質屋のスタッフブログ
2021年12月18日
鴫原質店の弟さんです。
先日のブログで、ロレックスの付属品である保証書がリセールバリューに影響する旨を書かせて頂きました。年々中古を扱う業者も、そしてまた中古品を購入する人も増え、中古市場が成長するにつれて価値観が変化したのだと思っています。昔の保証書を紹介しながら保証書に関する昔の記憶など書いていきたいと思います。
前回のブログを書き終わった後、店頭で販売しているロレックスの保証書を引っ張り出してきました。
これは「ロレックス114270 エクスプローラー」の保証書で、2006年頃に海外のどこかの国で発行されていた保証書です。お品物はまだ在庫として店頭に飾ってあるので、ご興味ある方はぜひよろしくお願い致します。
エクスプローラーって何だろうと思う方もいると思うので商品画像を掲載します。
ま~こんな姿の時計ですとしか言いようがない(汗)。この時計の思い出話としては、1997年のドラマ「ラブ ジェネレーション」でキムタクがつけていた事で瞬間的に中古相場が急騰した過去があること。中古のロレックスを見ている人が少なかった時代に、需要が一気に膨れ上がった為、定価以上で中古品が売買されました。その時のエクスプローラーの型番は14270という5桁で、こちらの時計はそこからマイナーチェンジされた114270という6桁の型番なので正確には異なりますが、ロレックスに興味のない方にとってはどうでもいい違いにしか思えない些細な違いがあります。
保証書の話に戻りますが、この時計の保証書は1枚の紙を折りたたんでいるだけです。
この頃(2006年頃)の保証書は販売された国によっても書式が異なり、確か2007年頃より世界で統一されたカードタイプに移行されていったように覚えてます(違ったらすみません)。因みに製造番号の頭文字の「Z」という事から2006年頃に本体が製造されたものと分かりますが、今と違ってロレックスが飛ぶように売れた時代ではなく、2006年頃に製造されたロレックスが2007年に販売されればカードタイプの保証書がついている場合もあります。余談ですが、2005年頃に本体が製造されたデイトジャストが2016年頃に正規代理店で新品として販売され、カードタイプの保証書が付属していた事をブログで書いた覚えがあります(年数は違うかも)。
この頃の保証書には最新のギャランティーカードでは見なかった国番号が明記されています。
114270の上の「888」がそれにあたり、香港で発行された保証書という意味。香港は高級中古時計の貿易の中心地として活躍しており、その頃も国内から香港にロレックスを輸出している業者さんが沢山いました。今ほどその仕組みはオープンになっていませんが、国内で仕入れたものを輸出していたようです。もちろんその後の円高の状況では逆に、多くの品物を海外から輸入してたのかな。そういう貿易の拠点は香港以外にもあり、当社の社長も以前、東南アジア(←場所は秘密)に仕事という名の【海外旅行】に行ってきた事があります・・・。そういう事に気が付く賢い行動力のある方々は、多くの財を手にしたのではないでしょうか。
そしてこれは私の思い出ですが、香港の保証書は普通に雑です(笑)。
書ける欄があるのに未記入なのが画像でも分かりますね。書いてある事も多いですが、ボールペンで雑に書かれている物なども多く見てきました。香港経由で未使用のロレックスを仕入れ(並行輸入)、日本でボールペンで記入するなどもあり、ロレックスの保証書に今のような厳格なルールは無かったように思います。平行輸入品で南アフリカの保証書を何度かみましたが、何一つ手を付けてないものばかりだったような。そういう国なんだろうか・・・?。そういう意味では2000年前後の時代、日本の正規代理店はロレックスの保証書に購入者の住所や名前までしっかりと印刷してましたが、かなりマメな事をしていた少数民族なのかもしれないと感じています(←事実不明)。
ロレックスの保証書について続けてで書きましたが、感じてるのは保証書の意味合いが変わってきた事かな。昔(2005年頃)の中古ロレックス相場は保証書があってもなくても同じ値段で取引されてました。そもそも保証期間の切れた保証書に意味なんてないですしね。ただその頃と比べてロレックスを購入する目的に変化があり、使う為に買う道具としての購入意識割合は低下し、どちらかというと投機的、又は、コレクション的意識が高まったような気がしてます。そんな背景によりロレックスの保証書は、時計の機能や動作を保証するものでなく、真贋保証を補佐する為の一つであり、「売る時に高く売れるから保管する」的な感覚が多くの人の意識にあるように感じます(←個人の感覚です)。
ロレックスの保証書の話からリセールバリューの話も絡んでしまい相変わらず話がまとまらない私ですが、最後にもう一つ全く関係のない話を。中央銀行の金融緩和によってばら撒かれた紙幣は様々な品物の価格を押し上げました。この約2年間で投資信託も株価も高級時計も古いスポーツカーも金も銀も、そして任天堂スイッチやプレーステーション、最近では牛肉や玉ねぎや小麦やウィスキーや日本酒まで、数をあげればキリがないほど様々なものが値上がりしてます。ロレックスもその一つだと思いますが、今後行われていくだろう金融引締のタイミングで、商品相場がどのように動くのか?。2008年のサブプライムローンショックの時にもロレックス相場が暴落した事がありますが、その時は相場に一喜一憂するだけの感覚しかなく、ロジック的な事を全く理解しておりませんでしたが、今後の仕事に活かす為にも、今の現状を注意深く観察していこうと思っております。とはいえ可能であればですが、商品相場は維持してもらいたいものです。抱えてる在庫価値が減ったら会社が大変なことになるので・・・。
本日は以上でございます。
2021年12月08日
鴫原質店の弟さんです。
今月の質流品の中にこのような品物がありました。
ROLEXの「116900 Air King(エアキング)」様です。2016年に登場した新型モデルで、帯磁性能に優れているとか。通販用に出品する準備は全て終わりまして、ついでにブログ用に写真を撮ったので今回はその事に関して書いていこうと思います。
お話の主役は題名の通りROLEXの新型保証書に関して。
既にインターネット上に多く開示されている情報なので特段珍しいお話ではありません。都会のお店では既に新型保証書を付属したロレックスを沢山扱っていると思いますが、地方の小さな店舗の当店では新型保証書が付属するロレックスを在庫に持つのは初めての事。やっと取り上げる事ができて少し嬉しい!です。質在庫として既に何度かこの保証書を見てきましたが、昨年の夏頃よりこの新型が導入されたようです。見てる個体数が少ないので何月から変更になったなどの確実な事は分かりませんが、今後も注意深く見ていこうと思います。
裏面のデザインはこんな感じ。
購入した日付がビシッと綺麗に印字されてるのが特徴ですかね。でもインターネットで中古で売られている他の商品のギャランティーカードを見ると、手書きのような筆跡で書かれているものもありました。販売店舗のスタンスなのか、はたまた日本と海外の違いなのだろうか?。今現在で良く分かりませんが、お客様が「仙台の正規代理店で購入した」と言っていた保証書に関しては、全てがこのような機械的な印字でした。これに関しても継続して観察していこうと思います。
購入日が印字されている白い部分は裏側が透けています!。
端っこを観察すると少し特徴のある構造のようです。「感熱紙のように熱に反応するのだろうか?」とか、「消しゴムで消えるかな?」とか「濡れるとどうなるんだろう?」など色々とやってみたい事がありますが、ボロボロの保証書が手に入った時まで我慢しよう・・・・。私は意味もなくこういう部分の構造に興味を示す人間でございます。
この新型保証書様の文字の印字方法はこのようなものでした。
通常の文字はガラスコーティングのような表面の内部に印字されているイメージですが、モデル番号とシリアル番号は盛り上がっています。拡大鏡でわざわざ撮影してますが手で撫でると直ぐに分かります。写真の「3」の右側を見ると分かりますが、盛り上がった上にコーティングがされているような感じなのかな。硬い何かでガツンと刺してみたりすれば、この文字が取れる可能性はありますが、爪程度では傷つかない造りになっています。
カードの端っこは一周が金色に特盛で塗られていました。
「削ってみたい・・・・」とか「机の角にぶつけたい」という衝動にかられますが我慢です!。何せ100万円もする時計の大事な保証書様です。時計の付属品という枠を超えたような作り込みに感心しますが、私はこの塗ってある部分の強度が知りたい(我慢我慢)。色々な保証書を今後も観察していこうと思います。
このギャランティーカード様は、型番の上の空白部分にブラックライトで反応する箇所がありました。
ルーペで見ると、ものすごく細かい文字でROLEXと連想できる文字(模様)が確認できます。ROLEXのどの文字でもいいのですが、例えば一番認識しやすいXを観察すると、「黒X2個」「白X」「黒X」「白X」と文字の並びに法則性が見られ、右45度方向に文字が羅列してあります。「R」も「O」も「E」でも同じような特徴がみられ「L」に関しては「白黒の四角」のように見えて認識しにくいかな。
そしてこのブラックライトで反応する部分にはICチップが埋め込まれていました。
最近使う事が多いアプリ「NFC Tools」を近づけると何かを読み込みます。(NFC TOOLSの説明は省かせて頂きますのでご了承下さい。)
読み込んだ内容の一部を見るとこのような画像がでます。
リンクの2カ所とも日本ロレックスの公式ページにアクセスします。日本で購入された商品の場合、日本ROLEXのページ(こちら)に誘導されるのは分かりますが、もしこれが海外購入品だった場合、その国のROLEXサイトにアクセスするのかな?。中国からの並行輸入品で中国のROLEXサイトにで繋がったら、時計本体の真贋がどうであれ、多少にかかわらずビビりそうな予感がします。これに関しても注意深く観察していくことにしよう!。
解析ページの最後にはこちらのQRコードが掲載されていました。
これも読み込むと日本ROLEXの公式サイトに飛びます。QRコードをテキストで読み込むと、一つ前の写真と同様の文字データを確認する事ができますが、これが解明されることがあるのかないのか(←企業秘密でしょうし)。このような造り込み見ていくと、この新型保証書に関しては時計の付属品の域を少し超えた存在のようにさえ思えます。個人的な感想ですが、ここ10数年で劇的に躍進したブランドイメージに相応しいものですね!。
今回はROLEXの新型保証書を紹介させて頂きましたが、読み返してみると、ロレックスの「保証書って凄いね~」的な内容になりましたね。中古市場では今でこそ、「保証書の付属しない」スポーツモデルが「付属するもの」に比べて10万円引きなどで販売される相場になっていますが、ROLEXの購入目的の変化に影響された故だと私は思っています。使う目的で購入した時計の付属品で、しかも保証期間が切れていたら、保証書ってそもそも必要ないはずですが、売った場合の付加価値という概念がリユース市場で形成されています。リセールバリューという視点が重視される今、保証書の価値がリセール価格に大きく影響するという事実がありますからね。そういう意味でも保証書はとても大切な世の中になった気がします。これに関連する事ですが、次の更新では最近入荷した別のROLEXの保証書を取り上げてみようと思います。
本日は以上でございます。
2021年12月04日
鴫原質店の弟さんです。
明治時代よりそこにある実家(嫁方)に関して、前回は家の中を部分的に見てきましたが、今回は敷地内の外を散策していきます。今でこそ手の届かない部分は劣化してますが、明治の建築当時は本当に凄い場所だった事が想像できる風景があちこちにあります。敷地内ではありますが、危ない場所もありチビ達は散策に同行させませんでした。理由は見たままなので、ご興味がある方はご覧ください。それでは続きを始めさせて頂きます。
母屋のすぐ先にはこれまた大きな建物があります。
これは馬小屋らしく昔は馬を飼っていたという事。馬を飼育していた時代については既に分かりませんが、とても大きな施設です。昔っていつなんだろ?。
中に入ると荒廃が目立ちます。
木材の腐敗により天井が部分的に崩れ落ちており、この状態で長い期間が経過しているようでした。中にいるのは結構怖いので早々に外に出ます。
次は奥の方の開きっぱなしの扉から中に入ってみます。
小屋の中に雑草が生えている様子を見て長女が言います。「ジブリの映画のワンシーンみたいね」との事。「なるほどね」と少し共感。人が手を加えない物は自然に溶け込んでいくことが、目の前にある光景なのかも。錆きっているカンさえもそのうち自然に浄化されていくのでしょう。
外には蛇口があり水がでる場所があります。
でもこれは水道水ではありません。蛇口からでてくる水は山を一つ越えたところに湧く浄水を電気でくみ上げているらしい。この地区には井戸の跡が多く見られますが、さすがに井戸水はもう使ってないとか。
その先には畑があります。
畑では野菜が育てられていました。季節の野菜を必要分育てているのかな。野菜をおいしく大きく育てる方法について、お茶のみ仲間の日常の話題のようです(←嫁談)。
敷地内には荒廃した建物が他にもいくつかあります。
画像左上の建物は2階建ての大きなもので、造り的に何かの倉庫だったのかな(←事実不明)。薪小屋のような小規模の建物もあり、各建物の当時の役割など調べるのも面白そうですね。ただ、手を付けない建造物は自然に飲み込まれていく様子がみられます。天然素材(主に木)で出来た建物なので、このまま放置しても自然に無害という点はとても素晴らしい事です。
母屋と馬小屋の間に裏山への道が開かれています。
この山も敷地内でその奥には広大な竹林があります。昔は稲を纏めて干す道具をこの竹を切って造っていたとか。確かに切り跡が散見されますが、最近は放置気味のようです。以前はここで取れたタケノコを沢山頂き美味しくいただいていましたが、それこそ私にとって「昔のいい思い出」となってしまいました。竹林も手入れをしないと増殖していきます。馬小屋の後ろには竹がびっしりと生えており建物を飲み込むのも時間の問題のような気がしてます。自然って凄いね!。
竹林を進みながら山を登ると、少し先に何かがあるのに気づきました。
実はこの辺は初めて来たところで、長女と一緒にワクワクしながら進んでみました。もちろん道などありませんし、落ち葉が深く徒歩での道のりは険しい場所です。
近くまで寄ってみると衝撃的な光景を目にします。
日常ではみる事のない家の倒壊現場・・・。後で聞いてみると、お嫁様が子供の頃はこの家で遊んだ記憶があるとか。人の手が届かない建造物が自然に飲み込まれているのを目のあたりにするととても不思議な感覚です。この建物がいつ倒壊したかについて正確なところは分からず、気づいたら倒壊していたらしい。なんだか少し怖いお話ですね。
これは母屋の裏にあるトイレの外側です。
為壺便所なのは当たり前ですがその浅さに驚きます。ちょっと角度を変えると見てはいけないものが見えます。人間の排泄物を肥料として使っていた時代の構造では、肥料を取りやすいように浅い造りになっていたのかな、というのは私の勝手な想像。でもこの方が実際に汲み取りやすいよね。100年という月日で人々の暮らしは激変しましたが、そういう名残を感じます。
母屋の縁側に座って庭を眺めると石蔵が2つ視界に入ってきます。
何代か前の家主様が質屋を営んでいたらしい。この蔵に入った事はありませんがその機会があれば中を見てみたいですね。お父さん(義父)はただの物置だと言っていますが、歴史的に貴重なものが見つかったりして(笑)。
代々家を守り続ける事など、そもそも今時の考え方では真似する事はできません。自分の家を建てたいとか、仕事の都合とか、便利なところに住みたいとか、親と同居したくないとか、他にもいっぱい・・・、今では普通と感じるそのような考え方が家の継承の弊害となります。
当たり前の話ですが、家を守る男性に女性が嫁ぎ、そしてその家に新しい命が産まれ、そしてその子が成長して次の世代に引継ぐという事をここでは数世代も繰り返し、その結果として「奥様」がこの世に誕生しました。私の生活圏ではこのような家(←家系という意味)は見当たりません。どの世代でも色んな事があり我慢や自己犠牲もあったはずです。とにかく心からすごい事だと思っているので、お家を守り続けてきた顔も名も知らぬご先祖様にお礼を言ってみたりしてます。そしてまた、明治時代という映画や書物の世界から、長い期間多くの変化を重ねてここに今残存する事が、壮大な物語のように感じてとても気に入ってます。残念ながら奥様は余り好きではなさそうですが・・・。
好き勝手に書いているので、奥様や親御様に見られたら怒られそうな気がしてきました(汗)。どうか私の無事を御祈り下さい。
本日は以上でございます。