質屋のスタッフブログ
2021年02月25日
鴫原質店の弟さんです。
今回はちょっとした悪あがきのお話です。目の前にシチズンのエコドライブXC(クロスシー)という時計があります。外装に目につく大きな傷もなく綺麗なお品物です
エコドライブとは、わずかな光を電気に変えて時計を動かし、余った2次電池に蓄えるシチズン独自の技術(←メーカーHPより)。蓄電量も多いので普通に使用していたら止まることもなく、また時間の狂いもなく、そして更に軽い時計が多い。手間いらずの故障が少ない時計で私が好きな部類のお品物。きっと喜んで購入してくれる人がいるでしょう。ただこの商品には問題があり、ソーラー充電を長時間しても数秒に1回秒針が進む電池切れの症状が改善しません。よくある話ですがバッテリーの寿命です。
シチズンの腕時計は裏蓋に機種番号(キャリバーNo)が書いてあります。
この機種番号をもとに、シチズンの修理センターのホームページで修理代を調べてみたところこんな感じ。
1万7千円か‥‥‥、この値段が高いとは思いませんが往復の送料や税金を考えると2万円超えます。その値段を原価に上乗せしてこの商品が売れるかどうか、なんだか微妙だな。
ヤフオク!でクロスシーの落札値段を調べると数千円(涙)。もちろん外側が傷だらけなので安いのですが、この商品を修理したところで果たしていくらで売れるのか。それ以前に2万5千円以上で買ってくれる人がいるかを考えます。ちなみに、修理代を考えるとこの2万5千円が原価となり、ネットでの販売手数料などを考えると2万8千円で売れてトントンです。
私の中でこの値段はあまり現実的でないので、自分で何とかしようと試みます。
裏蓋を外すと案外普通の構造です。
問題はコレ!
充電可能な二次電池(バッテリー)。話は単純でこれを交換すればいいだけの話です。
UT621と刻印されたこの蓄電池の裏面には、専用端子がついており同じものを探す必要があります。
因みにバッテリーを外すとこんな感じになっており、溝に専用端子を差し込む構造になっております。
そして問題のバッテリーを探してみます。調べてみると日本の企業であるFKD株式会社さんが製造した製品のようですが一般小売はされていないとのこと。2000年中盤には三洋電機でも製造されていたという記事もネットで見ましたが、いずれにせよ手に入れられるかどうか。とあるホームページでシチズン純正部品925―7701という名前の部品という事が判明するも、1時間位色々探しても販売しているところを見つけられませんでした(涙)。
ということで、とても残念ですが小売りを諦めます。2次流通の市場でセイコーやシチズンの優秀な電波ソーラー時計が安く買える理由がこれなのかも。部品がないので自己修理が難しく、更には修理代が商品の2次流通価格よりも高い状態。また、部品の供給が終わればメーカーでも修理できなくなるものもあるようでした。技術者であればバッテリーに着けられた端子を、別バッテリーに溶接して利用することも可能でしょうが、同じ規格のバッテリーがあればの話。それ以前に、私にはそこまでの技術がありません。
ということで、動いていない又は動作不良のソーラー時計を買取するときは、それ相応のリスクをちゃんと考えて見積しましょう!。シチズンの純正部品でも、インターネット上で購入が可能なものも多く、事前に調べるというのも一つの手かな。ということで残念ではありますが、今回は損切決定でジャンク品として処分して終わりにします。部品あればいいのにな‥‥‥(哀)。
本日は以上でございます。
2021年02月19日
おはようございます。鴫原質店の弟さんです。
先週の買取品にこのような指輪がありました。
石も入っていないデザインリングですが、何やら見慣れぬ刻印があります。
この刻印から分かる事は「ジュエリーマキさんの商品」で「18金」で造られている事。そしてP.T.D‥‥‥って何だ???。インターネットでググってみると、所説あるようですが、そもそも所説ある時点で情報として不信感があります。
興味と後学の為にプラチナの品位を調べてみる事に。
先ずは破壊します。だた行動あるのみ。
バッチリと刻印がある部分を使って比重を計ってみます。
大気中での重さが「0.78グラム」、水中での重さが「0.73グラム」という画像ですが、実は水中の重さが安定せず「0.72」と「0.73」を彷徨います。
何度も書いておりますが比重は(大気中での重さ)÷(大気中での重さ-水中での重さ)で判明します。
これに当てはめて、両方の重さで比重を計算します。
比重=(0.78)÷(0.78-0.73)=15.6(←60%位がプラチナ?)
比重=(0.78)÷(0.78-0.72)=13.0(←45%位がプラチナ?)
ダメだ‥‥分母も分子も小さすぎて数値があてにならない。
重量を増やす為に指輪をさらに破壊します。
資源の採掘みたいで楽しかったりします(笑)。
そして重量を増やして再度比重を計算。
比重=(1.71)÷(1.71-1.59)=14.25(50%位がプラチナ?)
実験的にやってみましたが品位は推測の域をでませんね。重量が絶対的に少なすぎて無理です(開き直り!)。しかしながら、この数値だけを見るとPTD刻印は「半分くらいがプラチナ」という認識で問題無さそうな気がします。でもどうなんだろ?、比重だけではあてにならないのか?。そもそも本当にプラチナが入っていたらの話ですよね。「そもそもこれがプラチナなのか」と疑う事を忘れてました…‥‥(←色的にプラチナに間違いないと思いますけど一応ね)。
なのでついでに硝酸テストも試してみます。
画像のように3カ所の部分を試金石にガシガシと擦りつけました。そして硝酸投入。
左側だけ極端に薄くなりましたがどの部分も一応痕跡が残ります。部分的に品位が少ないとかはありそうな感じですね。プラチナは硝酸に溶けないという科学的根拠により、PDT刻印はプラチナが入っているということが分かりました(パラジウムかもしれないけど‥‥)。そして品位についても大方の想像がついたので実験を終了します。
長々と書いておりますが、この実験って2分位で終わります(笑)。でも記事化するのは、写真撮ったり加工したり文章書いたりで多分2時間以上かかりました(汗)。そのうち社長さんから「真面目に仕事しろよ~~」と言われますね。でも、P.T.D刻印はプラチナ40~50%を想定して買取すれば大丈夫という事が分かったので、とても重大な仕事をしたのではないでしょうか!。
そしてこの件を地金屋さんにしっかりと確認しました。取り扱いはインゴッドの値段の45%、実質プラチナ50%で扱うということです。実験の推測通りです!。「最初から聞けばいいのでは?」とか思う方がいると思いますが、自分で解決する努力が大事だと私は思います。
最後に、取り扱い品位については地金屋さんによって変わる可能性があるので、取引先への事前確認をお勧めします。また店舗の運営方針なども異なるので、鴫原質店はP.T.D刻印をPt500で扱うだけで、このことが一般論ではないことをご承知下さい。扱わないという対応もあるかもしれませんしね。
本日は以上でございます。
2021年02月17日
鴫原質店の弟さんです。
今日は小さな質屋(当店の事)のちょっとした裏事情。これは2月12日の金曜日の出来事でした。
お店の開店は10時からですが、若手スタッフM君が9時半頃より通信販売の売上チェックをしておりました。「大変だ~」と唸るM君。今日は何故か知りませんが通販でいつもより多くの発注があったようです。そして午前中の早い時間から梱包作業が始まります。
それだけをやっている訳ではないので、最終的に終わったのは15時位。
皆さんお疲れ様でした。
数時間も梱包作業をするのは本当に大変だよね。
最終チェックをしていると以前ご紹介したギター(詳しくはこちら)の大きさが規定より大きい事にM君が気が付きます。
梱包した段ボールを再度開封し、色々な調整の上で既定の大きさまで減らしておりました。繰り返しますが本当に大変な作業です。
終わった後の喜びのダンス?。
仕事後の運動?。梱包用紙を振り回しております。単調な肉体労働にも見えますが、実はかなりきめ細やかな作業だよね。とにかく最後までお疲れ様です。
この業界の方であれば、「この量でそんなに大変なの?」と思う方もいると思います。でもね、町の小さな質屋の当店なんてこんなもんです。1日にこんなに注文が入る事などめったにありません。それにそもそも人数が少ないので、多すぎると大変なんです(笑)。
どこの会社も同じだと思いますが、店舗での売上と通信販売の売上比率が以前と比較すると大きく変わり、通販での売上がどんどん伸びております。それに伴い、仕事内容も随分変わってきました。私の場合だと清掃全般(ジュエリーや時計の磨きやバッグ掃除確認)、写真撮影および画像加工を一日中やっており、電話対応やお客様が来ない限りはエンドレスでコンピューターと睨めっこ(哀)。閉店間際は手が吊りそうな時も多いです(もう歳か)。数年前は一日中店頭で接客やら会計やらしていた日もあったのが懐かしい。個人的には人の繋がりがあった昔の方が好きですね。
スタッフにより仕事内容は違いますが、会社にいる時間は全員がコツコツと地道な作業をひたすら繰り返します。売っているものは華やかかもしれませんが、仕事内容は毎日がとても地味。ただ、それらに費やした作業の分、売上が付いてくるので時間効率も労働時間も大切です。
通信販売に関する規制などが新しくできない限り、この傾向は今後も続いくのでしょう。世の中の流れに合わせて、ただ頑張るしかなさそうです。
本日は以上でございます。