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B-ZERO1の意味不明な刻印

鴫原質店の弟さんです。

今年の初旬にブルガリのB-zero1ネックレスを店頭で買取しました。今回はその品物についてのお話です。ブルガリのB-zero1ネックレス付属品もあるので、お店で販売する為に写真を撮影していきます。

今まで何度も見てきたブルガリのB-zero1。各部の造りロゴの彫り方やチェーンの作りなど全てが見慣れたものです。何も考えずにパシャパシャと単調に撮影していきました。

ロゴの彫り方や刻印はとても特徴的です。刻印の彫り方グラインダーのようなもので彫ってあるのか、字体の底部に痕が残っているのが大きな特徴。粗さがあるようにも思えますが、細かい部分まで統一された造りになっており、とても良くできた品物だと思います。

私は商品画像を見て頂けるお客様に、正確な大きさを把握して頂きたいという思いから、商品と定規と一緒に撮影する事が結構な頻度でありますが、その撮影時に猛烈な違和感を覚えました‥‥‥‥‥。意味不明な刻印ナニコレ?。普通は何もない場所に何かあるぞ!。(赤丸の幅1mmの大きさです)見慣れたものだからこそ気が付いた、まさに極小な違いです。

大きさが小さすぎるので、ルーペでも何が書いてあるかよく見えません。こんな時は40倍の倍率を誇る顕微鏡さまで覗かせて頂きます。刻印を顕微鏡で撮影した画像僅か1ミリの幅に「750C2」と文字が彫ってありました。しかも凄く鮮明に!。簡単にこんなことできるはずもなく、とても凄い技術のような気がします。

この刻印は一体なんでしょうか?。長年何度も繰り返し見てきた商品ですが、初めてのケースです。造りを見ても正規品に間違いないと判断しますが、「普通と違う刻印があること」で偽物とかコピー品とかと指摘される可能性があることは、例え可能性だけだとしても、お店にとっては大きなマイナスになります。とにかくこれが何なのか知りたいので、メーカー(ブルガリ)様を頼る方法を選びました。

という事でメーカー(ブルガリ正規店)に新品仕上げを依頼し、この件について訪ねてみる事に。修理から戻ってきた商品2カ月程の期間と13,200円の費用がかかりましたが、商品はピカピカになり付属品も増えました(笑)。増えた付属品は修理明細書関連3枚と簡易ケース。もちろんメーカー(ブルガリ様)からは「当社の製品に間違いない」と明確な返答を口頭にて頂きました。ただ、この刻印についてはアトリエ(←工房)でも「正確な事は分からない」とのこと。それが知りたかったのに~~~、とても残念です。

一体どんな経緯でこれが刻印されたのか?。しかもこんな目立つ場所に!(実際は小さすぎて目立ちません)。意味不明な刻印それでも商品の特徴としてバッチリ画像を掲載し、胸を張って販売したいと思います。決して偽物やコピー品ではなく、世界企業であるLVMHグループの一員である、ブルガリジャパン様からもお墨付きを頂いた品物ですので。

同じものを何度も見ていくことで、「造り方」だったり「素材」などの知識が蓄積されていきます。それらは一見してすぐに気が付くこともあれば、ルーペで見ないと分からないことも。そして品物の個体差などもたまにあり、コバの仕上げが荒いものとか、タグが曲がっているもの、刻印が薄い物など、が存在するのが現実です。トータル的にブレない為に「普段見ているものと違う」部分を見つける方が真贋判定ではとても楽なやり方なのかもしれません。それも一つや二つでなく、全体的な整合性で品物を見る事で、その判断はより安定していきます。多少造りが悪い箇所があったとしても、それだけで偽物と判断せず、色々と見ていく必要があるのではないかと感じています。それ故に「本物はこうなっている」と明確な定義をつくるのは、意外と難しいのかもしれません。

例えば今回のこの出来事、もしこのような品物をヤフオク!などで説明もなしに販売したら、「偽物を売った」とかでトラブルになる可能性があります。当店では商品を買取している時点で、間違いない物として判断してますが、「その判断が正しいかどうか」を判断するのもお客様側の特権。一般的な品物と一目瞭然の違いがあるこの品物に関して、「コピー品では?」と疑念を抱くのは普通の事です。私たちもそう思うのでメーカー(ブルガリ)に最終的な後押し(判断)をしてもらう為、費用をかけた出来事でした。

因みにとあるメーカー様では、コピー品を修理に出した場合、品物が帰ってこないことがあります!。判断は慎重にしていかないとね。

本日は以上でございます。

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