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質屋のスタッフブログ

ロレックス エクスプローラー1の価格推移

鴫原質店の弟さんです。
今回は長くて字ばっかりで読みずらい(>_<:)です。

数日前にロレックス114270 エクスプローラー1(M番)の質入がありました。(画像は昔の商品画像を当ててます)ロレックスのエクスプローラー1質入金額は60万円です。尚、同時に買取の見積として65万円をご提示させて頂きました。相場に応じて買取金額と質入金額を提示しただけでしたが、お客さんがとんでもなく驚いております。

過去にご利用頂いた履歴があり、5年ほど前に同じ品物で30万を借りて頂いた記録がありました。「同じくらい借りれればいい」という感じで来たところ、倍の額を提示されて戸惑ってしまったとの事。

「売りたくはない」という思いから品物を一時的に預ける「質入れ」というシステムにおいて、質屋側はできるだけ高い金額を借りてもらいたく、その時の相場の安全圏で金額を提示します。ただ、お客様は借入額が多くなればその分利息がかかり、60万円を借りるということに対しての不安もあるようです。

「そんなに高いならもう手放してもいい」という思いと、「思い出の時計だから手放したくないという思い」の葛藤もあったのか。結果的にやはり売ることは嫌なので、質入れで品物を預けるという選択でしたが、最後までお悩みの様子でした。

油切れの症状がありオーバーホールが必要なエクスプローラー1が「65万円か~」、というのが私の思い。時々昔話になりますが、大規模金融緩和が開始された頃から、様々な品物の相場の上昇がありました。私たちの扱うものはその影響を受けたものが多く、ブランド品全般や高級時計全般や貴金属がそれにあたります。

このエクスプローラーという時計に限定して、販売額推移を当店の商品台帳から引っ張り出してみます。物量が多く沢山扱ってきた商品なので、年ごとの最高値だけピックアップし、またギャランティーが付いているのは(保)と記します。

2009年 店頭販売¥230,000 F番
2010年 店頭販売¥240,000 F番(保)
2011年 店頭販売¥240,000 Y番(保)
2012年 店頭販売¥275,000 K番
2013年 店頭販売¥300,000 D番
2015年 店頭販売¥410,000 Y番
2016年 店頭販売¥421,000 Y番
2017年 店頭販売¥436,000 Y番(保)
2018年 店頭販売¥500,000 K番(保)
2019年 店頭販売¥525,000 D番
2020年 店頭販売¥540,000 F番(保)
2020年 ネット ¥630,900 Y番(保)

記憶に残っている事なので驚きませんが、なかなかの値上がりです。2010年頃の感覚では、保証書有と無では1万円程度の金額差だったように思いますが、今現在ロレックスのスポーツモデル全般で、保証書有と無で10万円の価格差があります。使う事のできない保証書に、この金額の価値を感じる方がいるという事実なのでしょう。10年前に中古品が24万円で買えたエクスプローラー1は、今現購入するのに70万円以上必要で、もしかしたら今後も上がっていくかもしれません。

2次流通市場では顕著に分かりますが、需要に対して供給が足りないとその物の値段が上昇します。ロレックスに限らずこの現象は多くのものでみられ、数年前から日本酒も日本のウィスキーも、スイッチなどのゲーム機でさえ同じ状況がみられます。投資的な力が加わり続けると上昇率はどんどん増えて、商品そのものを新品(定価)で買う事が難しくなります。

では「供給量を増やせば」その物を提供する方がいっぱい売れるのでより利益を出せるかというと、そうでもなさそうです。希少という品物本来の価値がなくなり、そのもの自体が定価ですら売れなくなる可能性もあります。正規代理店にいつでも人気の商品が陳列されて、お金さえあればいつでも買える状況になってしまうと、当然ですが2次流通の取り扱い金額は流通量に応じて下がっていき、結果して中古相場は大暴落いく可能性が大きいです。その結果、その品物のブランドイメージさえ崩れていくかもしれません。

相場が上がり続けた10年間でお客様から感謝されることが多かったように思います。今後10年の相場推移は想像もできませんが、下がるくらいなら上がり続けて欲しいと私は願います。売れる金額が高い物ほど、質屋にとってはありがたい質草となりますから。

本日は以上でございます。



人のいない公園にて

鴫原質店の弟さんです。

今回は4月25日の休日日記です。子供を運動させたいと思い行き先を考えてましたが、長男がバスケしたいというので、海沿いの冒険公園に朝早くから出かけてきました。何度もこのブログで出てくる公園です。冒険公園広場の滑り台仙台市は「まん延防止等重点措置を実施すべき区域」に入っており、市が関わる施設の多くが閉まっております。八木山動物園なども閉園しており、県や市が中心となりものすごい徹底ぶり。その為、でかける前に一応ホームページで入れることを確認済みでした。

人ごみを避ける為に朝早くに来たのに、園内は来てはいけないような雰囲気があります。駐車場の立て看板駐車場の入り口や公園の入り口に「密集」「密接」を避ける為!、とデカデカとした立て看板があります。昨年の緊急事態宣言の時も駐車場の台数制限をしてましたが、園内の人数調整にはいい案です。でも緊急事態宣言と大きく書かれれると、なんだかここにいてはいけない気分になります。

公園の奥に進むと「忘れるなよ~」と言わんばかりに立て看板が。園内の立て看板なんだかここまで書かれると、今度はここにいる事に罪悪感を覚えます。そんなに悪い事をしていな気がするのですけど。

因みにですがデイキャンプ場は閉鎖されてました。閉鎖されたデイキャンプ場デイキャンプってそんなに危険なのかな?とも思いましたが、とにかくマスクを外して人が集まる場所は規制対象になるのかもしれませんね。

こんな状態で人が殆どいない公園に約1時間程滞在。閑散とした園内最後の方はここにいてはいけない気持ちになり、アイスクリームで子供を釣り帰路につきます。

私も人ごみを避ける生活を続けていますが、「公園くらい良いのでは?」というのが本音かな。きっと悪い事ではないと思います。ただ期間が決められてこの時期は、とにかく家にいろという事なのかもしれませんね。ただ、この規制期間が終わった時に何度も同じ状況にならない為、明確な一本の指針が欲しいところ。最近では何がいい事で悪い事なのか、少し分からなくなってきました。色々と悩む日々は続きそうです。

本日は以上でございます。



ドライバーの適合性について

鴫原質店の弟さんです。

買取品の中にオメガ シーマスター レイルマスター トリロジー(220.10.38.20.01.002)がありました。付属品の揃ったオメガのレイルマスター レイルマスター発売60周年記念として世界限定3,557本が販売されたモデルのようです。マスタークロノメーター8806を搭載し、15,000ガウスの耐磁性能もあるとか。国内定価が¥803,000もするハイスペックモデルです。付属品もそろっているので、しっかりと整備してから店頭で販売したいと思います。

長々と商品説明をしてしまいましたが、今回の話は精密機械ドライバーのお話です。ドライバーについては今まで何度も取り上げてますが、改めてその必要性と重要性及び使い方について。今回のような品物をみる度に、今後も繰り返し書いていくつもりです。

今回譲って頂いたこのオメガ様、外見はベルトにスレ傷がいくつかある程度の美しいお品物です。ただとても残念な事にベルト調整跡がとても痛々しい状態。ベルトのネジ穴の拡大画像時計の購入先は有名デパートの時計コーナーなので、恐らくここまでの事はしないはず。ご自分で楽しみながらベルトの調整をしていたと推測します。自分の所有物を愛情を持って触る事はとてもいい事だと私は感じます。ただ、こういう傷が増える事でその品物への愛着が薄れることもあろうかと…‥。それ故、時計のベルトをご自分で調整する際の、ドライバーの選び方の参考にでもなればと考えております。

外装仕上げや内部点検を行う前に、余りコマを全て装着します。選定した3本の精密機械ドライバー取敢えずドライバー箱から3本のドライバー選んで取り出し、適合性を見ていきます。以前もしつこく書いてますが、ドライバーで重要なことは「幅」と「厚み」が合っているか。ドライバーを回す技術などいりません。ドライバーを選ぶことが大切です。なのでセットした時にドライバーの幅を、そして軽く回して厚みの確認を行います。

一番上の黄色いドライバーは【幅】は「使えない事は無い」という感じの適合性です。でも画像で確認できますが右側に隙間ができており、ここで【厚み】が合っていない事が分かり、この程度の隙間でも「全然ダメ」な部類に入ります。仮にこのままネジを回すと、ネジ山のの両方の当たっている部分が曲がります。もしこのドライバーを使うのであれば、ドライバーの厚みを適正になるまで削り、先端を厚くしてから使用すれば対応が可能です。

真ん中のドライバーは厚みは少し薄い程度ですが、そもそも幅が少し足りません。これで回すとネジの中央部分がえぐれてきます。なのでこれを使うよりは上のドライバーを調節して使用した方がずっといいと思います。

3本取り出したドライバーの最後の一本が良い感じで適合してます。適合したドライバーネジ山全体に負荷をかけられる状態にあるのでこれを使用する事にしました。ただ、注意が必要な点もあり、厚みが適合しているのはネジ穴上部のみになるので、「強く押し回し」をするとネジの角が崩れます。

ちょっと脱線しますが、新品の時計を購入した際、多くの方は気が付きませんがネジが接着剤で固定されている場合があり、高額品になればその傾向は強まります。ネジの接着剤取ったネジやネジ穴を見ると分かりますが、白い粉のようなものがその跡です。接着されている状態のネジは当然固めで、合わないドライバーで回した結果が今の惨状を招いたのかも。そういえば、質屋の道具でこの接着剤を取り扱ってなかった事に気が付きました!いつかどこかでご紹介させて頂きます。因みにこの手の接着剤は熱を加える事で柔らかくなります。

という事でドライバーが決まればただ回すだけ。取り付けたネジ赤丸で印をつけたところが私が付けた部分です。ちょこっと傷ついてますが、黄色で印をつけた私が全く触っていない部分にもネジの変形があるので、一番最初からついていたものという事にします(実際は不明…‥汗)。上部の適合性を合わせても、上から高圧力をかけるとこんな感じの変形に繋がる事があり、これが上記で触れたことです。(繰り返しますが、私が触ってないところも変形してます!)

という事で今回はドライバーの選び方について画像で説明してきました。ただ誤解があると嫌なので正直に申し上げますが、金属と金属がぶつかるので完全無傷で調整するのはとても難しい事です。手持ちのドライバーでネジ山の上の部分に適合するものを選び、そして適合性を更に調整し、できるだけ傷付けないように努力することが大切、という事をお伝えしたいだけです。調整できるのはあくまでもネジ山上部との適合性なので、若干の妥協と諦めも時には必要ですが、ドライバーの適合性を可能な限り最適にすることが重要です。私が触るお品物は「会社の商品」や「お客様の物」なので、この細やかな調整に手を抜くことはせず、常にルーペで確認しながら作業をしております。だって、傷つけたら大変ですし、それ以前にそれが仕事なので!。

(最後に)
書こうか迷いましたが、私の場合、自分のものはこんなに細かい事は気にしてません。ベルトの調整など数年に1度するかしないかですし、ネジを新品に交換しても恐らく大した金額はかからないので、自分のものを調節する時には適当にやります。外装仕上げもたまに自分でやりますが、見た目が光っていればいい程度で終わらせ、細かな傷など気にしません。今回の件についても、自分の持ち物をどのように扱おうなど個人の自由なので、決してベルト調整で傷がついている点を非難はしてません。むしろ上記してますが、自分で調整してみようと思う方が楽しいのではないかな。気分に合わせてベルトそのものを交換するとかもありですし、自分の時計の電池を交換できるとか、そういう事ってとても素敵なことだと思います。仕事としてやっているドライバー選び方が、少しでも誰かのお役に立てればいいな~と思いました。自分の大切な時計に傷がつくのは、誰だって嫌ですからね。

文章が長すぎてすみません。
本日は以上でございます。






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