質屋のスタッフブログ
2021年06月18日
鴫原質店の弟さんです。
今回は少し前の事ですが店頭で買取した腕時計について。
こちらは1987年に日本国内で限定発売されたパテックフィリップ カラトラバ。グレーとシルバー、そしてこのアイボリー文字盤のラインナップで各種50本、合計150本の限定販売品という非常に希少価値の高い品物のようです。素材はステンレスで型番は「3923A」。一般的に発売されていたカラトラバ「3923」は金無垢なので、限定品という付加価値はあるものの、ステンレス製であるこの品物がお客様にどのように評価されるのかが興味深いところ。ケース直径が31.5ミリの小ぶりの時計で、腕時計の巨大化が進む今の現状ではレディースサイズに感じてしまいますがメンズ用です。
売って頂いたときの状況はというと、査定金額を提示して一度はお帰りになられましたが一週間後に再度来店されて、前回の値段なら売りたいという話で商談がまとまりました。希少な品物である事は間違いないので、多くの店舗で見積もりを取られたのでしょう。他店とどのくらいの差があったのかは知りませんが、お譲り頂いて良かったです。
ところが買取させて頂いた後に【時計が壊れている!】事に気が付きます。事前の見積の時は何の問題もなかったらしい(←他の人がやったから知らない!)のですが調子が悪い。確認しない方も悪いが、一体どこの誰が壊したのか(涙)。それに壊れてるものを同じ値段で買っちゃダメじゃん(哀)。
そしてここからようやく本題に。上記のような経緯があり、こちらのお品物は正規代理店へ入院(メーカーオーバーホール)となりました。
入院費は消費税込みで228,800円なり~~~~~~!。世界が誇る時計メーカー様の正規メンテナンスなので請求される金額のみが妥当な金額。保証書が無い品物ですが、メーカーでの正規メンテナンスという安心感により莫大な付加価値が加わり、その商品価値は一段と高まったことでしょう!‥‥‥‥(本当か?)。
ベルトもピッカピカの未使用品になりました。
裏にパテックフィリップのロゴが刻印されたクロコダイル製!。クロコダイルのベルトは安いもので5~6千円で買える時代に、このベルトはなんと60,500円。このロゴの刻印にそれだけ付加価値があるという事ですね。
パテックフィリップって
「なんか」凄いね!。
そしてケース仕上げが47,300円!。当店は一般的なケース仕上げを通常1万2千円(税抜)でやっているので、この金額には少し驚きました。何か特殊な事があるのかなと仕上具合を見ても、特に変わったとこは無いような気が。
形状を変えず薄く表面を削って、商品のベースを崩さない感じのタッチかな。私も簡単な仕上げは自分でやるので「この傷は消した方がいいかな~」とか興味深く見てしまいました。この仕上げに関しては、パテックフィリップ正規代理店がやったという事実を証明する【領収書】がとても(×3)重要です。この領収書が無ければ、「私が仕上げしたもの」か又は「当店提携工房が仕上げしたもの」か「正規店で仕上げしたもの」かなんて判断する方法があるのかどうか。
とはいえパテックフィリップの正規メンテナンスで仕上げした事実がとても重要で、それは私の感覚ではなく一般認識だと思います。だからこそ同じ仕事でも高額に設定でき、その価格設定に対して誰も疑問を感じません。それこそ値段に対して疑問を頂くような方は、パテックフィリップのお客様を続けることはできないのかも。
パテックフィリップって
「やっぱ」凄いね!。
時計修理に限らずどんな業界にも言える事ですが、同じものを販売(提供)するにも、利益をより多くとれるということはとても大切です。そしてまた、支払側が満足し納得するもの(事)であれば「高い」という感覚さえありません。本当に凄い事ですが、それこそが長年培ってきたブランド力そのものであり、他では変わることができない存在であるからできる事なのでしょう。今回はパテックフィリップの値段設定を見て色々と考えてしまいました。
どんな業界であろうと、このような独自性を持つことが重要なはず。そしてふと自分に当てはめてみると、一体何ができるかなど考え込んでしまいます。ブランドそのものに価値があり、その価値ある品物の中古品を販売している私たちが持てる独自性‥‥‥‥、そんなのあるのだろうか。ましてや質屋という事に関して言えば価格競争以外には、一般的ユーザーが望むことがあるのだろうか。安心感や昔からの付き合いとか周りからの評判とか、確かにそういうものはあるにせよ、むしろ価格競争で勝負した結果として周りの評価がある気がしてなりません。
インターネット経由の販売が主流になりつつ今、色んな事が変化しているので今一度何か見つけないといけないのかもしれませんね。なんだか思考が纏まらないし、だらだらしてきたのでこの辺で終わります。最後に、昔からよく知っている事ですが今回は改めて思い知りました。
パテックフィリップって
「ホント」凄いね!
本日は以上でございます。
2021年06月14日
鴫原質店の弟さんです。
大体いつもですが今回は更に凄くどうでもいいお話です。お店(質屋)で働いている時に実際にあった出来事ですが、質屋との関係性はありません。でも地元のご年配のお客様と会話している時の予備知識としては、もしかしたら役に立つかもしれないお話かも‥‥(?)。ご興味あれば是非ご一読下さい。
数日前、仕事中に私のベルトのがポロっと外れました。
お客様から「使ってくれ」とタダで頂いたもので、長い事愛用しているベルトの革が劣化により外れただけの事でした。傷んだ部分をハサミで切ってまた使う事ができるので、すぐに調整して装着しなおします。その時の事ですが、ベルトが外れた時に私は独り言で呟いたそうです。
「ベルトふっちゃけた」
何も意識してないので覚えていませんが、周りの反応により私がそのように言ったという事が後から認識できました。
兄嫁:「ふっちゃけた」って何ですか?。
私 :「ぶっちゃけた」とか「ふっちゃけた」って言わない?
兄嫁:旦那(社長の事)さんもたまにいうけど…。
私 :壊れたときに言わない?。標準語だと思うけど‥‥。
兄嫁:違うと思います。
私 :M君~、「ふっちゃけった」って言うよね?。
M君:「言いません」。
私 :そうなんだ‥‥。標準語だと思ってた。
話のやり取りなので若干のズレはあると思いますが、大体こんな会話があったように思います。
私の祖母は宮城県の海沿いにある島育ち。当然ですが訛りが酷く、子供の頃は何をしゃべっているのか分からない事もありました。子供の頃から父や母が使う言葉などは自然と覚えていくもので、それは普通の言葉という認識で覚えていきます。親とは違う言葉を話す祖母達が訛っているという、恐ろしく身勝手な勘違いに気が付いたのは大学生の頃です。「仙台弁」とか「宮城弁」というらしいですが、私自信も他県の人が聞いたときに、意味不明な言葉を日常用語として使っていた事を知りました。
何となく有名どころの単語を紹介します。
【ジャス】
小学校で着ていた体育服(一般的にはジャージ)。学校から配られる準備品を周知するプリントで、しっかりとジャスと書いてありました。中学校でも先生方はジャスと呼んでおり、やはり準備物のプリントにはジャスと書かれてました。ただ高校生活から、体育の先生が「ジャージ」と言うので私の言葉もジャージに変化します。自分の子供達に「ジャスって知ってる?」と聞いたら、「何それ」と反応します。もう死語のようです。どっから出てきた単語なのか今ではとても不思議ですが、30年前の仙台市内の小中学校では普通に使われていた言葉です。
【ジョイント】
今は亡き父がいつもホチキスをジョイントと言ってました。小学校ではホチキスと呼んでいたので、方言だという事は幼少期から気付きました。これはきっぱり聞かなくなった単語です。きっと死語なのかも。
【いきなり】
「とても」という意味で今でも使います。例えば、「いきなりうまい」とか意識もせず言います。意味は「とてもおいしい!」を少しびっくりして言う時とかに使ってしまう。いきなりは「とっても、とか凄く」という意味。これが方言と気が付いたのは大学生活の時です。繰り返しますが、私は今でも普通に言いますし、周りの友達も言っている気がします。
【とうきび】
うちではトウモロコシの事を昔から「とうきび」と言います。因みに福島県出身の私の奥様は「とうみぎ」と言います。地域によって全然呼び方が違うようですね。
そしてここからは、すぐに思いつく祖母が話していた単語を意味と共に羅列してみます。今では聞かない言葉ですが、ご年配のお客様がたまに使う事もあるので理解できないと接客ができないかも。
【おしょしい(おしょすぃい)】
恥ずかしい。「おしょしぃ~な~」とか。
【がおる】
具合が悪いとか疲れたとかいう意味。「がおった~」とか。
【ごっしゃく】
怒る。「ごっしゃくぞ!」とか。
【けさい】
「〇〇して」との依頼の最後つく。「ごみ捨ててけさい」とか。
【いずい】
なんか変だ的な意味。「目~いずいなぁ~」とか。
【おだつ】
調子に乗る。「おだつなよぉ~」と叱られたり。(※調子に乗るなよ!という意味)
【めぐせ】
みっともない。「その服、めぐせぇ~ぞ」とか。
【モダン】
洋服売る時など商品を褒める意味で「もだんだ~」と言ってた。英語の「MODERM」を「もだん」と読んだと推測できる。現代的?今時?などとにかく目新しい的な意味だと思われる。正直今でもあまり分からない。
【あがらい】
お客様を出迎える時、又はお家に入りなさい的な意味。
【ひまだれ】
時間を潰すという意味。「ひまだれして、ごめん」とか。(あなたの時間を無駄にしてごめんねという意味)
【んで】
「さよなら+またね~」という意味。「んでね~」とか言う。私は今でも使う!。
発音方法が文面だと伝わらないのが残念ですが、実は私も上手く発音できません。それでも幼少期の記憶で、祖母達ご婦人方が話していた言葉なのでよく覚えています。「ひまだれ」に関しては今でも結構聞く言葉で、来店したお客様が何も購入されない場合に「ひまだれして、ごめんね」など言われるときも普通にあります。
こんな感じで私も時々変な言葉を使います。何も意識しないで話すときに多いかも。日常のなんてことの無い出来事から、ほんの少しですが仙台の方言を紹介してみました。尚「いきなり」については、岩手県南三陸出身の友人が「いぎなし」という類義語を使うので、元々は海の言葉かもしれませんね。繰り返しますが、私の回りでは結構聞く言葉なので、今でも幅広い世代に使われているのではないかと思います(←若い人は使わないと思われます)。
「ふっちゃけた」という方言の話を書こうと思って始めましたが、気の向くままに書いていたら気持ち悪い位に長く続いてしまいました。いくらでも書き続ける事が出来そうなのでもう終わりにします。本当にどうでもいい話ですみませんでした。
本日は以上でございます。
2021年06月11日
鴫原質店の弟さんです。
先日ご来店頂いたお客様よりK18ペンダントヘッドの買取査定依頼がありました。
18金の枠の中には見た事の無いコインが入っており、3分ほど手持ちの資料で色々調べるも情報なし。結果的にたった1つだけですが、海外サイトで同じコインが販売されているのを発見し、その情報を元に21.6金のコインとして査定し売って頂くことになりました。
という事で、譲って頂いたので遠慮なしに解体します!。
今回は情報が少なかったこのコインについて書いていきます。尚、もともとはコインをガードするガラスが両面に貼ってある構造だったものが、ガラスが割れて壊れており、ペンダントヘットとしての再利用は少し難しそうな状況です。
早速このコインいついて。片面のデザインはこんな感じ。
ポイントは「BERMUDA」と「1977」と「100ドル金貨」という3点。バミューダ(Bermuda)は北大西洋にあるイギリスの海外領土で、日本では「カリブ海に浮かぶ島」とか「バミューダ諸島」などで知られております。海外旅行で人気のスポットのようです。この国で使われている通貨はバミューダ・ドルというもので、アメリカのドルと為替レートで固定されており、等価で取引されているとの事。1977年にバミューダで造られた100ドル金貨のようですが、恐らく記念硬貨的な存在だと思います。発行枚数は今のところ分かりませんが、今後どこかで見る事があれば情報を追記します。ただ、人口が5~6万人の小さな国(←領土?島?)で造られた品物なので、絶対量は少ないと推測できます。尚、この金貨が現地で1万円位の貨幣(1ドル100円計算)として使えるかどうかは不明です。(※使えても使わないと思うけど)
もう片方にはエリザベス2世が描かれてます。
コインの左側の「SILVER JUBILEE」という文字は、日本でいうところの銀婚式の意味。1952年にイギリス王女に即位したエリザベス2世の即位25周年を祝い、遠方の領土であったバミューダで本国(イギリス)の女王様の為に「バミューダ 100ドル金貨」が1977年に発行されたと推測します。繰り返しますが全部私の「推測」で、正確なことは全く分かりません。この辺も引き続き情報更新ができればいいなと思います。
コインの直径は約2.4ミリ。
重さは約8.1グラム。
ついでに水中での重さも計り比重を確かめます。
比重=8.11/(8.11―7.64)=約17.3
情報通り21.6金(約90%が金)と判明(※分からないものを買っているので一安心)。
という事で約半世紀前に小さな島で造られた「1977年バミューダ100ドル金貨 エリザベス女王25周年記念」をご紹介させて頂きました。仕方のない事ですが、使用に伴う傷が多くあるのが残念ですね。
美しく描写されたエリザベスさんの頬の傷がなんだかとても痛々しい。こういう傷が全く無く、保存ケースなどに入っている鑑定済みのものはきっと高く売れるんだろうな。
こんなに色々と書いてきたこのコイン、普通であれば今月の中旬には溶かす事になります。いつもの事ながら、これを溶解してしまっていいのか本当に悩んでました。とっておけば100年後にはもっと珍しい物になる可能性が高いし、なんだか歴史的な過去の背景とかを考えると、勿体ない気がしてなりません。価値を感じてくれる方がいればいいのですが、なかなか難しい時代です。ネットで販売してみようかな~など、本気で考えていました。
という感じで嫁ぎ先をどうしようと考えていたら、昨日6月10日夕方にいつもの常連さんが買ってくれました!。金属相場に5千円をプラスした金額で、儲けというほどの利益はありませんが、次の持ち主が決まって良かったです。品物にとっても喜ばしい事だと思いますし、この子はきっと私に感謝しているに違いない!(←思い込みというなの妄想)。
このエリザベスさんがこの先どのような運命になるかは分かりませんが、私の手元にいた記録としててブログに書いてみました。恐らく今後、このコインを見る事は2度と無いだろうと思います。少し寂しく感じるのは、娘を嫁に出した父親の気持ちのようなものでしょうか。あまり期待してませんが、大事にして頂きたいものです。
本日は以上でございます。