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ダイアモンドの「カット」グレードについて

鴫原質店の弟さんです。

前回はカラーに関して書いてましたが、今回は「カットグレード」について。ダイアモンドのカットグレードは「光を最大限に引き出す為の理想的な形状との比較」(←言い方違うかも)であり、様々なデータ要因で決定される為、言葉でいい表すことが不可能だと個人的に思っており、人に上手く伝え事や教える事ができません。パッと見た瞬間に「エクセレントだ」とか「グッドにとどまるかな」とかイメージが湧きますが、あくまでも経験上からくる推測であり、100%必ず当てられるものでもありません。そんなカットグレードについて書いて見ようと思いますが、恐ろしくつまらないそして長い内容になりそうなので、先にお詫びしておきます。

今は素材が多いので自分の勉強の為にも色々見ていこう!。まずは上位グレードの3つを視覚的に比較してみようと思います。ソーティングが付いた3つのダイアモンド0.3カラットなのでちょっと小さいですが、左から「EXCELLENT」「VERY GOOD」「GOOD」と並べてます。この正面から見た場合のテーブルの比率で「左はEXCELLENTだ!」と思うのは見慣れてるから。もちろん正面だけ見て決める訳でないのですが、「EXCELLENT」には固有の形状があるのでイメージ的に覚えやすいと考えてます。

顕微鏡で各面の比率を見てみます。3つのダイアモンドの拡大画像並びは先程と同じですが、真ん中の「VERY GOOD」は見た瞬間に「GOODだな~」と思ってしまうかもしれない。「GOOD」のテーブル比率が「EXCELLENT」と大きく違う点は殆どの方に気づいてもらえる点だと思いますが、各グレードに【幅】のようなものがあり、最高評価(EXCELLENT)に近づくにつれ、その幅は限定的なものとなり、頭の中に「エクセレント」は【こういう形】的なイメージがあります。(※説明になってないよね・・・)。そしてもちろん「EXCELLENT」にも【幅】がある点も付け加えます。

次にちょっと低めのグレードである「FAIR」と「POOR」。ソーティングが付いた2つのダイアモンド両方とも1カラットアップなので写真を撮るのが楽でいいね。少し思うのは、こうしてみるとダイアモンドのグレードなんて普通の人にとってはどうでもいい事なのかもしれない・・・。とはいえ、この見た目はあまり変わらないダイアモンドは、左と右で約2倍の価格差があり、やってる方は超真剣だったりします。間違って買ったなんて言葉が通用しない位高額なんですから。

同じように形状を確認してみると、この時点で気が付く事が多いはず。2つのダイアモンドの拡大画像左が「FAIR」で右が「POOR」ですが、例えば左はテーブルが真ん中にない(ちょっと右下に寄ってる)とか、右はそもそもテーブルがちゃんとした形状になってないとか、完全なイメージの話ですが、気づく部分も多いかと(汗)。「GOOD(グッド)」位のグレードから【形の幅】が更に広がっていくので、判断に悩む場合もでてくる感じでしょうか(抽象的ですみません)。

話をできるだけ簡単にしたいから正面から見た場合についてのみ書いてますが、カットグレードの推測は色んな角度からダイアモンドを確認します。ダイアモンドを斜めから見た風景テーブルはもちろんですが横や斜めや色々と見ないとグレーディングはできません。細かな部分の理想像との乖離を探す作業になり、その理想が分かってないと比較すらできません。そういう理由でカットの評価をできるまでには結構な時間を要することになります。

こちらは前回も掲載した画像ですが1カラットの「VERY GOOD」の画像。VERY GOOD評価のダイアモンドの拡大画像上の方に0.3カラットの「VERY GOOD」の画像を載せましたが、こちらがより「EXCELLENT」に近い「VERY GOOD」で、逆に上の0.3カラットのダイアモンドは「VERY GOOD」だけども「GOOD」に近い「VERY GOOD」と表現すると、グレードの中にも幅がある事をご理解頂けるのではないでしょうか。

ダイアモンドのカットグレードはとても重要です。ダイアモンドのファイアー「ファイアー」と呼ばれる虹色全ての色を見せる光の分散はカットグレードにも影響されます。もちろんこれ、カットグレードが良いとファイアーは出やすい傾向にありますが、グッドでも猛烈に出現するダイアモンドもあるので完全連動ではありません。その点ではアメリカのG.I.A(全米宝石学会)のカット評価で「ファイアー」という項目があるので、カットグレードは形で決まる訳でもない点は補足させて頂きます。(←コレで益々意味不明になってきた気がする・・・。)

自分で書いていて「今までの文面でカットグレードに関して伝わるのか?」が分からなくなってきましたので、GIA(公式ページはこちら)から画像をお借りしてきました。あんまり専門的分野に突入したくはないけど、このままだと「結局なんなのよ?」で終わるので、グレーディングの方法まで触らせて下さい(哀)。カットグレード基準の決定項目上の画像の指標の割合(比率?)などが科学的に理想とされる形状とどの程度一致するかが、グレーディングの根本にあり、「何が理想か」を視覚的に覚えている事が作業の前提にあります。そしてまたGIAでは視認検査などもあり、「数値化できない基準も含めて」カットグレードが決定されます。

こちらは2020年に発行されたGIAのダイアモンド鑑定書の画像。カットグレード基準の決定項目
カットグレードは先ほどの図の項目を含む下記項目の総合評価により決定されます。その項目は「ブライトネス」「ファイアー」「パターン」「全体の深さ%」「テーブル%」「クラウン角度」「クラウン高さ%」「スター長さ%」「ローワーガードル長さ%」「ガードル厚さ」「ガードル厚さ%」「キューレットサイズ」(←国内ではこれらを総合して「プロポーション」と呼ばれてます)「ポリッシュ」「シンメトリー」となり、「ポリッシュ」「シンメトリー」は独立して評価が鑑定書に記載されてますが、カットグレードの総合評価にそれら2つ(「ポリッシュ」と「シンメトリー」)も加味されます。グレードによりこれら項目の「適応割合」が変化し、更には「ブライトネス」や「ファイアー」は理屈じゃない見た目の評価なので、全てを言葉では説明しきれない感じです。尚、判別項目に関しては当店に実在する2006年のGIAの教科書から抜粋してるので、今時のネットの情報と異なる可能性がある点ご理解下さい。事実を書いてるつもりなのですが、その事実(=情報)が古いのよね。時代の流れで変化する判別方法を反映してないので、今の常識とはちょっと違うかも、という事はしっかり書き加えておきます。因みに参考にしたのはGIAの教科書の「ダイアモンド グレーディング ラボ マニュアル」という部分だったのですが、「これ、写真をブログに載せていいかな?」と聞いたら「絶対ダメ!!」と当社のGIA GG様が言っておりました(無念)。割合って言われてもやっぱわかんないよね・・・(涙)。

長々と書いてきてかなり疲れましたが、カットグレードの説明を言葉でのみ言い表すことができない点をご理解頂けたら嬉しいです。「じゃ~どうやって勉強すんのよ?」という事に関しては、色んなものを推測(自分でグレーディング)し答え合わせを繰り返すという行為をいつまでも続ける事しか私は思い浮かばない。尚、国内鑑定機関ではトリプルEXCELLENTやハート&キューピットなどと呼ばれる項目がありますが、1950年代にダイアモンドの品質を決める基準を4Cと定めたアメリカのG.I.A(全米宝石学会)にはその項目はありません。そういう意味では、カットグレードの最終的な判断は、もしかしたら鑑定機関によって違う可能性さえあります。そんな感じで正直全てを理解するのは相当難しく、鑑定機関が定めるルール(グレーディング)を自分に叩き込むしかなさそうです。カットグレードの評価って本当に難しいですが、少しでもフィーリングが伝わればいいなと思います。

最後に宣伝ですが、ダイアモンドの買取は鴫原質店をご利用下さい。その場で査定ができますし、お見積はもちろん無料です。本日は以上でございます。



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