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質屋のスタッフブログ

トンガ10パアンガ金貨

鴫原質店の弟さんです。

入荷した指輪に、私が今まで見たことがない金貨がついていたのでご紹介。
それがこちらで「TONGA 1980  10 PA‘ANGA」と記載があります。tonga_1tonga_11980年にトンガ王国で発行された記念金貨で、ここに描かれているのは3代目の国王で王女のサローテ・ツポウ3世という当時の偉い方のようですね。発行枚数などは調べることができませんでしたが、国の大きさ(人口や土地面積)を考慮すると発行枚数はとても少ないことが想像できるうえ、40年も前の品物なので残存していること自体が珍しいのかもしれません。品位22金で重さは0.4gのとても小さなレアコインです。

 

裏のデザインはこんな感じです。tonga_2tonga_2

 

このコインを調べてから、初めてトンガ王国ってどこにあるのかな?から始まり、トンガ王国の文化なども軽く調べてみました。ストリートビューでトンガ王国も少しだけ覗いたりして(笑)。こんなことでもないとトンガ王国とか知る機会がないですからね。こんな時はお品物との出会いに感謝です。



質屋の道具「パッキンと塗布器」

鴫原質店の弟さんです。

しばらくぶりで「質屋で使うアイテム紹介」。
本日は時計のパッキン交換に必要なアイテムです。

 
このパッキンという言葉はそんなに一般的でないかもしれませんね。簡単に説明すると、ゴム素材で時計内部の機密を保つために、水分や湿気の侵入を防ぐために、上蓋と裏蓋の接着面に装着する道具です。pakin_2pakin_2水道や油圧計やその他もろもろで、中のものが外に漏れないようにする為に様々なところで使用されていることが多いように思えますが、時計の場合は外からの水分の侵入を防ぐ為に用いられます。素材はゴムが一般的ですが、シリコンやプラスチックなどが使われているものもあります。

 

当店でも直径や太さの違うパッキンを取り揃えております。pakin_1pakin_1私は本体と裏蓋が密閉するギリギリの太さの物を選んで使っています。これらは丈夫なゴム素材でできたものですが、このくらいの種類があれば一般的なクォーツ時計に対応するには十分と思っております。

 

ただ、適正なサイズや太さのゴムだけでは不十分です。水の侵入を防ぐ為にこのゴムに必ずつけなければいけないものがあります。それが油です。水と油は交わりませんからね。pakin_3pakin_3塗布器と書かれたこのケースのスポンジに油が含まれており、パッキンをこのスポンジに埋め込みゴムの表面全体に油をつけるようになっております。

 

時計の防水性能はこのゴムの状態と油の状態で維持されているのでどちらも重要なパーツです。100メーター防水とか生活強化防水とか色々な防水性能の言葉がありますが、特殊な構造でない限りはこのゴムと油の性能が水の侵入を防いでいるだけです。ゴムは乾燥で劣化していきますし、油も期間が経過すれば無くっていきます。なので時計に表示されている防水性能が、いったいどのくらいの期間維持できるのかは使用環境にも左右され分かるはずもありません。そのような理由で、パッキン交換と油さしは定期的に行うことが望ましいです。一般的な電池時計であれば、電池交換のタイミングですることが効率的です。当店でも電池交換時はちゃんと対応しておりますのでご安心下さい。

 

ちょっとした防水のお話になってしまいましたね。(脱線得意ですから!)

クロノグラフボタンがついているものなどは気を付ける必要があります。例えば時計がびしょびしょにぬれた状態で、クロノグラフのプッシュボタンを押したらどうなるでしょう。ものにもよりますが、パッキンで密閉された状態ではなくなるので恐らく浸水してしまうのもが殆どでしょう。

ロレックスのオイスターケースのように、リューズや裏蓋もネジ式で開閉するタイプのものは、日常生活においては水の侵入など全く考えられないほど徹底した造り込みがされているので水には安心です。デイトナのクロノグラフプッシュボタンはネジを回す事で初めてボタンが押せるようになる徹底ぶりです。そのロレックスでさえ100メーター防水とされています。パッキン性能だけで100メーター防水と表示している時計と、だれが見ても物凄い造り込みをされた時計での100メーター防水が同じ性能であるはずがないと私は考えてます。もちろん気圧テストでちゃんと10気圧に耐えれる構造を造りだしているはずですが、時間が経過したときの性能表示などがあってもいいのかもしれませんね。

相変わらず話長いですね・・すみません。
以上



ロイヤルオーククロノグラフのコマ調整

こんにちは。鴫原質店の弟さんです。

本日(6月18日)はオーデマピゲのロイヤルオークコマ詰めのご依頼を受けましたのでご紹介。ap_1ap_1

この腕時計様の新品定価は308万円。
型番は「26331ST.00.1220ST.02」

でも中古での販売価格は定価を超える330万円位を維持しており、はっきり言いまして中古市場に物がございません。インターネットの各ショッピングモールで確認できる在庫は5件のみですが、全てが定価を越えております。

何故か……それは新品在庫が無いからです。こちらの時計をお持ち込み頂いたお客様も、新品での購入を検討しましたが、正規代理店では30人待ちだという事で、いつになるか分からない現状とこの時計が欲しいという理由から、非常に状態の良い中古を定価越えの価格で購入したという事でした。

 

コマの調整はもちろん受けさせて頂きましたが、最初にネジ山をルーペで確認したところ、2か所以外はネジ山に変形が見られます。この画像をお客様に最初にお見せし現状の確認をして頂きます。決して私はやっていないという証拠写真ですね。ap_2ap_2厚みや幅があっていないドライバーで回すと、ほとんどの場合このようになってしまいます。(詳しくはこちらを参照)

 

ドライバーを適正な幅に合わせてから(削ってから)、まずはネジを外してみました。だって触ったこともないお品物なので分かるはずもありません。最初はネジとピンの一体型を想像していましたが、ネジだけポロリと取れてしまいます。ap_3ap_3独立したピンが入っているようですね。

反対側を見るとピンの頭が見えるので、そちらから先の細いもので中のピンを押してみたところ
ap_4ap_4

このようなピンが簡単に取れました。ap_5ap_5このピンが外に出ないように、ネジで蓋をするという構造ですね!

 

お客様のお品物なので勝手にブログとかに掲載できるものでもないですが、コマ調整を無料でする代わりに、ブログに載せていいという許可を得て撮らせて頂きました。ありがとうございます。一応WINWINの関係ってやつです。でもいつものようにマクロレンズで撮影すると時間がかかるので、携帯電話で撮影した画像です。なので少し荒い画像になってしまいました。

 

正直言って、なかなか手に取って見れるようなお品物ではありません。また、いじらせて頂けるなんてとても光栄な事ですね。まぁ~、コマ調整する為にドライバーをガリガリ何度も数分かけて削ってネジをいじるお店なんて、あまりないので信用して頂いているのかもしれません。

今回は時計の紹介と、そのパーツの紹介でした。
しっかし、300万円の時計を30人もの予約で新品が買えないって、世の中景気がいいのかもしれませんね。驚きの一言です。





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