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質屋のスタッフブログ

1987年発行イギリス「ブリタニア金貨」

鴫原質店の弟さんです。

質流品の中には心惹かれる金貨があったので取り上げます。ブリタニア金貨の画像1987年より現在に至るまで、イギリスで発行され続けている地金型金貨「ブリタニア金貨」。そして写真のコインは1987年の表示があるので初期ロットです。こんなに綺麗に残っているって、本当に素敵ですよ~(涙)。「ブリタニア」という単語に関しては、グレートブリテン島を指す言葉として紀元前に生まれた、ラテン語に由来するものらしい。

表面のデザインはこんな感じ。ブリタニア金貨の表面を撮影した画像イギリス連邦の女王様であるエリザベス2世さんが描かれており、細かな描写は変われど、そのコンセプトは今も尚変化がありません。どの年代のコインを見てもエリザベス2世の肖像が描かれており、「どんな表情をしているのか」を観察しても楽しめます。※この件で別の日にブログを書く事にしよう!。

裏面にはイギリスを擬人化したという「ブリタニア女神」様。ブリタニア金貨の裏面を撮影した画像三つ又の矛とイギリスの国旗を連想する盾を抱え、ドレス姿に兜を纏い、そして左手には平和の象徴であるオリーブの枝、という強さや平和などの多くの願いや感情が込められたデザインだと私は感じてます。女神様の目線の先に何があり、この描写にどんな思いが込められているのか、考え始めるとワールドにのめり込みそう。このデザインも発行年数により僅かな変化はありますが、2022年発行の金貨にもこのようなコンセプトが描かれています。

1/2オンス FINE GOLD(純金)と表示とありますが、この金貨は純金ではありません。ブリタニア金貨の比重地上での重さが17.05グラムで、水中での重さは16.7グラム。17.05÷(17.05-16.7)=比重=17.39となり・・・・、これは望まない結果(汗)。17.4~17.7位の値がでて「これは22金ですね!って言いたかったけど、比重計の水が汚れてたのかもしれませんね。やり直しとかする性ではないので続けますが、このコインは22金(金が91.7%)です。表示は1/2オンス(約15.5グラム)の金が入っている事を意味し、17.05×0.917=15.6グラム(←またズレた!正解は15.5)となり、比重計の調子が悪い事以外は証明できます。前に取り上げたイーグルコインやクルーガーランドコインと同じですね。因みに、ブリタニアコインは1987年~1989年までは金と銅の22金コイン、1990年~2012年までは金と銀の22金コイン、そしてそれ以降は24金のコインとして製造されているようです。ブログって結構勉強になります。

この金貨と一緒にこんな品物もありました。綺麗なイーグルコインの画像6月に紹介したイーグルコインの1オンス!でしかも1986年の初期ロット。どちらも発行初年度のものを35年間も大切に保管していたのかな。こんなに綺麗に残っているなんて・・・、なんだか色々な感情が沸いてきます。イーグルコインについて前に書いたブログにリンクを貼ります(こちら)。因みにブリタニア金貨もイーグルコインも特に珍しい金貨ではなく、発行が開始された年号の金貨で綺麗なものが少ないので取り上げております。

もともと地金型金貨は実物資産投資用にと発行されている経緯もあり、どこかのタイミングで換金して利益を確定するは当たり前の事です。ただ私は「手放すのは惜しくないのだろうか?」とも感じました。しかもこれだけ綺麗な状態なので「販売できないか?」と考えましたが、現状の相場変動のリスクにが粗利は耐えられない可能性を考慮すると怖くて保管できません。私もコインを眺めるのが好き人間であり、たまたま目の前にあるのではしゃいでますが、これを今の金相場の値段で欲しいかと問われると買えませんからね。ちなみに、同じ方のコレクションに他にもいくつか金貨があったので、別の形で取り上げてみようと思います。せめて記録にだけでも残しておきたいという思いがあります。

本日は以上でございます。



「P5 SV95」刻印とは ジュエリーマキ

鴫原質店の弟さんです。

お店で買取した品物に見た事ない刻印があったので、少しだけ時間を使って調べてみました。ジュエリーマキの商品にあるP5SV95という刻印ジュエリーマキさんの商品である事を示す刻印の横に「P5 SV95」とあります。SV95に関しては何となく「シルバー95%」という想像ができますが、P5って何だろう?。グーグル先生に聞いてみると「プラチナが5%入ってる」と記載しているところが複数あり、最初は「そうなんだ~~」的な感じで納得します。

プラチナが5%の場合、試金石に載せた痕跡がどんな感じで消えていくのか?。意味不明に興味が湧いてきたので、遊び半分で確認してみる事に(←仕事しろや~~って後ろから聞こえる気がする!)。P5SV95の金属を試金石に擦りつけ硝酸をかけた画像指輪の外側をガシガシと試金石に擦りつけその痕跡に硝酸を注ぐと、白い煙と共に全てが消え去ってしまいます。プラチナって王水(濃塩酸と濃硝酸の混合液)以外で溶けないはずだから、擦りつけた部分にはプラチナなかったのか?。

取り合えずプラチナが入っている事を確認したいので、指輪を切って断面を満遍なく試金石に擦りつけてみました。P5SV95の金属を切って断面を試金石に擦りつけ硝酸をかけた画像そして硝酸を注いでみたのですが、白い煙と共に全てが消え去ります。しかも徐々に溶けるという感じではなく、速攻で消えてしまいました。金属の配合の問題なのか、少なすぎるプラチナが試金石の上に載らないのか、なんか腑に落ちないし理解不能な状況です。

馴染みの地金屋さんがお店に来た時に「P5 SV95って何ですか?」と聞いたら、5%程度プラチナが入っている金属で、SV925と同じ扱いをしているという事でした。ネットの情報と全く同じ事を言っています。個人的に納得できない為、「これのX線分析をお願いできますか?」と依頼すると、「成分表を印刷せずにX線検査の結果を示す画面の写真を送るという事であれば、無料でやりますよ」となりまして、東証一部上場会社で日本有数の地金会社様のX線装置を使っての検査結果を待つ事に。

そして送られてきた結果の1部がコレ。成分分析の結果その1金(AU)0.009%、銀(AG)95.57%、銅(CU)0.074%と表示があり、「P5 SV95」と刻印があった指輪の大体の成分が分かりました。ただ、この金(AU)と銅(CU)に関しては、パーセンテージ的に考えてみても、「ぶつかったってついた」なども考えられ完全無視するのがいいと思えます。そういう見方で見ると95.5パーセントが銀である金属と判明です。

そして残りの成分は・・・・。成分分析の結果その2なんとパラジウム(PD)でした!!。銀とパラジウムの混合物なので硝酸で全て溶けた事も納得です。数値のズレが若干あるけど、95.57%+4.600%=100.17%なので信頼できる数字と考えても良さそうです。

そして成分分析結果の画像を送ってくれた担当者の方にメールでお礼を伝えます。お礼のメールこのやり取りを見ても「パラジウム」が入っている事は想像していなかったのかな。正直言って、どうでもいい話である事は間違いなく、わざわざ調べる気もないのでしょう。現実的に「P5 SV95」はSV925と同じ銀扱いで、高価な金属でもない上、ジュエリーマキさんの商品としてのみ存在し、グラム数も個体数も少ないのが事実です。こんなことに高価なX線検査機を使って頂きありがとうございました。

という事で、今回色々と弄った「P5 SV95」と刻印された金属は5%のパラジムと95%の銀の合金と判明しました。ただ、一つだけ忘れてはいけない事ですが、あくまでも目の前にあったものを調べたに過ぎなく、5%のプラチナと95%の銀の合金の「P5 SV95」も存在する可能性もあります。とはいえ約95%がシルバーである事は間違いないようですので、当店ではシルバーアクセサリーと同じ認識で扱いたいと思います。興味本位で調べてみましたが、凄くどうでもいい事だったような気もしてます(←今更)。でも情報を鵜呑みにせず調べてみるというその姿勢こそが大切なのではないでしょうか(←自己肯定!)。さ~て、怒られる前に仕事しよう!!。

本日は以上でございます。



質屋の道具「ホロテック社製 マルチクォーツテスター フラッシュテスト」

鴫原質店の弟さんです。

お店に新しい道具が導入されたのでご紹介します。ホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」の外箱の画像こちらはホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」という最新の機械。使用目的はクォーツの日差を測る為と、新しいもの好きな社長の趣味!かも(笑)。

本体はこんな感じ。ホロテック社製のマルチクォーツテスター「フィラッシュテスト」の本体画像1枚目の画像を外箱にした理由が自分でも分からない・・・(謎)。

取り合えず使い方はそのうち覚えるとして、社長がいじくっているところを眺めていました。歩度測定をしている画像機械に載せて120秒ほど待つとクォーツ時計の日差と月差がでるようです。表示によるとこのフランクミューラーは1日あたり0.23秒進み、1っカ月では6.8秒進むそうです。大体9か月で1分くらい進む計算で、ま~順調って感じだと思います。このズレが気になる方にはアップルウォッチや電波時計をお勧めしたい。

次に興味本位でお店に並べてあるグランドセイコーを測ってみました。グランドセイコーの歩度測定をしている画像表示によると1日あたり0.08秒進み、1っカ月では2.32秒進むらしい。因みにこの腕時計はGSのスポーツコレクション(SBGN003)で9F86ムーブメントを搭載しており、メーカーホームページ(こちら)によると、このムーブメントの精度は年差±10秒との記載があるので、100%の性能を出し切れていない状況にあるのかも。でも中古品なので常識の範囲で許される精度のような気もします。こんな感じの情報を外見から判断できちゃう事はとてもありがたい事ですね。

この「フィラッシュテスト」さんには他にも色々な機能がついています。タッチパネルに表示された各種機能を撮った画像「電池電圧測定」「回路発信チェック」「コイル抵抗値測定」「回路消費電力測定」「ムーブ消費電力測定」「歩度測定」とこんな感じか?。まだ使用経験が浅いので良く理解していませんが、こんな多機能な機械の定価はたったの93,500円!というから驚きです(←性能が伴えばですが)。随分前からクォーツ歩度測定機は欲しかったのですが、数十万の機械ばかりだったので躊躇してました。ところが道具屋さんのカタログを見ていた社長様が、この商品を発見し速攻で買ってくれて今に至ります。「フィラッシュテスト」さんの今後の活躍を心より期待しております!。

正直な話、クォーツ時計で1日あたり1分遅れたりするものは、そのまま販売する事も出来ず、整備費をかけるか投げ売るかどちらかの選択でした。もちろん1日20秒の遅れでも同じですが、そんなことは見て分かるものではありません。買取の時間なんてたったの数分ですから、時間が遅れない事が前提での話であり、その前提が崩れる事もたまにあります。その「たまに」という事故を無くすことが出来るのは、「素晴らしい」という一言に値します。

ただちょっと気になるのは、一般的な許容度がどこにあるのかはしっかり考えたいかな。「年間で5分遅れるから整備が必要な状態です」などと見積時に言葉にし、少しでも安い金額を言ったもんなら、この競争の世界では値段負けてしまいます。少し問題あるものを自店で販売しないのは当たり前の事ですが、業者卸売りが可能な精度がどのくらいなのかなど、色々と考えてみようと思います。お客さんにとっては「高く買ってくれる店」がいい店というのは不変の話であり、お客様がお持ちの品物に対してお店側が「粗さがし」しても意味はありませんから。ま~色々と有効活用していこうと思ってます。

本日は以上でございます。





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