鴫原質店の弟さんです。
買取品の中に心トキメク腕時計があったので取り上げます。それは1970年前後に発売れてたオメガのコンステレーション。型番はRef.168.017で、とても精度が高い事を証明するクロノメーター規格合格者です。業界ではCラインと呼ばれるデザインで、時計デザイナーのジェラルド・チャールズ・ジェンタ様がデザインされた事で有名な話。2011年に享年80歳でお亡くなりになられましたが、パテックのノーチラスやAPのロイヤルオーク、オメガだとポラリスなんかもこの方のデザインらしい。
そのような時計のウンチクも悪くないけど、私の思考回路は50年以上前の時計という部分に興味津々です。文字盤のタコプリントやサイクロップレンズなど、構造や出来具合や仕上がりが今時の時計と殆ど変わらないように見え、50年以上前に腕時計の技術は殆ど完成されてた事を実感します。確かこんな事をグランドセイコーの時計を題材にした時にも書いた気がするけどね。今現在50万円位で発売されてる時計より、繊細な部分の造りはずっといい感じがして、オメガというブランドが繁栄し続けてる理由を納得してしまいました。
アンティークの雰囲気を感じさせるプラ風防に味がある!。オメガのブランドマークも今とは異なるので、好きな人にはハマりそうだ。因みにこの子は「前期型」と呼ばれており、「後期型」も存在します。1970年チョイ過ぎから販売されてたその「後期型」は風貌がプラ(アクリル)からガラスに変更。文字盤のロゴ配置が変更され見た目が少し変化し、ムーブメントはCal.1011に変更されました。発売当初から「前期」や「後期」と呼ばれていたとは考えずらく、中古市場が発展しアンティークの知識が積み重ねられるうちに、しっかりと区別する為に誰かが命名したのかな?。よく分からんけど・・・。
金属同士がぶつかる部分のメッキが剥げてる部分がありました。ずいぶん綺麗だな~なんて思ってたけど、スレ傷程度は至る所にあり、とても大切に使用されていたことが想像されます。
背面には天文台のメダリオン。このデザインってグランドセイコーや服部セイコーなどにも見られ、1960年代の最先端のデザインだったのかな。しかしこうして見ると、こじ開け機具を入れる裏蓋の溝も今と同じ構造で、昔の発想や技術が完成形となっていて、変更させる必要も余地もないのかしら?。今の時計機具で全て対応が可能な点が面白いよね。同じものでは値段を高くできないから、試行錯誤の末に時計の高級化とブランディングが始まったのかもしれない・・・(個人の意見です)。
そして普段はみる事のないムーブメントを拝見します。Ref.168.017に搭載されたのはCal.564。リューズを2段引っ張ると日付調整できるタイプで、今の主流とはちょっと違います。全体にメッキ処理がされていて、凄い高級感とこだわりを感じる心臓部でビックリします。50年前の品物とは思えない輝きが素敵だね!。
細かな部分も観察させて頂きます。内部はほんの僅かな傷がある程度で、この50年間の間に人の手に触れる機会が少なかったのかな?。錆や腐食も見られず、歯車もとても綺麗。油切れの症状により僅かな異音とゼンマイの劣化により日差は安定しないけど、自動巻きは時間がズレるものだと分かってさえいれば問題ないもんな・・・。ところで、ムーブメントNo(※564)の上の数字ってシリアルナンバーだよね?。シリアルが24から始まる8桁だから1966年製造ということになり、御年58歳だと判明!。今時の若い子に全く引けを取らない素晴らしい状態です。もしかして動き過ぎない事や余計な事をしないのが健康の秘訣だったりして・・・。人間も激しいスポーツや薬の飲みすぎは短命に繋がるっていうもんね。
裏蓋の裏側はこんな感じ。落書き発見で、1回はメーカーメンテナンスを受けている事が判明しました。ネジ山の傷やローターのスレ傷はその時についたものかしら?。色々詮索して想像するのが楽しかったりします。
この58歳の中年と今時の若い子達を比較すると、防水性能やステンレス耐性や帯磁性や姿勢制御など、発展した部分が多いのは紛れもない事実です。ただその部分って日常的な時計機能として不要な部分も多く、その代償として失った「薄さ」と「軽さ」と「コンパクトさ」と「手軽さ」が、その潮流で製造された腕時計の実用性そのものを減少させた気もしてます(←完全に個人の主観です)。とはいえ、その部分を見直す流れが少しでてきのかなと感じる事もあり、多くのメーカーで36ミリサイズの新作が発表されてる点がその一つ。巨大化一択の流れが少し変わったのかな?(※個人的発想)。そしてもう一つ、そんな潮流を一蹴したオメガのスウォッチコラボモデルには好感が持てました。スウォッチのカジュアルさやカラフルさが、伝統的なスピードマスターデザインを可愛らしくしており、コラボだからできる素晴らしいアイデア商品と思います。「安く」て「軽く」て「薄く」て「手軽」で、こんな感じの「Gショック」のアクアレーサー(←タグホイヤーの時計)コラボとかもでればいいな。3万円位の売値で出てくれたら、いっぱい揃えたい(笑)。腕時計を道具として見るか、アクセサリーや資産として見るかで、商品に対する考え方や思いが二極化してるのが現状のように感じており、このような選択肢が増えるのは、ユーザーにとってはありがたい事のように思えます。スウォッチって結構頑丈だし電池もちいいし殆ど故障しないけど、ぶっ壊れるまでガンガン使ってあげられますよね。しかし、スウォッチコラボのスピードマスター、まじ可愛いな~~(笑)。いい面でもチョイ残念でもある点として、色合いが可愛すぎるのよ!。私のようなオッサンが身につけるのは、相当な勇気が必要かもしれんね。
本日は以上でございます。