質屋のスタッフブログ
2024年06月11日
鴫原質店の弟さんです。
先週のとある日の当店では、午前中から中国人向けのライブコマースが行われてました。
ライブに関しては何度か書いているので詳しい説明は省きますが、お店には中国語が響き渡っており、ご来店頂いたお客様に少しご迷惑をおかけしたかもしれません。幸いにも来店されたお客様は少し少なかったのですが、初めて来られたお客様が殆どだったので「あの店大丈夫か?」などと思われてない事を祈りたい。経営者は真っ当な日本国民でございます。
最初に100点ほど品物を貸出してライブがスタート。
紹介者が品物を選別していきますが、前回と変わったかもと思った点は大きめの色石に興味を示さない事でした。地金製品にダイアモンドがつアでも報道されておりますが、地金という現物資産にニーズがあるのかな?。色石の中では唯一サファイア需要が高かったように感じましたが、ついてる顧客の好みの問題もあるので真実は不明です。
店内の品物をくまなく写真で撮影し、ネットワークの向こう側から「これを見たい」とリアルタイムでチャットが入ってくるので、基本的には対応に忙しい時間が続きます。
面白かったのは、「3カ月前に気になってた指輪がまだ売れてないから値引交渉して」という話などがでてくる点。中国語に翻訳された当店のページを見てくれてる人がいるというのは、分かってはいても不思議な話です。
ネット掲載作業が多い最近の質屋業務ですが、動画だと品物の紹介があっという間に終わりとても効率的だと感じます。
回線速度やサーバー容量にも関係しますが、近い将来、通販環境は大きく変わるカモしれないね。写真20枚掲載するより、30秒の動画の方が状態イメージ伝わりそうだし、2次元で表現できない光の反射や石の照りなど、いい事の方が多そうで、しかも早い!!。世の中どんな風に変わっていくのやら・・・。
建物のセキュリティーの関係もあるので、19時を過ぎた時点でシャッターは閉めさせて頂きました。
この方達は7時間以上もの長い時間、トイレも食事も休憩さえもとってません。この点に関しては以前も触れましたが、ずっと立ちっぱなしで話し続けてるにも関わらず、僅かな水分補給で働き続ける点において、労働に対する意識の違いを感じてしまいます。本日も多くの品物を売って頂いて(※買って頂いて)ありがとうございました。
終了後の品数合わせの20分ほどの待ち時間で最近の状況をお聞きしてましたが、同業者の競争激化や中国経済の影響が多大に影響して、売れ行きは下降気味との事。貨幣価値の高い国(【今は】米ドル圏内)での商売を模索し始めているなど、色々な話を聞かせて頂きました。通貨価値の下がった国から通貨価値の高い国へ品物を売ることは、単純で簡単な一つの方法である事は理解する一方で、この件については色々と考える部分もあります。国内でも30~20年前は多くの日本人バイヤーが世界中から今の彼らのように品物を買い付けてきてたんだろうな。並行輸入品がとても流行しオメガやロレックスも家電量販店で定価より相当安く購入できたけど、今は正規店で定価ですら購入できないのだから通貨安とは恐ろしいものです。
話はそれますが、産まれた自国を離れて通貨価値の高かった日本へ定住したこの方達は、その日本の通貨価値が下がり続けたら、やはり他国へ離れていくんだろうな。この流れが日本の若い方に芽生えたら、ある意味で「資本が別の国に逃避するキャピタルフライト」が人的資本で起こる訳で、人口減少が加速する可能性もあるのかも・・・と思うとゾッとします。SNS上の有名人で若く賢い人々が海外に居住してるのも事実だしね。金融資産に関してもNISA制度により継続的なキャピタルフライトが進んでいく事を想定すれば、人口減少と通貨安が進む可能性も空想できてしまうのが嫌だ。短期的には各国の利下げサイクル突入により、金利差の分は円高に振れる可能性が高いと個人的には考えてるので、【今のところ】通貨不安は【あまり】ありませんが、想像する事さえできない超長期はどうなっていくんだろうな?。あと、自分の老後を考える上で、今いる場所で「仕事」が成り立つのか?とか、商圏として機能しているのか?などをまじめに考えております。宮城県の高齢者割合は人口の約30%弱で、団塊の世代ジュニア世代が多く、2023年の出生率は全国で下から3番目の1.06人。では仮に人口の出入が無い場合、昨年生まれた子供達が成人する20年後には県内人口年齢分布と総人口はどうなってるか?。色々頭を悩ませますが、私は彼らのように、国々を渡り歩く能力も勇気もバイタリティーも持ち合わせておりませんので、取り合えずはバタバタとやれることを頑張り続けようと思ってます。本当にどうなっていくんだろうね~~?。中年には世知辛い世の中だ・・・。
本日は以上でございます。
2024年06月05日
鴫原質店の弟さんです。
社長様が仕入れてきたペンダントヘットに、1976年にジャマイカで発行された100ドル金貨!が入っていたので調べてみました。ジャマイカの金貨って初めて見るかも。
描かれているのはジャマイカの国章で、刻まれた文字「out of many,one people」は多くの部族から一つの国民という意味らしい。グーグル先生によると国の総面積は秋田県とほぼ同じで、人口は宮城県よりちょっと多い280万人くらいの国ということ。個人的なイメージはレゲエとかブルーマウンテンコーヒーとか陸上が強いとかな。調べた国をストリートビューで散歩する事が多いけど、グーグル先生が機能せずでちょっと悲しかった。
もう片面に描かれているのはネルソン提督。
この方はアメリカ独立戦争やナポレオン戦争で大活躍したとされるイギリス海軍の英雄様。でもジャマイカと何の関係があるのだろう?。
提督の後ろにひっそりと描かれてるHMS ヴィクトリー(ネルソン提督旗艦)と「PORT ROYAL」の文字に着目してみました。
ポートロイヤルとは17世紀にジャマイカで栄えた海港都市のようで、歴史の上では植民地時代の渦中。覇権争いの末、フランス領からイギリス領に代わり、その時代に実在した奴隷制度の下でジャマイカ経済が発展してきた歴史があるようです。そんな流れもあり、ジャマイカはイギリス王女を国家元首とするイギリス連邦の一独立国です。調べているうちにこの辺の歴史にハマってしまい、その辺を深堀しましたが、話が暗くなるから全部削除しました(←時間の無駄!)。不平不満はいつの世もありますが、最近の60年間が歴史的に見て平和で生きやすかった時代だった事を学ぶことができます。
その金貨の大きさははこんな感じ。
直径が約23ミリで重さは7.83グラム、金性は21.6金。発行枚数は約9千枚と少なく、現存してる数量は相当少なそうだね。
イギリス連邦に与(くみ)する国家で製造された金貨には、多くの場合エリザベス女王様がレリーフされているので、なかなか珍しい金貨のように思えます。それにしても、48年前の金貨にしては恐ろしいほど綺麗でビックリしてましたが、グーグル先生でジャマイカについて調べていたところ、数年前に限定10枚で、未使用のこの金貨が売り出されていたのを見つけました。もしかしたら、このジュエリーはその時販売された金貨を埋め込んだのかもしれませんね。ただ思うのは、この系のジュエリー需要は多いけど、金貨云々ではなく、金相場を眺めながら売れていくような気もしてます。金相場が上昇トレンドになればすぐに売れ、下降トレンドになれば余りそうな気もする。せめて金貨に興味を抱いて購入してくれる人がいればいいんだけど、ネルソン提督か・・・。肌感では美しい女性が描かれた金貨はすぐに売れてる傾向があると認識しており、男性が描かれているものは動きが鈍いのよ。少し前に書いた、世紀の遊び人が描かれたオーストリア500シリング金貨もまだ買手がつきませんし、そういう傾向を感じています。どちらも一応レア品なので売れればいいな~。
本日は以上でございます。
2024年05月30日
鴫原質店の弟さんです。
買取品の中に私好みのお品物がいたのでご紹介させて頂きます。
この子はロレックスのチェリー(Ref 3880)にという個体で、私よりも年寄りの方(笑)。
まずは裏蓋に刻まれた製造番号し大体の年齢を確認しましょう。
25で始まる7桁だから1968年頃製造ということで、約56歳!!。頑張って生き続けてる感じが心地よく、何かしら共感してしまいます。1968年の日本は高度成長期の真っ最中で、日本GDPベースで世界第二位となった年。1ドル360円と固定相場制でしたが、景気がいいとは言え、相当な高額品だったと推測されます。(←推測ね!)
個人的にこんな部分がいいな~って思うんだよね。
型を留めていないリューズは、如何にいっぱい使われたかの証!。スレて削れてロレックスの王冠マークさえ見当たらない。わざわざ削る理由などないので、洋服などに擦れ続けた結果がこの原因だと思われる。金(ゴールド)が柔らかいのは常識とは言え、スレて表面がここまで削り取られるというのは凄い事です。
硬度が高いステンレス製のバックルは形状を維持してました。
最高級時計って何故か金無垢やプラチナで造る傾向にあるけれど、そこに一体何の意味があるのか考えさせられます。柔らかいし重たいし傷つきやすいし、実用性を重んじる私のような人間には不可解な事だ。
裏蓋のオープナーを引っ掛ける場所も少し変形してました。
リューズほどではないけれど、日常的に手首に振れただけでこうなるんだね。頭の中では当然とは思いつつも、こうして目の当たりにする金(ゴールド)の柔らかさにはドン引きしてしまいます(汗)。
折角だから日頃目に触れる事はない中身も覗き見。
ロレックスの手巻きによく採用されていたCal.1600様。こちらは1960年代中盤から~1970年中盤まで製造されていたムーブメント。時計好きの方はすぐ気が付くと思いますが、この時計に防水という概念はなさそうだ。部品の欠品かもしれないですが、パッキンさえないのはかなり不思議な状況だね。普通はあんのかな??。
ネジの錆はしょうがないとして、歯車の間にも錆が見え隠れしてます。「動かしたら壊れそうだ・・・・な」と思ったけど、これは既に壊れてるというのかも。ってか動くのかね?(汗)。
歯車に傷が沢山あるので50年の間に何度かオーバーホールはしてそうだけど、この状態を今からメンテするのはしんどい・・・。錆びたネジを取って、非純正で新しいネジを造るだけで2万円位。それに歯車とゼンマイとその他もろもろを交換すると一体いくらかかるか想像もできないや。そんな部分を考慮すると、この子の道具(時計)としての役割は終えたのかもしれないな。愛用され続けたこの子が、いま私の手元にある理由がそれなんだろうね・・・。50年間おつかさ様でした。いっぱい使って貰って良かったね!。
裏蓋を見ると正規店で一回だけオーバーホールをしてるようでした。
このブログで何度かこのような画像を掲載してますが、時計をとても大切にしてる方にはショッキングな部分。裏蓋にひっそりとメンテナンス記録のような文字が刻み込まれますが、削って落書きしてるようにしか見えないのは私の歪んだ性格だからに違いない。
個人的にはこのように沢山使って貰った時計を鑑賞するのが好きだったりします。数十年間も使用し続けた品物を、私が一つも所有していない事が原因かもしれません。子供の頃好きだった「ぬいぐるみ」などは保管してるけど、汚れ切ったものを思い出として置いてるだけ。以前書いた事があるお気に入りのバッグは、「一生使いたい」という思いから5個ほど保有してるけど、所詮使い捨てだと思ってるから同じもの買ってるしな。少し前までは「一生もの」という言葉を使う人が多かったように思うけど、1人の人間が死ぬまで使える道具って、今の時代において何があるんだろ?。何一つ思いつかないのは、私の頭が悪いからなのか、それともそれが当たり前なのか、少し悩んでしまいます。
本日は以上でございます。