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PTP刻印ダイアモンドリングの査定と機材の大切さ

鴫原質店の弟さんです。

今回は少し前にお店で買取させて頂いたダイアモンドリングについて。石が台座から外れた指輪色々検査をした後なのでリングからは外れてますが、最初は指輪の状態での査定希望があり、もしダイアモンドの重さ(カラット数)が「この位だったらこんくらいの金額になる」という大体の概算金額を口頭でお伝えしました。普通なら見積書をお渡しするのですが、お客様が「大体の目安でいい」とおっしゃる事と、このままでは値段のつけようもなかったというのも理由の一つです。

正確な値段が付けれらない理由はダイアモンドの重さが分からないから。指輪の台座の詳細部分大体の品物は金属部分に石目の刻印がありますが、そのようなものはなく、そして刻印されているのは「PTP」。大昔の製品で「Pm」刻印があるのは何度となく見てきましたが、「PTP」ってなんだ?から始まります。もちろん想像で直ぐに「Platinum Plated」、つまりプラチナメッキを思い浮かべますが、そんな部分からも、最初見た時は本気で「オモチャじゃね?」と思いました。だって、とっても大きいし、メッキだし、ギラギラしてるし。社長様が色んな器具で検査をやってましたが、ダイアモンドであると認定した瞬間「え???」と驚きです。とはいえダイアモンドと認識しても、台座から外さないとカラット計も使えないので正確な見積は不可能でした。そして数日後、再度来店されたお客様より、台座から外しての見積もり依頼があり、改めて見積もりをして譲って頂くという流れになります。

実際の大きさはこんな感じ。ダイアモンドの大きさ規模感は定規じゃ伝わりづらいけど、直径が1.1センチ位あります。

ソーティング結果は想定内で本当にひと安心。ダイアモンドソーティング結果事前にカラット計で6カラットアップと認識してますが、この「.094」(0.0188グラム)がとても大切な数値なんだよな。そんでクラリティが「VS」に残るか「SI」になるかの瀬戸際だとは思ってたけど、VSとでてくれて安堵します。ダイアモンドは4Cの掛け算みたいなものなので、とても大きな違いになるのよね。

大きなダイアモンドなので光を当てるとビカビカ光ります。ダイアモンドのファイアーカットが悪くてもこれだけファイア~~してくれれば綺麗です。ただやはりオモチャに見えるのは、私の目が節穴だからに違いない・・・。このダイアモンドを宝石としてどう使うかなど、庶民思考の私には想像もでません。

私の不細工な指の先端と大きさ比較をしながら、一般的な結婚指輪に使用される事の多い0.3カラットのダイアモンドと並べてみる。0.3カラットと6カラットのダイアモンドを並べた写真やはりどこから見てもオモチャにしか見えない・・・。初見でそう思ってしまったからそのイメージが抜けないのと、私の目は節穴だからです。昔の駄菓子屋さんで、こういうの売ってた気がしません?。

そしてPTPと刻印された台座も科学的に解明してみた。試金石と硝酸のテスト結果ではプラチナが入っている事はほぼ確実で、比重は85%プラチナと近似値の数値でした。X線検査の結果最後の極めつけはX線分析!!。結果は画像の通りで88%がプラチナで10%位がパラジウム。PTP刻印で「Platinum Plated」を想像するのは普通だと思いたいけど、「台座がメッキ」という間違った認識が怪しい思考を増幅させていたのも事実であり、何も調べずに勝手なイメージを持つ事は避けるべきですね。

しかし本気で思うのは、初見で感じた「オモチャ?」という認識で、何の検査もしなかったらどうなってたんだろうね(汗)。というか、そういった事が実際にあったのも想像され、その結果としてウチに売ってくれた可能性もありそうです。一つ一つの品物をしっかりと見ていかないと、と改めて感じる出来事でした。一応付け加えますが、話の流れで「オモチャ」を連発してるけど、ダイアモンド特有のインクルージョンはすぐに見つかる大きさ(SI1よりのVS2)だったので、「ダイアかどうか」で悩むのではなく、最後まで苦しむのは「合成か天然か」の決断でした。その判断は現状、人間の目では一切判別不能なところで、機械判断という悲しい現実があります。それにも関わらず、金額が大きすぎるという理由はあるにせよ、「この機械(GIA iD100の事)・・・間違ってないよね?」って何度も繰り返し検査してたりして・・・。それに、機械なかったら手が出せない案件のような気もしており、道具ってマジ大切だなって実感します。そして一つの重大な事実ではありますが、専門機材の査定結果に不安を覚える私自身こそが、世界最強のポンコツで節穴なのだと自覚してます(←アホのビビりですから・・・)。

本日は以上でございます。

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