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質屋のスタッフブログ

ドル建て金の最高値を更新と金融政策について思う事

鴫原質店の弟さんです。

3月は世界中で大きな動きがありましたが、私生活と関係ある部分もあり色々な事を考えさせられました。先に書いときますが、多くの方々には退屈でつまらない話になりそうです。質屋に関係する事で言えば、ドル建て金価格が史上最高値を突破し続けてます。こちらはドル建てゴールドの5年チャート。5年間のドル建て金チャート4年前につけた1オンス2,050ドル付近をぶち破り、3月は一気に駆け上がり続けました。ちょっと(結構?)前まではドル金利やドルインデックスと金相場は大きな相関関係が見られましたが、それらを完全に振り払った世界的な金の上昇なのか?。それともアメリカの金利下落の先読み投資か?。基軸通貨ドル体制の崩壊の始まりか?。中東情勢逼迫による安全資産への投資?。金が買われている事以外は全て空想物語状態で誰か教えて欲しいくらいだ(笑)。ドル高なのにゴールド(金)も上昇って今までは殆ど見られない相当不気味な状況のような気がするぞ。この状況が喜ばしい事と考えるのは正直いかがなものかと個人的に思いますが、世界的な経済・金融・情勢は安定してるとは言えない状態のようです。尚、使用する全てのチャートはいつものトレーディングビュー様(こちら)からお借りします(4月4日付け)。

ドル建て金の1か月チャートがこんな感じ。ドル建て金の一か月チャート1オンス2083ドルから2298ドルまで10%(215ドル)も上昇。オンスだとパッとしないのでグラム換算になおすと、$215/31.1≒6.9ドルも上昇しました。日本円換算にすると為替を151円とすれば、151(円)×6.9(ドル)×1.1(消費税)≒1,140円となり、円換算の1グラム上昇幅が確認できます。相場が無い(←抵抗線がない)状態に突入したので、どこかで調整されたところが相場になる青天井。

ちなみに田中貴金属様(こちら)の小売り価格推移はこんな感じ。上で円相場計算したので意味はないですが、大きな為替変動が無かったのでやっぱり右上がり。田中貴金属の小売金額チャート3月5日~3月末(←上のと期間が違う)まで1,100円上昇しており、為替(円安)が円建て金を押し上げてた4年間とは違った状況です。お金造る権限を持つ機関(中央銀行)がお金を刷ってゴールドを買ってる国もあるようで、世界中の国がお金を印刷しまくった結果として、ゴールドの価値が上がるのも同然なのかも(※個人の感想で事実ではありません)。株も不動産もゴールド(金)も多くの指標が最高値を示す今の現状がバブルなのか相場なのか?。そんなことは暫く経って初めて分かる事なので今現状は相場としてみておこうと思います。

次に国内金価格に影響する為替について。日本でも「数十年ぶりの利上げ!」との報道もありますが、チョピっと過ぎて為替には無風の状態。とはいえその「姿勢」がとっても大切なはず!!。アメリカ10年債金利とドル円チャート米10年債利回りとの相関関係をみていると、ドル円相場は金利差で7~8割説明がつきそうな流れに変化はないけど、今年の1月から金利差以外の要因で数パーセント円安に振れてます。日本人による円売りドル買い(←新NISA)論もありますが、何だろうね?(←そんなの分かったら働かない)。とはいえ、日本の財務省が認める「世界で一番安全な資産」とされる米国債は、ピークから少し金利は下がったといえ、今現状、30年間アメリカに貸付けるとドルベースで2.8倍になる事をアメリカ合衆国が「約束」してくれる債権であり、単純計算で30年後に1ドル60円程度にならなければ、円ベースでも増える事が試算されている状況です。「金利が【安い】アメリカ国債」でさえそんな利率なので、円売りドル買いでアメリカの国債や更に利率の高い社債などにお金を置き換えた日本人は多いのではないでしょうか(←円安要因)。そんな観点で見ると、通貨価値と金利が逆相関なのは当たり前で、通貨防衛として金利は不可欠なようにも思えます。昨日(4月5日)、アメリカの強い雇用統計を受け、利下げ予想時期の後退により米10年債利回りは上昇してしまいました・・・。日銀が動かなければドル円は更に円安に傾きそうな流れだと思えるつらい状況と個人的には思えます。(※円安要因を考えただけで、金融商品を紹介した訳ではありません事ご理解下さい。)※世界最大である日本の対外純資産は動かない事が前提です。

爆上げしてる金相場だけど、この先数カ月で考えられる金価格の一番いやなパターンは何だろう?など、無知で超悲観主義者の質屋の従業員(←私)が考えてみた(注:当たる訳ない個人の妄想で考える意味すらありません!!)。今現状、景気は強いとされているアメリカで、景気後退による失業率の急激な増加とFF金利の大幅な低下、それに伴う株式市場下落の損失補填の為の金売りで、その下落に円高がブーストをかけるってのが国内金相場の最悪状況か?。ま~ソフトランディングって言われてるし・・・そんなのありえんか。こんなの考えたって何の意味もなく、分かるはずもないんだけんど、金が下がる原因や理由など無理矢理さがしてみた(汗)。一応、日本最大大手のメガバンクのストラテジストのレポートでは、金融政策や経済状況に応じて3パターンが説明されており、その中でドル円は110円~170円の変動可能性を見ていました。その幅60円ってもはや予想でも何でもないけど、そういう極端な状況なのかもしれないね。私は財務省と日銀が170円を許すなんて思えないけど、そんなこともあり得るって事なのかな?。

国内の金利に関しては様々な報道が見られますが、税や金利の方向性次第では通貨価値が下落することが他国(トルコ、イギリス、アルゼンチン、ジンバブエ)の例やこの数年の日本円を見ると分かります。報道では金利上昇のデメリットばかりが目立ちますが、金利が要因で円の通貨価値が下がっている報道はあまりないのも一つの事実。タイミングが悪い事に、今年に入って原油価格が上昇しており、それがもし今後も継続すれば、輸入物価高による国内インフレが更に高まる事も想像され、物価上昇率(インフレ率)を抑制する為に国内金利を上げるのは正当化できそうににも思える(←素人目線)。金融政策は為替をターゲットにしていないとはいえ、物価と為替の連動性は強いので、早かれ遅かれ次の利上げがあっても不思議ではなさそうです。原油価格上がればアメリカのインフレ率も上がるから、こんな状況だとアメリカの利下げも遠のくし、円安による物価高で個人消費減少が続く可能性もゼロではなさそうに感じており、選択肢が少ないこの状況で日銀はどう判断するんだろ?など一挙一動に興味津々なのは私だけではないはず。金融政策を決める方々は強い決断と重い責任があり、金利を動かせば誰かに痛みがあるのも分かってる事。そして金利を動かさないリスクも国民や会社が身をもって知った数年間で、多くの方が興味を持つ分野になってきたように感じてます。3月の歴史的転換とも思える大きすぎる変化を、「サラっ」とやってしまった植田先生率いる今の日銀の動きは棘もなく恐ろしく滑らかでした。説明も丁寧な元学者様の植田先生の記者会見は聞きやすく、それでも何度も同じような質問が記者から入る時に見せる少しいらだつ仕草(特に目)が面白いですが、今後の行方をどのように決めていくのか、ストーカーのように聞き続けていきたいと思います。


なんか金(ゴールド)の事をパチパチ書いたら変な方向に話が進みました。質屋っていうか金融の話になってるように思うけど、為替が商品に与える影響もある事と、思ってる事をサラサラと書いてるだけなので、優しい気持ちでお許しいただけたらと思います。修正せず、誤字脱字チェックだけしてアップさせて頂きます。冒頭でも書いてますが、つまらない話でスミマセン。

本日は以上でございます。



76年前の紙幣と日本のお金の歴史について

鴫原質店の弟さんです。

先日お客様がお持ちになられた品物に珍しい「紙幣」がありました。1月にこのブログで書いた【質入れできるもの紹介パート5「日本銀行券」】を少しご覧頂き、このブログで紹介させてくれないかとお願いしたところ、是非是非と快諾頂き写真を撮らせて下さいました。とても珍しいのでご紹介させて頂きますが、パパパ~~と書き終える上、全く専門外なので間違ったこと書いてたらごめんなさい。

まず始めに五銭札。日本銀行券の歴史の中で最も額面が小さい紙幣で、五銭札には「い号券」と「A号券」の2種類が存在し、こちらは「A号券」の方。発行されたのは1948年で、この貨幣単位が廃止された1953年(昭和23年)末まで使われていた紙幣のようです。五銭札の表裏1銭を100個集めると1円になるという単位で、すこしピンと来ないな。表面には梅、裏面には彩紋が描かれています。尚、「い号券」とは金本位制度から管理通貨制度に移行する際に発行された紙幣のようで、その後継札が「A号券」そして「B号券」と続き、日本の円紙幣および貨幣は色々と変化していきます。「日本銀行券」が読みずらい漢字(感じ)。経年劣化はあるものの折り目もないピン札状態で、コレクションに対する愛が伝わってきます。

次に十銭札。十銭札にも「い号券」と「A号券」の2種類が存在しており、これも「A号券」。十銭札の表裏表に鳩と裏面には国会議事堂。1947年から発行され、五銭札同様に貨幣単位が廃止される1953年(昭和23年)末まで使われていた紙幣らしい。これもほぼピン札でやはり愛を感じます。

そして次は五十銭紙幣。表に板垣退助と裏面には国家議事堂。因みにこれは「日本銀行券」でなく市場全般に拡散された紙幣ではないようです。よく見ると真ん中に「日本政府紙幣」って書いてるね。五十銭札の表裏ちょいと調べてみたところ、戦時経済の制約などが感じられた紙幣でしたので、この辺の深堀は避けさせて頂きます・・・。わずか70年前のことだけど、個人が大切にしているお金の価値自体は国の政策によって変わっていき、国の借金を減らす為の政策として、通貨安とインフレが借金の実質減少をもたらす史実をみると、現状の円安も「もしや国策か?」など自分勝手な怪しい空想に浸ってしまいます。(←※無知な私の稚拙な発想であり事実とは無縁です!!。)

次は1円札で、この紙幣は日銀のホームページ(こちら)にも掲載がありまして、肖像は二宮尊徳という江戸時代の思想家らしい・・・。発行開始は1946年(昭和21年)3月19日で、発行が停止されたのは1958年(昭和33年)10月1日。明治の時代から発行された1円札の最後になるようで、日本銀行のホームページに4種類の1円札のサンプル画像が掲載されてました。1円札の表裏その後、1955年(昭和30年)より発行が開始された1円硬貨の流通によって、「銭」という通貨単位は姿を消しますが、その1円硬貨が、約70年前から同じデザインで製造されて、今も尚使用されているのは凄い事ですね。少し話がそれますが、円という通貨概念が産まれたのは、明治新政府が発行した政府紙幣から。「円」「銭」「厘(りん)」が決められ、厘は1円の1000分の1という単位。その時の最小通貨である1厘が1千万枚あれば今の1万円と同じ通貨なので、なんか天文学的な数値にさえ思えます。凄く混乱する話ですが、同じ1円札でも「日本銀行券」ではなく、「日本銀行兌換銀券」とか「大正兌換銀行券」とかの記載があり、色々と制度が変わっているのかな?。興味深い部分なので、時間があればいつまでも調べ続けそうで怖い・・・。

今回は70年前の紙幣を調べましたが、インフレによる物価上昇によって貨幣はその価値を変えていく事が分かります。そして、その貨幣を変更できる権限を貨幣発行体が持つ事も・・・。もし仮に今後日本でもインフレ進行で「食パン一斤が3千円」なんて時代になれば、5万円札や10万円札などが発行される可能性はあるのかもしれない(?)。お隣の韓国では日本と似た単位ですが、硬貨は1・5・100・500ウォンで、紙幣は千・5千・1万・5万ウォンがありますし、近場のベトナムの通貨ドンを見てみると、紙幣は100ドン札から50万ドン札まであります。50万って・・・もうよく分からん単位だね!!。

国内では、人口の少子高齢化により労働人口は減少し続ける事が想定され、数年前には日本女性の過半数が50歳以上となり今後の急激な出生数上昇は見込めない中で、労働市場における若者の取り合いは既に本格化しており、これから更に加速していくのかも。ここ最近の賃上げニュースやインフレ動向を見ていると、これが継続し続けるのであれば、私の子供が大人になった時(←約20年後)は初任給が月給100万円でも少ない・・・・という時代になる可能性もあるように思えます。そして今見てる国内での貨幣価値と物価がどう変化していくのか、そしてその流れの中で、円という通貨の国際的な価値がどうなっていくかを観察し対応しながら生活する必要性さえ感じてしまいます。ちょっと前の老後2000万問題は最近のインフレ率を加味すると、今後20年でいくらまで増えていくんだろう?。老後が~とても~不安だ~~~(哀)。

本日は以上でございます。



PTP刻印ダイアモンドリングの査定と機材の大切さ

鴫原質店の弟さんです。

今回は少し前にお店で買取させて頂いたダイアモンドリングについて。石が台座から外れた指輪色々検査をした後なのでリングからは外れてますが、最初は指輪の状態での査定希望があり、もしダイアモンドの重さ(カラット数)が「この位だったらこんくらいの金額になる」という大体の概算金額を口頭でお伝えしました。普通なら見積書をお渡しするのですが、お客様が「大体の目安でいい」とおっしゃる事と、このままでは値段のつけようもなかったというのも理由の一つです。

正確な値段が付けれらない理由はダイアモンドの重さが分からないから。指輪の台座の詳細部分大体の品物は金属部分に石目の刻印がありますが、そのようなものはなく、そして刻印されているのは「PTP」。大昔の製品で「Pm」刻印があるのは何度となく見てきましたが、「PTP」ってなんだ?から始まります。もちろん想像で直ぐに「Platinum Plated」、つまりプラチナメッキを思い浮かべますが、そんな部分からも、最初見た時は本気で「オモチャじゃね?」と思いました。だって、とっても大きいし、メッキだし、ギラギラしてるし。社長様が色んな器具で検査をやってましたが、ダイアモンドであると認定した瞬間「え???」と驚きです。とはいえダイアモンドと認識しても、台座から外さないとカラット計も使えないので正確な見積は不可能でした。そして数日後、再度来店されたお客様より、台座から外しての見積もり依頼があり、改めて見積もりをして譲って頂くという流れになります。

実際の大きさはこんな感じ。ダイアモンドの大きさ規模感は定規じゃ伝わりづらいけど、直径が1.1センチ位あります。

ソーティング結果は想定内で本当にひと安心。ダイアモンドソーティング結果事前にカラット計で6カラットアップと認識してますが、この「.094」(0.0188グラム)がとても大切な数値なんだよな。そんでクラリティが「VS」に残るか「SI」になるかの瀬戸際だとは思ってたけど、VSとでてくれて安堵します。ダイアモンドは4Cの掛け算みたいなものなので、とても大きな違いになるのよね。

大きなダイアモンドなので光を当てるとビカビカ光ります。ダイアモンドのファイアーカットが悪くてもこれだけファイア~~してくれれば綺麗です。ただやはりオモチャに見えるのは、私の目が節穴だからに違いない・・・。このダイアモンドを宝石としてどう使うかなど、庶民思考の私には想像もでません。

私の不細工な指の先端と大きさ比較をしながら、一般的な結婚指輪に使用される事の多い0.3カラットのダイアモンドと並べてみる。0.3カラットと6カラットのダイアモンドを並べた写真やはりどこから見てもオモチャにしか見えない・・・。初見でそう思ってしまったからそのイメージが抜けないのと、私の目は節穴だからです。昔の駄菓子屋さんで、こういうの売ってた気がしません?。

そしてPTPと刻印された台座も科学的に解明してみた。試金石と硝酸のテスト結果ではプラチナが入っている事はほぼ確実で、比重は85%プラチナと近似値の数値でした。X線検査の結果最後の極めつけはX線分析!!。結果は画像の通りで88%がプラチナで10%位がパラジウム。PTP刻印で「Platinum Plated」を想像するのは普通だと思いたいけど、「台座がメッキ」という間違った認識が怪しい思考を増幅させていたのも事実であり、何も調べずに勝手なイメージを持つ事は避けるべきですね。

しかし本気で思うのは、初見で感じた「オモチャ?」という認識で、何の検査もしなかったらどうなってたんだろうね(汗)。というか、そういった事が実際にあったのも想像され、その結果としてウチに売ってくれた可能性もありそうです。一つ一つの品物をしっかりと見ていかないと、と改めて感じる出来事でした。一応付け加えますが、話の流れで「オモチャ」を連発してるけど、ダイアモンド特有のインクルージョンはすぐに見つかる大きさ(SI1よりのVS2)だったので、「ダイアかどうか」で悩むのではなく、最後まで苦しむのは「合成か天然か」の決断でした。その判断は現状、人間の目では一切判別不能なところで、機械判断という悲しい現実があります。それにも関わらず、金額が大きすぎるという理由はあるにせよ、「この機械(GIA iD100の事)・・・間違ってないよね?」って何度も繰り返し検査してたりして・・・。それに、機械なかったら手が出せない案件のような気もしており、道具ってマジ大切だなって実感します。そして一つの重大な事実ではありますが、専門機材の査定結果に不安を覚える私自身こそが、世界最強のポンコツで節穴なのだと自覚してます(←アホのビビりですから・・・)。

本日は以上でございます。





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