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貨幣とは何だろう?天保通宝と10円玉から考えてみる

鴫原質店の弟さんです。

私のような普通の働き手は、貨幣を得るために日々の労働に勤しみ、自分の人生の多くを費やすことを当たり前のこととして受け止めています。【でもね・・・その貨幣とは何だろう?】

日本の古銭を眺めて、脇道を覗きながら、現代へ物語を繋げていこうと思います。

【歴史から学ぶ旧貨幣とその時代の観察】

世間の質屋に対するイメージがどうかは知りませんが、この仕事は色々なモノを見て考える事が多い。興味を抱く好奇心があれば・・・の話ですけど(笑)。日本の旧硬貨複数枚の画像今回とりあげる「この旧硬貨セット」はお客様が大切に保管し続けた品物です。過去の事実を、祖父母または両親より伝えられ、家族間で数世代引き継がれた「忘れてはいけない過去の記録」と個人的には思えました。それに、この貨幣を大切にしていた当時の方々の気持ちを想像すると結構つらい。

天保通宝:貨幣から「金属」へと姿を変えた歴史

今回の隠れた主役がこの天保通宝で、江戸時代末期から明治初期に流通した貨幣。実はこの貨幣、一度「貨幣」ではなく「金属」として扱われ、海外へ輸出されたという事例が一部ではあったようです。素材はブロンズ(青銅)で「銅が約78%」「錫(スズ)約12%」「鉛が約10%」との事(※大体の話ね)。天保通宝の表裏画像徳川家の時代が終わり、明治政府が新しい通貨制度を構築する上で、天保通宝を「1枚=8厘(0.8銭)」と通貨価値を改定すると、ある日突然「素材価値」に注目が集まったという説をみかけました。「銅」と「鉛」の素材価値が貨幣としての流通価値に近づいた、あるいは上回ったとされる時期もあり、天保通宝は政府が回収を急ぐも、次々と溶解され「銅の塊」になった話や、「鉄砲の弾」に姿を変えたという説も残されてます。

ただ、真偽のほどはさておき、当時の人々が「硬貨」を「通貨」としてではなく、ただの「金属の塊」として見始めたことを想像させる、とても興味深い昔話ですね。

「通貨価値の切下げ」や「通貨の信認が落ちる」と、最後には素材の価値だけが意識される局面もあります。通貨の信認、インフレ、資源価格の上昇、そして貨幣の素材価値に注目した取引。いわゆる「鋳潰し(いつぶし)」という現象らしい。私たちもここ数年、そんなマクロ経済の現実を見続けてきた気がしませんか(?)。そしてもう一つ、現代の10円硬貨もそうした危機に立たされている可能性を感じ、密かな不安を覚えながら色々と調べ、私にしては珍しく真面目な物語を書いてます。

日本の貨幣から学ぶ素材価値と社会風景

ここからは古い貨幣を眺めながら、その時代のお金の価値と社会の空気を少し見ていきます。日本史が好きなので少し寄り道しますが、ブログくらい好きなように書くだけさ。

明治3年50銭

品位は「銀80%」「銅20%」。この時代の1銭は「ばら売り駄菓子1個」が価値の目安。明治3年50銭の表裏画像幕末の混乱から明治政府の社会大改革は多くの映画やアニメなどで描かれてます。新しい通貨制度の構築や身分(士農工商)の廃止、廃藩置県など、庶民の常識が根底から変化した激動の時代。興味さえあれば、日本史はとても面白い。

明治32年50銭

品位は「銀80%」「銅20%」。通貨体系は「円・銭・厘」で10厘が1銭、100銭が1円と、日本の古いお金を観察すると出現する「厘」という単位は、見るたびに少し困惑します。明治32年50銭の表裏画像この時代の1銭は【銀座・木村屋のあんぱんが1個】が価値の目安。明治32年の歴史を調べようとしたけど、「あんぱん」が明治の大ヒット商品だったと学びます。明治7年創業「木村屋總本店 銀座本店」様のホームページ(こちら)を発見。激動の時代を生き抜き、そして今も続く歴史こそ、とても凄い事だと思いました。通販ページがあるので「あんぱん」注文させて頂きます(マジです!)。

そして明治30年代後半から日本は急激な物価上昇(インフレ)の波に突入。明治37年(1904年)日露戦争開始で、戦費調達で通貨供給が増え、物価は大きく上昇しました。

昭和14年1銭

品位は「アルミ100%」。1939年は欧州で第2次世界大戦と日中戦争長期化による本格的戦時体制に突入した時代。この時代の1銭は「キャラメル1箱」が価値の目安で、意外に通貨価値は高い。昭和14年1銭の表裏画像祖父が生き抜いた過酷な時代、そして、この時代を無事に抜け出せた方々は多くを語りません。戦時体制やその前後の社会では、制度や価値観そのものが違うと、今の世界情勢(※戦時経済)から空想できます。

祖父の母親は第4妾(めかけ)として、庄屋に奉公した…という昔話を幼少期に聞きましたが、これは作り話などではない過去の記憶と思う。今の常識(性や人権など)とは根底から違う社会を思い浮かべてしまいますね。そしてそこからは、通貨でモノが買えない時代に突入していく事になります。

昭和16年1銭

品位は「アルミ100%」。この年は太平洋戦争が開戦し、本格的な軍事経済へ突入したようです。この時代の1銭は「キャラメル1粒」が価値の目安。僅か2年で銭の価値がいかに暴落したか、キャラメルとの比較で分かります。昭和16年1銭の表裏画像戦時供給下で品物の価格統制などもされたとか。ここから貨幣そのものの意味が大きく変わっていくみたい。

昭和19年1銭と10銭

品位は「錫50%」と「亜鉛50%」。長引く戦時経済による金属不足から、この成分構成になったのだろうか。黒ずむ通貨にすこし切ない思いを抱いてしまいました。この時代は1銭が10枚分(10銭)で「キャラメル1個」が価値の目安。昭和19年1銭と10銭の表裏画像配給制の時代でもあり、お金を出せば何かを買えるという世の中ではなかったようです。祖父の思い出話によると、闇市というのがあり、法律で取引が禁止された様々なものが、取引されたという事。ま~色んな映画でも描かれているので、恐らく事実なのでしょう。たった82年前のお話です。

中学校の社会で学ぶ歴史【二・二六事件】

この貨幣の流れと時代背景を時系列で合わせて考えると、もっと深く真剣に考え始めることがあります。1936年2月26日、多くの功績を残した「高橋是清」という政治家が襲撃され、命を落とします。日本銀行総裁、内閣総理大臣、大蔵大臣などを務め、財政・金融の分野で大きな役割を果たした人物だったとか。

高橋是清の死後、日本の財政運営や軍事費拡大との関係については様々な歴史研究があるようです。ただ、その後の通貨価値の変化を実際に眺めると、財政運営上で一つの転換点として語られることもあり、守らなければいけない何かをひしひしと感じてしまいました。

そして何故、この事件を義務教育の中学校時代に学ぶのか、深く考えさせられます。ここの深堀はしませんが、重要なのは「財政・金融政策の転換点」が、政治や経済の専門家だけの話ではなく、社会全体に影響を与える重要な歴史だったということを認識させるためなのではなかろうか?

最近の金融政策を巡る議論を見ても、「使えるお金を増やしたい」という考えと、「通貨価値を守りたい」という思考の綱引きは、今も昔も変わらないようにも見えるし、世界から注目される理由もそこにあると、こんなド素人の私でさえ感じてしまいます。人々がその通貨を価値あるものとして受け入れる「信頼」こそが、通貨制度を支える「信認」だとするなら、現状で抱える課題の「カケラ」のようなものも、少し見えてくる気がしませんか?

話の本題 10円硬貨!

貨幣とその交換価値に着目してましたが、興味深い事も多く、脇道を通りながら歴史も記載させて頂きました。寄り道が長く、話がぶれやすいのは私の特徴で、発想が膨らみすぎるのが悪い癖。そして、個人的に今の日本が守るべき防衛ラインの一つだと思っているのが、この10円硬貨。10円硬貨の表画像品位は「銅95%」「亜鉛と錫で5%」、4.5グラムの硬貨なので、約4.275グラムの銅が入っている計算です。銅価格の上昇と円安のダブルパンチで、円建ての金属価値的には約9円程度(※2026年7月中旬時点の概算)になりました(哀)。少額硬貨の額面と素材価値の差が縮まることは、単なる製造コストの問題ではなく、通貨制度への信頼やその貨幣経済で生きる多くの人の将来の設計にも関わる、重要な論点だと感じています。

10円は10円という価値を担保できるか

日本銀行が毎月発表している「通貨流通高」のデータを見ると、約140億枚ほど流通している計算になり、正直しびれるわ(汗)。一般人の私さえ思いつく発想なので、雲の上の方々がこれを意識しない訳がない(と思う・・・多分・・・誰も言ってないけど・・・)。為替水準は相手通貨があるので仕方ないし、銅価格も需給で決まるので仕方ない。ただし、個人的な意見ではございますが、銅価格を円で考えて【10円がその価値を維持する重要性】は、歴史を見てもかなり重要なポイントのような気がしてます。素材価値と貨幣額面価値のバランスは、どの時代でも通貨制度を学ぶ上で重要な要素。歴史から見ても、注意深く観察し続けたい防衛ラインなのではないだろうか・・・。

今回あらためて感じたのは、私たちが「貨幣そのものの価値」を考える機会が殆どない事。古い硬貨を眺めていると、時代が変わっても最後まで問われ続けるのは、結局「そのお金を人々が信じられるか」という一点なのだとさえ思えてきました。天保通宝も、戦時下の硬貨も、そして今の10円玉も、全ては一つの線の延長上にあるだけなのかもね。そして、価値を失った国内の旧貨幣をみて、最近よく耳にする「通貨の信認」という言葉の意味を真剣に考え続けてました。言葉ではなく、未来への約束として、長期にわたり安定した財政・金融政策が維持されることを願っています。

最後にご注意

なお、国内の貨幣を故意に損傷する行為は法令で禁じられています。貨幣損傷等取締法には罰則があるのでご注意ください。

※ご理解をお願い申し上げます

古銭や貨幣の歴史を手がかりに、貨幣の価値や信認について考えた極端な物語です。年代や素材などは公開資料を参考にしていますが、専門的な研究論文のような厳密さを目指してません。史実の細部よりも、「貨幣をどう見るか」という視点を中心に読んでいただければ幸いです。

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