鴫原質店の弟さんです。
前回の続きで、宅配買取の2回目について。沢山あるダンボールを開けていくと、丁寧に梱包されたバッグが入ってました。この時点では前回と同様に状態の良い物を想像してワクワクしてました。
そして保存袋から取り出したバッグは約半数がこんな感じの状態。中古屋さんの私は、カビや匂いに対してある程度の耐性があります。ただここまで繁殖しているのはあまり目にしません。範囲が広く厚みもあり、長期間かかって育っていった事が想像されます。全て2010年~2012年に発売されていたバッグなので、使用感がないものは10年間ただ保管されていただけなのでしょう。経験上のお話ですが品物を多くお持ちのお客様で、使わないで保管しておいたという方は結構多いです。
問題はお客様がこれを知っているかどうか?。第1回目の見積書に「カビ」と記載ある箇所が1点ありますが、その点をお客様に伝えた時「カビ生えていた? 気が付かずすみません」的な会話があったということ。前回は12個、今回は13個という多くの個数を梱包して送付頂いてますが、状態の確認をお客様がするとは思えず頭を悩まします。
そこで通信販売の商品説明画像と同様に、減額ポイント(主にカビ)の写真を撮って見積書と一緒に複数の画像を送付することにしましす。「バッグにカビが繁殖している」と電話で伝えても程度は伝わりません。かといって「カビだらけ」とか「大量のカビ」とか、お客様のお品物にケチをつけるようなことは言えませんので、見れば一目瞭然という画像を送付させて頂きました。上記はその一部ですが、通信販売で商品画像を撮る感じで、バッグの状態を見て頂きます。
査定に関しては、あまり使っていないバッグという認識があった為、お客様が期待する金額では無かったようです。とは言っても状態を見て頂けるとご理解頂けたと思いたい。カビの生えていない綺麗なバッグに僅かな値上げ交渉がありましたが、最終的には全て譲って頂けることになりました。何とかご満足頂けたようです。そしてまだ時計とかバッグがあるので少し期間を開けて送ってくれるとの事。「発送するのに疲れた」と言っておられました。その気持ち分かります!。
宅配買取は気を付けないといけない事が盛りだくさん。特に状態の確認をお客様がしているかどうか、届いたその時からどのような状態だったかを、送る側と受け取る側で共有しないとトラブルになりそうですね。まさに通信販売とあまり変わらずかな。でも見るポイントや見方も違うので、状態を完全に共有するのは非常に難しいことだと感じてしまいました。ライン査定とセットにして使っていけば、もう少し上手くいくのかな。
ちなみに店頭で査定してる時もよくある話ですが、「カビなんて拭けばいいじゃん」という方は比較的多いです。ただ現実的にレザーやキャンバスに繁殖したカビの駆除は本当に難しい事。拭いて一時的に綺麗に見えても、実は根っこがこっそりと残っており、カビの繁殖に適した環境になるとめきめきと繁殖する事が多いのです。その為、当店ではカビの痕跡がある商品は一切販売しない事にしてます。拡大してみるとカビの跡って一目瞭然でしょ。ルーペやマクロレンズを多用する私たちの場合、カビの繁殖跡ってすぐ気が付いちゃうんです。そして、今回買ったようなカビの商品はどうするかというと、海外のバイヤーさんで、カビとか気にしない方が沢山いるので、そちらにお任せするかな。日本のジメジメした環境で繁栄するこのカビ達、海外のカラッとした環境では成長しないのかもしれないね。本当に全く気にしないバイヤーさん多いので。
色々と書けることはありますが、今回の宅配買取の件については終わりたいと思います。因みに上の方にある2枚目に掲載された画像の、ハンドル含めて全体がカビで覆われているバッグですが、見積書の4段目の¥33,000で買取させて頂いております。これが高いか安いのかはお客様のご判断にお任せします。ただ現実的な話として、このバッグを仮に元値の¥33,000でお店に陳列していたとしたら、売れない事はもちろんの事、お店にカビ菌が繁殖する可能性もあり、更には来店されたお客様にもとても不快感を与えてしまいます。改めて思いますが、なかなか厳しい業界ですね(笑)。
本日は以上でございます。