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1996年発売 スケルトンキャリバー6899A

鴫原質店の弟さんです。

何となく「いいな~コレ」と思った時計がありましたので取り上げます。金色の懐中時計それがこちらの手巻き式懐中時計。今では生活必需品となった携帯電話の普及により、時計本来の役割だった「時間を確認するモノ」という位置づけは既に過去のものとなりつつあります。代わりの役割として「ステータス」や「携帯電話の延長」又は「ファッションの一部」としてなど、様々な用途で使われている時計達ですが、最近見なくなったな~~と思うのがこれら懐中時計。ポケットウォッチとも呼ばれますが、ファッション的にもステータス的にも「なんかいいな~」と思っております。

オールスケルトンで機械式時計のほぼ全てのパーツが鑑賞できる点は時計好きの心を串刺しにしそう。金色の懐中時計の表裏の画像表裏に小さくひっそりと刻まれた「CREDOR」という文字には好感が持てます。どこの時計か一見では分からないこの奥ゆかしさに加え、この時計が放つ独特のオーラが高級感を漂わせており、流石にクレドールという感じかな。静止画像では伝わりませんが、動き続けるムーブメントには魅入ってしまいます。

搭載されたムーブメントについて調べる為、「6899A 公式」とグーグル先生に尋ねるとセイコーの公式ホームページ(こちら)にその歴史やムーブメントに関する説明がありました。セイコー公式ページのスクリーンショットこのモデルの原点であるムーブメントの開発が始まったのは1969年の事。厚みが1.98ミリの薄さに加え美しさや実用性を備えたムーブメントが開発され製品化されていくなかで、前も書いた事のあるクォーツショック(こちら参照)に見舞われ、70年代後半には製造が中止されたそうです。時を経て、市場環境の変化や開発者の方々の熱意から1990年代に開発が再開されました。そして量産としては日本初のスケルトンキャリバー6899が完成し、1996年に発表された初代モデルに搭載されたとの事。この時計の歴史を知ることで、私には益々素敵に見えてくるから不思議だね。※この画面はセイコー公式ページのスクリーンショットを掲載しました。公式ページも是非ご覧ください!。

公式ページに説明書きがありましたが、細かく刻まれた模様は手彫りとか。彫金さられ菊模様(以下 公式ページから引用)
総厚1.98mmのキャリバー6899の最薄の部品の厚みは0.25mmしかなく、強い力を加えると突き抜けてしまいます。そこに0.15mmの深さの範囲で彫金を施すためには、彫りの技術だけでなく、長年訓練した指先の感覚が必要です。まさに熟練の彫刻師のみがなしえる工程といえます。
(ここまで)
もの凄い事をやっていそうなのは理解しますが、その凄さの程度のイメージが湧きません。0.15ミリの彫金って神業レベル?、しかも金を手で彫るわけですからとにかく凄い事なのでしょう。公式ページでは実際に刻金する道具なども紹介されていたので、ご興味がある方は是非ご覧ください。

静止画(画像)で伝わらないのが本当に残念な部分。歯車の拡大画像時を刻む(針を進める)為にこんなにも色んな子達が元気いっぱい頑張ってるんです!。皆がんばれ~~って応援したくなるわ。

ルーペで観察すると少し痛々しい部分もチラホラと。パーツについた傷分解清掃(オーバーホール)は時計の機能を維持する為に欠かせないのは事実ですが、必ずしも無傷で終わるものではありません。ネジを回せば100%の形状維持は不可能に近い事だし、金属と金属がぶつかれば傷はついてしまいます。そういう背景も考えると、観賞用に適したこのような時計には、定期的なオーバーホールなど不要にさえ「私は」思います。秒針がついてないから1日に数分遅れたって何の影響もないし、そもそも毎日使うものでもない上に数日で止まってしまうから、精度を求めても意味はありません。時計の機能的にどうしてもメンテナンスが必要になったら、心を鬼にして子供の背中を押すように、メーカー様(セイコー)に連れていきましょう。時計の事を本気で思うなら、無傷での帰還を祈りながらも、セイコー様を信頼するのが一番よい選択だと私は思います。

今回取り上げたこの懐中時計ですが、「欲しいな~」などと思っては見たもの、高すぎて私には軽々しく出せる金額ではなく諦めました(さよなら・・・)。18金で造られた時計(チェーンも18金)なので、金価格暴騰の影響をモロに受けているようです。とはいえ、最近のクレドールの販売価格を見ると超高級化が進んでいるので、それと比べるととても安いような気もするんだけどね。もう少し大人になったら(←おっさんが何言ってる?)買うチャンスがあればいいな~など切なく思います。(※尚、この時計は既に売却済みでございます。)

本日は以上でございます。

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