨の表情も。
クィーン様が更に急激にお年を召されたような・・・・。3年でこんなに変わるものだろうか?。尚、この金貨は直径32ミリで厚さが2.4ミリ、重量は31.1グラム(1オンス)の金貨で、オーストラリアのパース造幣局発行が発行する金貨です。メープルリーフ金貨と同じで、発行年数が分かるのがいいですね。このとき御年65歳でやっぱり若く見えて素敵な王女様です。
1989年から3年間に及ぶクィーンの表情を観察しましたが、1985年の金貨もあったので最後に見てみます。
他の金貨が全て1オンスだったのに対し、こちらは1/4オンスと小さい金貨なので表情が読み取りづらいかな。でも1989年と殆ど変わっていないような気がするのは私だけかな?。
メープルリーフ金貨は流通量が多い為、かなりの頻度で見ておりますが、年号別で見比べてみたのは初めてです。レリーフされたエリザベス2世の表情がこんなに違う事を知り、意味不明に熱中してしまいました(笑)。世界的な有名人なので年代別のリアルな写真がインターネットで見る事ができ、それを見るとこのレリーフの表現も「なるほど!」と感じる部分があります。興味がある方はグーグル先生でお調べ下さい。余りにも業務と無関係で意味や目的もない話なので、「仕事しろや~~~」って怒られそう(笑)。ま~観察するのも大切な仕事ということで!。一度に見比べる事なんて、滅多に出来ない事ですからね。
本日は以上でございます。
2022年08月02日
鴫原質店の弟さんです。
質流品の中には心惹かれる金貨があったので取り上げます。
1987年より現在に至るまで、イギリスで発行され続けている地金型金貨「ブリタニア金貨」。そして写真のコインは1987年の表示があるので初期ロットです。こんなに綺麗に残っているって、本当に素敵ですよ~(涙)。「ブリタニア」という単語に関しては、グレートブリテン島を指す言葉として紀元前に生まれた、ラテン語に由来するものらしい。
表面のデザインはこんな感じ。
イギリス連邦の女王様であるエリザベス2世さんが描かれており、細かな描写は変われど、そのコンセプトは今も尚変化がありません。どの年代のコインを見てもエリザベス2世の肖像が描かれており、「どんな表情をしているのか」を観察しても楽しめます。※この件で別の日にブログを書く事にしよう!。
裏面にはイギリスを擬人化したという「ブリタニア女神」様。
三つ又の矛とイギリスの国旗を連想する盾を抱え、ドレス姿に兜を纏い、そして左手には平和の象徴であるオリーブの枝、という強さや平和などの多くの願いや感情が込められたデザインだと私は感じてます。女神様の目線の先に何があり、この描写にどんな思いが込められているのか、考え始めるとワールドにのめり込みそう。このデザインも発行年数により僅かな変化はありますが、2022年発行の金貨にもこのようなコンセプトが描かれています。
1/2オンス FINE GOLD(純金)と表示とありますが、この金貨は純金ではありません。
地上での重さが17.05グラムで、水中での重さは16.7グラム。17.05÷(17.05-16.7)=比重=17.39となり・・・・、これは望まない結果(汗)。17.4~17.7位の値がでて「これは22金ですね!って言いたかったけど、比重計の水が汚れてたのかもしれませんね。やり直しとかする性ではないので続けますが、このコインは22金(金が91.7%)です。表示は1/2オンス(約15.5グラム)の金が入っている事を意味し、17.05×0.917=15.6グラム(←またズレた!正解は15.5)となり、比重計の調子が悪い事以外は証明できます。前に取り上げたイーグルコインやクルーガーランドコインと同じですね。因みに、ブリタニアコインは1987年~1989年までは金と銅の22金コイン、1990年~2012年までは金と銀の22金コイン、そしてそれ以降は24金のコインとして製造されているようです。ブログって結構勉強になります。
この金貨と一緒にこんな品物もありました。
6月に紹介したイーグルコインの1オンス!でしかも1986年の初期ロット。どちらも発行初年度のものを35年間も大切に保管していたのかな。こんなに綺麗に残っているなんて・・・、なんだか色々な感情が沸いてきます。イーグルコインについて前に書いたブログにリンクを貼ります(こちら)。因みにブリタニア金貨もイーグルコインも特に珍しい金貨ではなく、発行が開始された年号の金貨で綺麗なものが少ないので取り上げております。
もともと地金型金貨は実物資産投資用にと発行されている経緯もあり、どこかのタイミングで換金して利益を確定するは当たり前の事です。ただ私は「手放すのは惜しくないのだろうか?」とも感じました。しかもこれだけ綺麗な状態なので「販売できないか?」と考えましたが、現状の相場変動のリスクにが粗利は耐えられない可能性を考慮すると怖くて保管できません。私もコインを眺めるのが好き人間であり、たまたま目の前にあるのではしゃいでますが、これを今の金相場の値段で欲しいかと問われると買えませんからね。ちなみに、同じ方のコレクションに他にもいくつか金貨があったので、別の形で取り上げてみようと思います。せめて記録にだけでも残しておきたいという思いがあります。
本日は以上でございます。
2022年07月27日
鴫原質店の弟さんです。
お店で買取した品物に見た事ない刻印があったので、少しだけ時間を使って調べてみました。
ジュエリーマキさんの商品である事を示す刻印の横に「P5 SV95」とあります。SV95に関しては何となく「シルバー95%」という想像ができますが、P5って何だろう?。グーグル先生に聞いてみると「プラチナが5%入ってる」と記載しているところが複数あり、最初は「そうなんだ~~」的な感じで納得します。
プラチナが5%の場合、試金石に載せた痕跡がどんな感じで消えていくのか?。意味不明に興味が湧いてきたので、遊び半分で確認してみる事に(←仕事しろや~~って後ろから聞こえる気がする!)。
指輪の外側をガシガシと試金石に擦りつけその痕跡に硝酸を注ぐと、白い煙と共に全てが消え去ってしまいます。プラチナって王水(濃塩酸と濃硝酸の混合液)以外で溶けないはずだから、擦りつけた部分にはプラチナなかったのか?。
取り合えずプラチナが入っている事を確認したいので、指輪を切って断面を満遍なく試金石に擦りつけてみました。
そして硝酸を注いでみたのですが、白い煙と共に全てが消え去ります。しかも徐々に溶けるという感じではなく、速攻で消えてしまいました。金属の配合の問題なのか、少なすぎるプラチナが試金石の上に載らないのか、なんか腑に落ちないし理解不能な状況です。
馴染みの地金屋さんがお店に来た時に「P5 SV95って何ですか?」と聞いたら、5%程度プラチナが入っている金属で、SV925と同じ扱いをしているという事でした。ネットの情報と全く同じ事を言っています。個人的に納得できない為、「これのX線分析をお願いできますか?」と依頼すると、「成分表を印刷せずにX線検査の結果を示す画面の写真を送るという事であれば、無料でやりますよ」となりまして、東証一部上場会社で日本有数の地金会社様のX線装置を使っての検査結果を待つ事に。
そして送られてきた結果の1部がコレ。
金(AU)0.009%、銀(AG)95.57%、銅(CU)0.074%と表示があり、「P5 SV95」と刻印があった指輪の大体の成分が分かりました。ただ、この金(AU)と銅(CU)に関しては、パーセンテージ的に考えてみても、「ぶつかったってついた」なども考えられ完全無視するのがいいと思えます。そういう見方で見ると95.5パーセントが銀である金属と判明です。
そして残りの成分は・・・・。
なんとパラジウム(PD)でした!!。銀とパラジウムの混合物なので硝酸で全て溶けた事も納得です。数値のズレが若干あるけど、95.57%+4.600%=100.17%なので信頼できる数字と考えても良さそうです。
そして成分分析結果の画像を送ってくれた担当者の方にメールでお礼を伝えます。
このやり取りを見ても「パラジウム」が入っている事は想像していなかったのかな。正直言って、どうでもいい話である事は間違いなく、わざわざ調べる気もないのでしょう。現実的に「P5 SV95」はSV925と同じ銀扱いで、高価な金属でもない上、ジュエリーマキさんの商品としてのみ存在し、グラム数も個体数も少ないのが事実です。こんなことに高価なX線検査機を使って頂きありがとうございました。
という事で、今回色々と弄った「P5 SV95」と刻印された金属は5%のパラジムと95%の銀の合金と判明しました。ただ、一つだけ忘れてはいけない事ですが、あくまでも目の前にあったものを調べたに過ぎなく、5%のプラチナと95%の銀の合金の「P5 SV95」も存在する可能性もあります。とはいえ約95%がシルバーである事は間違いないようですので、当店ではシルバーアクセサリーと同じ認識で扱いたいと思います。興味本位で調べてみましたが、凄くどうでもいい事だったような気もしてます(←今更)。でも情報を鵜呑みにせず調べてみるというその姿勢こそが大切なのではないでしょうか(←自己肯定!)。さ~て、怒られる前に仕事しよう!!。
本日は以上でございます。