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質屋のスタッフブログ

お気に入りのバッグ「エルメス ニューフールトゥ バサスPM」

鴫原質店の弟さんです。

大体いつもどうでもいい事ばかり書いてますが、今回は更にどうでもいい事を。個人的なことですが、私は基本的に「これでいいや」的な思考回路の人間です。それは物欲や食欲などもそうですが、本当に同じものだけあればいい人間で、数多くの種類を望みません。そんな私が日常で使っているバッグは10数年以上同じ物のみ使い続け、世間の流行や人の目なども全くお構いなしです。今回はそんなお気に入りのバッグについてのどうでもいいお話です。

私の私服姿など本当にどうでもいい(←4回目)のですが、持っているバッグがいつも変わりません。お気に入りのバッグ5個の集合写真それは同じものを5個持っているから。今は5個ありますが、過去に捨てたもの(←正確には中古市場で売った)が3つ程あります。仕入れ先は市場(業者間オークション)やヤフオクで、少し汚れた値頃感があるものを自分用に買っています。因みにこのバッグは「エルメスのニューフールトゥー バサスPM」。エルメス様には珍しくとっても実用的な素晴らしい一品だと「私は」思ってます。

悪い所といえばキャンバスであるが故にすぐ汚れるという点。汚れたバッグ光の反射の加減でよく状況が分かりませんが青〇印のバッグは小汚いのがよく分かります。光を反射して綺麗に見える赤〇のバッグも結構汚れが目につきます。

1枚目の写真の切り抜きですが赤〇印のバッグが日陰にくるとこう見えます。汚れたバッグ特徴的な黒点のシミでも判別可能かな。それにしてもばっちい~ですね(笑)。

バッグの裏も酷いものです。更に汚れたバッグの裏側これはジーパンの色移り。真っ黒というかどちらかというと青黒い。(こんなものを見せてすみません)

今回は綺麗めな1つを残しこのバッグさん達を洗濯しました。選択したバッグ暖色蛍光灯の下で撮影してしまったので雰囲気が変わりましたが、光を反射しない分状態は分かり易いかも。青い印をつけた部分の黒染みは完全には取れなかったです。洗濯機で洗った後、漂白剤に数日つけておくとキャンバス部分の汚れが綺麗さっぱり取れてとても綺麗になります。このような特徴も気に入ってる部分です。

汚れは洗濯して落ちますがこういう部分のスレはどうしようもありません。擦れた画像人によっては「ボロい」と思うでしょうが、バッグの中から指が貫通する位まで使います。因みにこの状態になるまで数年間かかり、それだけこの素材が丈夫である証拠でもあります。こっちのグレー色のバッグの方が、糸が黒いという色の関係でスレ傷が目立ちます。

そんな感じで洗濯したバッグで見た目が一番よさげなのを撮影しました。綺麗になったバッグ子供が背負っているのでサイズ感にズレを感じますが、実際は横幅30センチの小さ目なバッグです。洗濯回数が少ないこちらのバッグはレザータグが余り痛んでませんが、洗濯する回数に応じてボロボロに変化していきます。

洗濯の前後を改めて比較するとその違いは明白です。右側が今回洗濯しなかった綺麗めのバッグで左が洗濯したバッグの一つ。本来はオレンジ色(クリーム色?)っぽい色のバッグですが、漂白を繰り返すうちに白っぽいバッグに変わってきます。洗った前後の比較ま~そんな些細な色の違いは使っている本人にしか分からない事ですし、色がついてるより白っぽい方が好きだったりします。上の画像では右のバッグの方が原型の色を想像しやすいですが、これでも激しく色落ちしております。全体的な汚れが落ちて綺麗に見えますが、選択する回数に応じて革タグはボロボロ(笑)になり、本来刻印されていた「エルメス」という文字は完全に消滅してます。安物の布バッグに見えてしまうところも、日常的に周りの目を気にせず使用できる要因かも。

10年以上前に自分用にと中古市場で買って使用したのをきっかけで、「これだけでいいや」的な意味不明な思考回路に固まってしまいこのバッグを使い続けてます。財布などの小物類を入れたまま500ミリのペットボトルが3本入る(フラップは膨らみますが)点や、耐久性に優れている点、汚れたら洗濯できる点、そしてサイズ感や軽い事など、全てにおいて丁度いい感じ。アスレチックやローラー滑り台、砂場遊びや夏場のプールに海水浴(←海に入っても大丈夫です!)など、子供と行動を共にするときの必需品で、散々雑に扱っても何とかなる珍しい品物です。

エルメス製品で「高いんじゃない?」と思われる方もいますかね?。今はもう販売してませんが定価は9万円チョイだったらしい。その点に関してはエルメス価格を感じますが、中古で汚れているものは安値で取引されており、全て8千円~12千円位で購入(市場で)しました。汚れていても「スレが少ないもの」は見たらすぐ購入しちゃいます。正直言って消耗品と考えているので、あと5個位は保有しておきたいと思いますが、いつまで生きているかを考えるといらない気もします・・・・。兄(←社長)には「恰好がみっともない」と言われたり、業界の人に「斜め掛け・・・」とからかわれたり、クラッチバッグが流行ろうがリュックが流行ろうがボディーバッグが流行ろうが、このバッグのみ持ち続けた10年間を考慮し、やっぱりもう少し買っておいてもいいかな。随分前に惜しくも販売停止(廃盤)になり、中古品で流通しているものも時間の経過と共に減ってくるでしょうしね。バッグに関しては本心で「これでいいや」って思っております。

本日は以上でございます。



ルースダイアモンドを査定する際の作業紹介

鴫原質店の弟さんです。

今週初めに、1カラットアップのダイアモンド3つと他にもいくつかの宝石を査定させて頂きました。そのうち何個かは譲って頂き、その中にはルースダイアモンドも。今まで触れた事が無いような気がするので、今回はルースダイアモンドの買取値段を決める為の作業のご紹介をさせて頂きます。お客様に聞くところによると「品物を預かって査定する」店舗が多いとのことなので、当店ではこのようにして「ちゃんと査定してる」という宣伝にでもなれば(笑)。尚、査定には最低でも1つ10分程お時間を頂きますが、こんな事してれば10分はすぐだよね~など的な温かい思考で見て頂きたいと願います。

売って頂いたダイアモンドには鑑定書がついていました。ルースダイアと鑑定書バブル期に300万円で購入したというアピール度が不気味なオーラ―を感じます(笑)。そしてまた「E、VVS1、G」という表示は、不慣れな人には大きなプレッシャーになるかもしれません。

私は品物に偏見を持たない為、鑑定書を見るのはグレードを決めてからにしています。鑑定書のグレーディングただ今回は外側にメモでしっかり書いてあったので最初に見ました。1.003カラットの「E VVS1 G」で蛍光性「BLUE」ですか。中央宝石研究所が発行してるものですが、昔の鑑定書は当てにできません。(その理由は省きます・・・。)そしてまた、これがこのルースの鑑定書である証拠などどこにもありませんので、ハッキリ言って無意味です。「見なきゃ良かった」とマジで思います。

取り合えずブログ用に1枚写真を撮影しました(買取後です)。ダイアモンドの大きさを定規で計っている画像1カラットと言っても直径は6ミリ位の大きさです。見てすぐ分かるカラーグレードですが、見た目的に「Eカラー」は絶対取れないと思いました。鑑定書では「E」って書いてますが、良くて「Fカラー」悪くて「Gカラー」という判断をします。「何が根拠だ?」と聞かれるならば、「見てすぐにそう思ったから・・・」ですかね?。お客様から査定値段の意味や理由を聞かれればきっちりと説明させて頂きますが、GIAによって定められている国際的な品質基準であるマスターストーンと比較するまでもありません。

鑑定書がついていてもルースダイアと鑑定書を関連付けるものはありません。それ故に、鑑定書など無いものとしてカラット計で重さを測ります。ダイアモンドの重さを測っている画像愛用の「精密ポケットスケール」君によると、このダイアは1.02カラットの重さという事が分かります。機材が壊れているのか、品物が違うのかなど分かりませんが、1.003カラットの鑑定書は果たしてこれの物なのだろうか?と変な先入観が芽生えます。こんなことを何度も経験していくと、鑑定書は最後に見た方が「変な思考が働かずに判断がスムーズになる」というのが私の思うところだったりしてます。

次に顕微鏡でダイアモンドの内部を観察。ダイアモンドを顕微鏡で4つの光源でみた画像無灯→白色蛍→赤色灯→両方点灯と光のパターンを変更して内部をみますが、インクルージョンは発見できません。この時点では「VVSが取れる」そしてまたカットも「GOOD」が取れるという判断しました。VSクラスだと結構直ぐに何か見えるものですが、VVSの理由を探すのは時間がとてもかかるので深追いしません。この辺は完全な視認検査なので慣れが必要です。

そして疑うべきはⅡ型ダイアモンドの可能性。(Ⅱ型の説明は省きます)宝石鑑定装置GIA iD100で鑑定している画像内包物(インクルージョン)が極端に少ない合成ダイアモンドの登場により、天然の品質が優れたダイアモンドを見ると合成を疑う変な時代になりました。この件に関しては「見ても分かるものではない」ので、天然ダイヤモンドと合成(HPHTおよびCVD)ダイヤモンドを区別する宝石検査装置 「GIA iD100」君に判別を依頼します。その結果は「OKよ~~」との事。この機械が無いと良質のダイアモンドに手を出せる環境ではないので重宝します。

次に蛍光性の確認をします。鑑定書では「BLUE」とありましたが、昔の基準過ぎて私には意味不明。暗い部屋でダイアモンドをブラックライトで照らした画像暗い部屋(金庫)でブラックライトで照らし蛍光性を確認すると、「最悪ストブル(Strong Blue)いくかも」って感じかな。Mediumで収まってくれたらラッキーぐらいで考えます。

という流れで「1.02カラット」「G VVS2 G」「Strong Blue」は最低でもでるという判断により、これよりもいいダイアモンドである事を想定して、相場を調べた上で査定額を決定します。自分がどのように思うかなど全く無意味な思想で、鑑定機関がこのダイアモンドをどう評価するかを想定し、リスクのギリギリ攻める事が査定金額に大きく影響してきます。ダイアモンドの査定額が店舗によって異なる一つの理由はリスク許容度かも。安い金額だったらアルバイトでも言えますからね。

ダイアモンドの買取ってなんか凄そうなイメージがあるかもしれませんが、正直言って私個人は大したことをしておりません(笑)。見てて分かる通り「機械だより!」な部分が多いのです。「GIA iD100」君がいなければⅡ型(簡単に言えば人工合成ダイアモンド)を掴んでしまいます。愛用の「精密ポケットスケール」君にはいつもお世話になってばかりで、ルースの重さを測るのには欠かせない存在。愛用の「顕微鏡」様はルーペでは見えない何かを鮮明に見せてくれる欠かせない存在です・・・・、なんせ倍率40倍ですから!。ブラックライト様が無ければ、ダイアモンドの内に潜む青さ(蛍光性)など気づきさえしません。こんな道具を次々と仕入れなが最新の情報を常に与えてくれる環境がとても重要で、それってGIA GG(宝石鑑定士)の社長様が作り出した環境なんですよね~。それを理解しているのではっきりと「私は大した事をしてない」と言い切れたりもします。

上記の通り、機材が無いと現在の環境下でダイアモンド査定するのはとても難しい事です。査定するのに「品物を預かる」という店舗が多いのもそんな理由なのではと想像してしまいます。とはいえこのような機材は高額品が多く、ダイアモンドの売買で得られる「粗利」がある程度必要である理由でもあり、その辺はお客様にご理解も頂く必要があるのかも。なので言い訳ではありませんが「1点1点お見積させて頂きます」という姿勢を徹底してます。他よりも査定額が良かったら売ってください!と笑顔で頑張る事が大切かな(笑)。

尚、各種機材についてはブログを始めた頃に紹介しておりますので、ご興味があれば過去ブログをご覧ください。いつもですが話の論点が曲がっていく点はお許しを!。本日は以上でございます。



カルティエ サントス100クロノグラフの模造品ベルト

鴫原質店の弟さんです。

今回は数日前に買取させて頂いた腕時計について。店頭で買取したベルトが2本ある腕時計こちらはカルティエのサントス100クロノグラフ(型番W20091X7)という腕時計で、本来ついていた茶色のメーカー純正ベルトを、お客様が自分でベルト交換をし大切に使用していたようです。茶色の純正革ベルトはとても綺麗なので、再販する時に売りやすい商品になりそうかな。

そしてパッと見て違和感を覚えるこのベルトが今回の話の主役です。腕時計についているベルトこの程度の倍率だと確信はできませんが、ルーペなどの倍率で見ると出来の悪い模造品であるとすぐ分かります。この業界で仕事をしていると正直言って偽物など日常的に見るので、いちいち取り上げる事はありません。そしてまた下手に解説すると、その部分を修正して模造品がでてくるので、一般的に偽物情報は開示しません。インターネットに掲載されている「偽物の情報」などは既に昔のもので、誰もが見れる情報などには価値がないのが実情です。そういう理由もあり、「本物はこうだ」とか「偽物はこうだ」は色々面倒なのでやったことはありませんが、今回は見比べる事ができるので、「こんな部分が大切」的なポイントを見て頂こうと思います。「本物」はこうなっているとか、「偽物」がどうなっているという話ではなく、ブランド品が高額である理由として、製造工程やそこに費やす時間を想像してみたり、そしてその精度などを感じて頂ければと思います。

こんな感じてパッと見でとても似ている二つのベルト。2つのベルトを並べてみた目では気づけないミクロの世界でその違いを確認します。尚、違う部分の詳細解説は省きます事をご理解下さい。

まず最初にロゴが刻印されている部分。刻印されたロゴの拡大画像カルティエのロゴがレーザー刻印!。小さな穴の集合体で文字を形成する方法ですが、硬いステンレスに簡単に文字などを刻む一つの手法です。慣れている人がこれを見ると瞬間的に頭に「????」という思考回路が働きます。また突っ込み所として、青いベルトはステンレスで製造されていると書かれており、18金は使わてれいないらしい。バックル表面の金色部分の部分は金メッキか?。見比べると色々と異なる部分が簡単に分かります。

これはクラスプ中央部の拡大画像。クラスプネジの拡大画像ネジの1カ所を拡大しましたが、こういう部分を眺めると分かり易いですね。尚、このネジの直径は1.5ミリなので肉眼ではこのような隙間は見えません。ネジ穴とネジの大きさを整えるのにどの程度の手間がかかるのか私には分かりませんが、今時では設備さえあれば大した技術や時間はいらなそうに思えます。簡単にいえば、そういう事すら省いているという事ですね。

同じくクラスプ中央の金具のアップ画像。クラスプの各部の造り例えば、赤〇のような部分を製造する為に費やす時間(コスト)の差が歴然です。硬度の高いステンレスで意味もなく湾曲させている部分とか断面の滑らかさを見ると、とても手間がかかっている事が分かります。違う箇所など沢山ありすぎるので解説しませんが、青丸の部分なども分かり易いかも。

こちらはバックル表面の画像。バックルの拡大画像拡大すると一段とその適当さが目につきます。ま~適当だから製造コストを抑えて安く販売する事が可能で、安いから「これでもいいか」と思う人がいてこういう品物は流通していくので、ある意味でニーズには答えているのかもしれない。正直30センチ離れてればこんなのには気が付かないしね。

この職業に慣れてくると見る部分が変わってきます。クラスプパーツの拡大画像こういう所って普通の人はまず見ません。そういう部分を敢えて探す事も重要かも。私のように性格が曲がってくる理由は職業柄なのかもしれない・・・・・。

こんな感じで拡大して見比べると、この「粗悪品レベル」の模造品だと誰が見ても判断は可能です。当店が加盟しているATF(全国質屋ブランド品協会)では、最新の真贋情報を上記のような資料をネットワーク上で展開し常に確認する事ができます。見た事がない模造品の新製品なども確認でき、昨今の手の込んだ基準外商品は本当に良くできており驚くばかりです。そういう品物がいつ店舗にきていいように、予習を続けることが結構大変だったりするのがこの仕事の特徴かもしれません。インターネット上で「本物」はこうだとか、「偽物」はこうだとかの情報検索が可能な時代ですが、インターネット上に掲載された時点でそういう点に関しては模造品製造業者様もその点を改善するだけなので、情報として意味もない上に更なる出来の良い模造品の開発に貢献しているだけのような気もしてます。ずっと前から続いているこのような真贋判定の「鼬ごっこ」の終焉は一体どこになるのか・・・・。

尚、今回は詳細情報を開示しても市場に影響は全くないと思ったので書いてみました。ただ驚いたのはサントス100用のベルトの模造品がある事かな。これ造ったところでサントス100自体の流通量が少なく、数も売れなさそうなので儲からなそうだと感じるのは私だけか・・・・?。それにどうせ見えない部分なので、わざわざカルティエのロゴなど入れる必要もないと感じるが。ロゴさえ入れなければ法律に触れるような品物ではないのに何とも残念は話だな~と思います。ロゴを入れれば模造品、ロゴが無ければ模倣品ってところかな。

本日は以上でございます。





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