2022年06月17日
鴫原質店の弟さんです。
お店の買取品の中でユニークなお品物があったので簡単に紹介させて頂きます。それは多摩センターオープン記念「24金ペンタくんメダル」専用ケース付き!です。
メダルの拡大画像がこちら。とある会社の記念品のようですが、注目すべきは赤丸のところ。なんとあの田中貴金属の製作物でした。
裏面(表面?)のデザインはこんな感じ。ペンタくんのお顔が丁寧に描かれてます。(※)現存するキャラクターですが、キャラクター名以外、詳細情報の記載は避けさせて頂きます。
今回注目したいのは田中貴金属の製品である「☆にS」の刻印がある事です。付属品にこんな紙も入っていましたが、約20年前の販促物でしょうか?。クジャクのようなデザインが愛らしく、とても親しみやすいイメージを感じます。田中貴金属さまは今も昔も日本を代表する貴金属会社で、銀座本店の住所も電話番号も20年前から変わってない事が分かりました。本当の老舗企業様です。
そして大した詳細事情も書かないのに、このメダルを取り上げようと思ったのはこちらの用紙を見たから!。なんと!「純金ペンタくんメダル」で田中貴金属でお買い物が出来るという事。普段であれば金を売って現金にして、そのお金で買い物をするという流れが一般的ですが、この24金のメダルがそのまま田中貴金属の製品の支払いに利用できるという発想がとっても面白い。等価交換という文字がしっかり入ってるので、このメダルは通常ではありえない待遇を、あの田中貴金属さんから与えられた珍しい一品のようです。私にとってはとても凄い事だと思いましたが、「だから?」とか言われそうで少し怖いかな・・・、凄い事ですよね?。
「純金ペンタくんメダル」は上記の紙にも書いてりますが70.3グラム(70g33分)で、6月14日に568,700円で買取させて頂きました(※グラム単価8,326円)。普通に見積しただけだったのですが、お客様は金額に驚いていたようです。話を聞くところによると「貰った」とか「抽選で当たった」という品物だったようなので、ま~普通は驚きますかね(羨ましいな!!!)。それはさておき、私も田中貴金属さんがこのようなプロモーション用の品物を造っている事を知らなかったので、いい勉強になった機会です。
尚、このメダルは販売する事など考えず昨日(6月16日)溶かしてしまいました。ごめんねペンタくん(哀)。地金価格が2.9%(約249円/グラム)下がったら赤字になってしまうのだよ。そして偶然にも、運よく金価格が2日間で数十円上昇して、売買金額は595,511円の純益26,811円(粗利率4.7%)となりました。もう少し余裕があれば「ペンタ君」も販売努力をしたかもしれないけど、金売買の粗利は本当にカツカツです。でも14日は金価格が急上昇した日で、その反動の調整で損(赤字)になる事も想定していたので、プラスになって良かったかな!。最近こんなのばっかりだ。ま~頑張るしかない!。
本日は以上でございます。
2022年06月14日
鴫原質店の弟さんです。
大体いつもどうでもいい事を書いていますが、今回は修学旅行に行ってきた息子さまのお土産についてのお話です。修学旅行の行き先が、私の子供の頃と殆ど変わらず同じような場所にいくという事で、事前に「お土産」について「これだけはダメね~」とお願いしていたものがありました。恐らく今でもそれは、幼少期の男子であれば多くの者が意味不明に憧れを抱き、そして何故か手にしてしまう魔のアイテム「木刀」というお品物!。購入後から振り回し、相手がいればチャンバラを初めてしまい、そして大人に頭ごなしに注意され、捨てる時にとっても大変な「昔懐かしの要注意アイテム」ではないでしょうか?。もちろん地域の名産品(〇〇刀など)として販売していますが、そんな感じの説明を息子さまにお話しし「木刀は危ないからやめてね~」とお願いしておりました。(※私の幼少期の思い出からくる勝手な思い込みかもしれません)。
そして数日前、仕事を終えて家に帰ると修学旅行から無事に帰還した息子様が、何だか偉そうにお土産をテーブルの上に広げてます。全部「お菓子」ですか・・・・・・。とても現実主義の考え方で、ある意味で頼もしいのかも。
品物を具体的に見てみると、この2つは何となくお土産として理解が可能です。(※行き先は学校関連の話なので明記しませんが、品物から特定できるかもしれませんね。)でも「薄皮饅頭」は郡山市の名産品!だったような?。(※)亡き祖母と母が好きだった福島名物「薄皮饅頭」の柏谷さんの公式URLは「こちら」です。尚、仙台駅に隣接するエスパルにも柏谷さんがあり、その気になれば15分で買いに行くことが可能です。
そして「赤べこクッキー」はお土産として成立している。けど「ままどおる」は近所のスーパーで売ってないか?。近くの生協でも売ってそうな気がする。
そして最後に極めつけ・・・・(―_ー:)。「あなた様はどちらに行ってきたのですか?」と伺いたくなります。なんだか良く分からないけど、個人的にこれは面白かった!。(※後から確認しましたが、その日に別の方に貰ったものでした!)
子供の思考的には「無駄にならない有意義な品物」という発想だと思いますが、お小遣いの全てが「お菓子」になる事は想像もできませんでした。思い出の記念品を買うとか、お金を少し残すとか、そういう発想はないらしい。そしてまた、その「チョイス」にも笑ってしまいますが、ある意味で食べたい物を買ってきたのでしょう。修学旅行とは関係しませんが、お土産に関しての価値観も時代に応じて変化している事を実感した出来事です。住んでる場所に関わらず、通信販売や分店などから地域の特産品を買える時代になり、こういうお土産品のありがたみも少し薄れてきた感じがしてなりません。良い点と悪い点を差っ引いても、地域経済にとっては良い事の方が多いのは分かりますが、昔のような「お土産の特別感」が薄れてきたことに、少し寂しさを覚えてしまいます。もちろんお土産には渡す相手への「心遣い」という善意が込められていますが、息子さんのチョイスには「善意のかけら」さえ感じる事ができません。なぜならば、私は甘いものを一切食べない人間なので、私宛のお土産でない事は確かだと思えます。私宛にビールグラスでも買ってこれば「いい子いい子」してあげても良かったのにね(笑)。
本日は以上でございます。
2022年06月11日
鴫原質店の弟さんです。
今回はお店で買取させて頂いた品物でいい感じの時計があったのでご紹介させて頂きます。それはグランドセイコーの「4520-8000」(茶色ベルト)と「6145-8000」(青色ベルト)の2点。セイコーの型番に関して簡単に触れると、「ハイフン」の前が搭載ムーブメントを表しており、キャリバー「6145」は1968年に造られ国内で初搭載された自動巻き10振動ムーブメント。そしてキャリバー「4520」はそれに続いて発売された10振動の手巻きムーブメントです。
「10振動って何よ?」と思う方もいると思うので補足すると、時計の心臓部であるテンプ(振り子のような部品)が1秒間に5往復(10振動)する事を意味し、1時間になんと36,000回も振動する、とても忙しそうで働き者の構造をしている心臓(ムーブメント)の事です。現在の機械式ムーブメントは28,800(8振動)が主流で、それを超えるものはハイビートと一般的に呼ばれています。良い面としては「安定的に高い精度を出し易い」、悪い面としては「部品の消耗や油切れが早い」というところかな。時計に愛を感じる方の中には、全力で動き続けるハイビートの音が好きな方も多いのではないでしょうか。
それでは「4520-8000」の方から見てみます。GS文字の下に刻まれた「HIーBEAT」の文字が特徴的かな。私よりも年寄りな時計に全く見えず、グランドセイコーのデザインがどれだけ先進的だったか思い知らされます。
裏蓋はこんな感じ。シリアル番号の最初の一文字は西暦の一桁を表しており「〇〇〇8年」に造られた事を意味し、ムーブメントの製造時期から推測すると1968年に製造された時計だと分かります。そしてシリアルのその次の文字は製造月を表しており、9月に製造された子だと判明します。つまりこの子は今年の8月で54歳になるんですね。ハピバ~(笑)。
そんなにお年を召されていても今時の若者達と見た目はあまり変わりません。時計の裏の金色GSメダルや「SEIKO」ロゴが大きく違う点かな。この部分を見れば「おっちゃんか!?」って判明する分かり易い特徴かもしれません。
折角なので裏蓋を開けてムーブメントを拝見させて頂きましょう。搭載されている25石ムーブメント「Cal.4520」は、当時のクロノメーター規格よりも、精度を更に追及して製造されたという話も有名で、それは「グランドセイコー規格」と呼ばれているようです。機械式時計の精度はこの時すでに完成に域にあったのかもしれません。ムーブメントには個体ナンバーが記されていて、当時の最高級品の一つであったことが想像できますね。なんか夢があるお話です。
ムーブメントのあちこちに傷があるのが少し痛々しいけど、これも今まで頑張ってきた証かな。54年の間に何度(そしてまた何人に)この姿を見せたのか分かりませんが、ネジを外せばネジの頭が歪みますし、ピンセットで摘まめばその部分に傷がついていきます。オーバーホールは時計にとって大切なメンテナンスである一方で、こういう小さな傷が増えてしまう可能性が必ずあるという事を、多くの方は知る由もないのが現実です。傷など付けずに組み終えるのは理想ですが、ドライバーが滑るだけで傷は刻んでしまうもので、無傷で終わるって本当に難しい事だと思います。そして、そんな傷の一つ一つもこの時計が生きてきた証だと感じてしまいます。
最後にウォッチエキスパート2君に心音を計測して頂きます。「日差」や「振り角」などを見ると調子はいまいちで、要するに整備が必要な状態。左上の「+20」は1日20秒進む事を意味しますが、ハイビートのムーブメントなら±5秒以内の調整も可能だし、そもそもにして「振り角」が少なく、ま~油切れやらゼンマイが下手ってるなどが考えられる状態ですかね。時計内部の状態を見る為に「カチカチカチ」という音をスピーカーで聞いていましたが、私の背後で仕事をしていた社長さまが「それハイビートなの?」と反応しました。一心不乱に動き続けるハイビートの心音は本当に快適で特徴的です。
次は「6145-8000」をご紹介。前期モデルと後期モデルがあり、GSの文字の下に「HI-BEAT」と書かれたこの子は後期モデル。その部分に「GRAND SEIKO」と表記されているのが前期モデルになり、前期モデルの製造期間は僅か数カ月で個体数はとても少ないようです。シリアルから読み取れる情報として、この子は1969年8月生まれの53歳という事。やっぱりもうすぐハピバ~ですね。
国内で最初に搭載された自動巻き10振動ムーブメント「6145」を拝見しようとしたところ・・・。完全固着して裏蓋が回りませんでした。アンティークあるあるってやつです。このような場合、専用薬液をピチピチと垂らしながら地道に開ける努力をする他ありませんが、当店にそのような設備が無いので、今回は諦める事にしました。本当に残念です(涙)。
この腕時計達が製造されていたまさにその1969年、セイコーは世界初のクオーツ(電池)式腕時計を発売しました。電池式時計の小型化に成功し、腕時計の世界常識を塗り替えてしまいます。それによりクオーツ機構は世界中に広がり、誰もが手に入れる事ができる手ごろな価格で、正確な時を刻む腕時計が手に入れられるようになっていきます。時計の歴史の中で「クオーツショック」と呼ばれる程大きな出来事であり、それにより機械式時計のメーカーに大きな打撃を与えることになっていきます。もちろんその中にはグランドセイコーも含まれておりました。※グランドセイコーのホームページ(こちら)から一部引用しており、ストーリー3の部分で書いてある出来事です。
このような歴史などと見合わせても、今回紹介した2つの機械時計は大きな転換期に製造された貴重な時計であり、現在の時計技術は半世紀も前に確立されていたものだと分かります。現代における腕時計の大型化や超高級化と、機械時計の衰退と復興の物語は、腕時計に求めるニーズの変化による影響のような気もしており、とても興味深い事に思えます。正確に「時」を刻む為に四苦八苦しながら発達してきた技術が、クォーツ時計の登場により存在意義そのものを失い、機械式腕時計に新たな価値を与える必要があったのかもしれません。そもそもにして、腕時計って何の為に使うのだろう・・・、そんなことを考えさせられてしまいます。
本日は以上でございます。