質屋のスタッフブログ
2025年07月12日
鴫原質店の弟さんです。
先日、道具屋さんが定期営業でご来店され「新しいダイアモンドテスターがでました~~」と社長様とお話してました。少し小さ目なその機材を見ましたが、うちのお店はフル装備なので、必要性を一ミリも感じません(笑)。もちろん道具好きの社長様でさえ購入をお見送りです。
合成ダイアモンドを簡易的に判別する軽量機具でしたが、私の気を引いたのは実験台のこの子。
化学気相成長法や化学蒸着法などと呼ばれてる、気体状態で積層させてダイアモンドを合成する科学的手法で、人工的に造り出されたCVDダイアモンドだね。GIAのページに製造方法の解説があるので興味がある方は「こちら」をご確認下さい。
許可を貰って撮影してみた。
正体が分かってるから何にも面白くないし、味気なくつまらんね。CVDだと分かってみてると、見どころなんて1ミクロンさえないな(汗)。とはいえ、カットを良くすれば最高に光る石になるのは確かで、今後のこの子の価値がどうなるかは引き続き観察中です。っていうか、手の脂でべたべたの状態で撮影してしまった事への罪悪感があるけど、ホントは綺麗なんだよ(笑)。
営業さんがサンプルとして保有してた「モアサナイト」に出会ったのが結構うれしかったりして。
すげ~暫くぶりに見た!。こっちもばっち~~ね(汗)。
ダイアモンドの類似石として毛嫌いする人も多いこの子は、実はとっても美しい。
光の角度を変えるだけで様々な色(7色!)を見せてくれ、特徴ともいえる燃えるようなファイヤ~~~!は写真で伝わらないのが残念です。人工的に造られた化合物であるものの、見てて楽しいから個人的には好きなんですよね。このオモチャみたいな輝きが何となく可愛げです。
すげ~~暫くぶりにダブリングも鑑賞。
赤丸の底部(キューレット)を青丸あたりから覗き込むと、酔っ払いそうな風景が見えます。これはこれで、万華鏡みたいで好きだったりする。見れば分かるのもモアサナイトの特徴でもあるから、逆に親密感が沸くわ。
話は変わって2日前、電話で「3カラットのダイアモンド買取れますか?」と不思議なイントネーションの日本語で問い合わせがあり、その後すぐに外国人様2名の来店があり「3カラットの類似石」を見せられました。【18K刻印】の土台にギラギラ光る3カラットの透明石でしたが、状況的にルーペで見るまでもなく、ダイアモンド検査機「GIA ID100」君へ判別を依頼すると「りふぁ~~~~(※こりゃ~~天然じゃね~ゼヨ!)」との事。説明責任もあるので、18Kの土台部分もX線分析機を使って検査してみると、そっちは78%が金(ゴールド)とでたので、判定結果を写真に撮ってお見せしました。機械の写真を見せた瞬間、来店者の外国人様が二人でにこやかに笑みを浮かべ見つめ合ったのを見るに、「ここ騙せないね」と悟ってくれたみたいです。
ラボグロウンダイアモンド(※人口ダイア)を販売する店舗が増え始める前から、事前に予習して勉強して覚えて、凄く高価な機材も揃えた(←社長が)けど、持込がさっぱり増えないから「出番少ない機械やな~」など思ってたけど、いざこういう機会がくると頼もしいものです。X線検査機も導入当初は抵抗感があったものの、「K18」としっかり刻印された指輪やブレスレットがたまに持ち込まれる怪しい時代においては、「便利やな~~」と重宝するようになりました。もちろん、これだけに頼らず色んな視点で見る事も大事だけどね。ご来店された外国人様は「時間あるからしっかり見てね」と優しく言ってくれましたが、その瞬間の私の返答は「すぐ済みますからお待ちください」という言葉。3カラットの透明石がセットされた18K刻印の指輪の判定時間は、全て機械任せで約120秒。見積価格は指輪の金枠のみなので、取引が成立する理由も見当たらず、サクッとお帰りになられました。
実のとこ私個人としては、クレサンベールもラボダイアにも抵抗感が一切なく、もし市場がそれを認識して取引されるようになれば、人口石といえど普通に扱うだけなのだが、それはお客様(マーケット)が決める事でもあります。中古のラボダイアを欲しい人がいればお店で買取ってもいいけれど、例えば今回の3カラットの石を「3万円です」といったところで、売ってもらえる気がしない・・・。日本でもEDP(株式会社イーディーピー)が宝石用のCVD結晶を製造してるけど、15ミリ×15ミリまで対応してると会社IRに書いてあります。ブリリアントカットで10カラット位のものが造れるわけで、原価は宝石結晶の値段でカット代金がいくらで・・・みたいな計算をすれば、中古の扱い値段とかだせるのかしら?。変な話だけど、10カラットのラウンドブリリアントカットのラボダイアをネックレスにセットしたとして、ウルトラマンのカラータイマーよりも光り輝きそうで興味深いけど、それを欲がる人がどの位いるのか思考するのも楽しいかも(汗)。ま~~そもそも中古の需要があるかないかがさっぱり分かんないし、それ以前にラボダイアが売れてるのかどうかも私は知らないので、今後の流れを引き続き「ぼけ~~~~」っと観察し続けていこう!。そんで、天然とかラボとか、そういうこだわり以前に、ジュエリー業界が発展し、流行してくれるような状況になればいいな~と思ってます。
本日は以上でございます。
2025年07月07日
鴫原質店の弟さんです。
お店で買取りさせて頂いたアクセサリーに、無意味な私の好奇心が引きつけられました。
思考回路が少し怪しい人間である私は、その品物から感じた何かで一人で勝手に空想劇を繰り広げる妄想癖があり、くだらない話ばかりですが思った事を取り上げたいと思います。
こちらがそのお品物で、箱に書かれてるのは「LANVIN」(ランバン)という文字。
ご年配の方なら馴染み深い名前かね?。PARISとの記載がある通り、フランスのファッションブランドです。
お「フランス」ぅ~を感じるエレガントなデザインだ。
「モノの価値=売った場合の金額」という概念が現代の市場心理にある中で、「すぐ売れる=剥離で扱える」とか「全く売れる気がしない=必然的に粗利率が高くなる」という資本主義市場における原理を垣間見ても、売主と買主の両方にとって、この中古アクセサリーに「今時における価値感」は無さそうです。「一生物」と過去に呼ばれてた伝統工芸品などの高額品達は、そんな市場心理により、その存続価値が薄れ続けてるのも一つの事実であり、少し悲しい現実でもあるのかな・・・。
このアクセサリーに魅かれたのは、裏側で「ひっそり」と主張してる文字とその背景について興味が湧いたから。
LNAVIN「GERMANY」(ドイツ)との刻印が、化粧箱に刻まれた「PARIS」との関係性が面白い。「イタリア製」とか「フランス製」をブランドとして認識していた時代を空想し、「フランス製のお洋服」や「イタリア製の高級家具」などが人々の興味に触れていた時代もあったようです。そんな感覚が世界の常識なのか、それとも島国特有の異国に対する憧れか、どっちなんだろう?。昭和中期の時代に実在した「日本のハワイ」→「新婚旅行は熱海へ」というフレーズを見るに、まだ見ぬ海外への憧れも強かった可能性を個人的には空想してしまいます。事実なんて知らんけどね。
そしてコレ、西ドイツ製!。
学生の頃に学んだはずの1989年の出来事の後、この言葉は日常では見る事が無くなりました。学生の頃は「つまらん!」と感じながら、テストの点数の為だけに学んだ事柄も、最近はホントに興味深く、楽しみながら歴史を見つめてます。はっきり言いきりますが「歳」なんでしょうね・・・(哀)。「に~~~しドイツが破裂した ボン!」って地理の勉強で覚えたのを思い出すわ~~。(※)当時の西ドイツの首都がボンという都市でした。
この品物をみた後、ドイツの歴史をサラリと読んでみましたが、「マルク」という2002年に廃止された貨幣に関してほんの少しだけ学びました。深堀なんてしたくない「戦争」という特殊な状況を完全に切り離しますが、困難な状況回避を目的にした計画性のない通貨発行量増加がインフレに繋がり、社会的不安の増大と政治混乱と庶民貧困化を招き、そしてインフレは隣国へと波及して、派生した社会不安から局地的な紛争へと広がっていく歴史を垣間見る事ができます。この数年間、海の向こう側でおきた出来事と、100年前の出来事との似てる部分だけを観察しても、色々な事を考えさせられました。そして、初めて知った「レンテンマルクの奇跡」という政策も興味深く、新通貨「レテンマルク」を発行して、従来の1兆マルク(旧通貨)を1レンテンマルクとして交換・・・・・したらしい。その後も政策は色々続くけど、一つの事実としては、旧通貨マルクの通貨価値をほぼゼロにしたようです。そんな時の資産防衛対策として、国の政策に影響されない不換紙幣(金・銀・プラチナ・仮想通貨等)が注目されるの理解しますが、雲の上の方々の聡明なかじ取りに期待し続けるのみですね。
お金でモノが買えなくなった国の通貨に興味を抱き、色んな事を学んだここ数年。通貨価値存続の前提などの学問的な要件が多かった気がするけど、7月3日、遠い遠い海のはるか向こうの先進国で起きた2度目のトリプル安(通貨安・株価安・債権安)は、「それだけで・・・そうなるんだ」という驚きがありました。今月は国内の今後に影響する大事な一大行事が進行中で、日本国債の金利や為替がどう動くか、自学自習を兼ねて考えてたりもします。もう既に、中長期国債の金利が上昇し始めてるの理由は恐らく・・・。そして複合要因はあるにせよ、為替は・・・どうなるんだろう?。
いつもの事ではありますが、何故にアクセサリーからこんな話になったのか・・・【謎だ】。ま~思ってる事をバチバチ~バチ~~って書いて、ちょっとだけ構成弄って、誤字脱字チェックをする程度なんで、所詮ブログって事でお許し頂ければ助かります。さて、今日は令和7年7月7日の七夕で願いが叶いそうな気もするから、世界平和をしっかり祈って終わろうかな。ど~か平和でありますように。
本日は以上でございます。
2025年07月02日
鴫原です。
更新が遅くなりました。今回はコピー品(偽造品)編です。
タイの街を歩いている人々をみるとシャネル、ヴィトン、ゴヤール、グッチ、そしてロレックス、とブランド所持率が非常に高く驚きです。
日本人もブランド品が好きですがタイの方々ははそんなものじゃなさそうです。
そしてタイの街を歩くとコピー品専門店?が至る所にあります。
*ここは以前は風俗街だったところが浄化作戦により風俗店が姿を消し、今ではコピー品街となったそうです。
露店だけではありません。
*ある大型ショッピングモールの1Fフロアの8割はコピー品専門店でした。
*露店で売っているのは出来が悪いものが多く、酷いものは5m離れていてもコピー品と分かります。
藤田さんとタイでお仕事をされ長期滞在している山本さんにお付き合い頂き、コピー品のレベルを調査することにしました。山本さんは何十年もタイでお仕事をされており、タイ語もペラペラです。
ここからは写真を撮れる状況(勇気がないだけです)ではないので文章だけとなります。
露店ではなく店舗型のコピー店に入りましたが、あまり出来はよくありません。
怖そうな店員さんにもっと出来の良いものが無いかと尋ねると、ついてこいとのこと…
『最近タイでは拉致が流行っていると聞いたけど。拉致されたりしないよな…』と恐れながらもついていくと、別の店舗に案内されました。
確かに先程の店よりは出来が良いものが並んでおりますが、当店にも頻繁に持ち込まれるコピー品レベルです。
先程の店員さんと比べると、このお店の店員さんはにこやかで話しやすそうな方です。
再度、もっと出来の良いものは無いかと尋ねました。
一瞬、店員さんの目が輝いたのを僕は見逃しませんでした。
「ついてきて」と言われるままについていくと隠し扉が開き、案内されます。
隠し扉の先には防犯カメラを写したモニター等がある事務所風のところでした。
『ここでコピー品を見せてくれるのかな?』と思っていると鏡がドアのように開き、更に奥に案内されます。
二重の隠し扉の先には階段があり、それを登っていきます。
『やっぱり監禁かも・・・』と思いながら階段を一段一段登っていくと・・・
一階の店舗の倍はある広さの部屋に沢山の品物が並んでいます。どうやら拉致ではなさそうで安心しました。
エルメス、シャネル、ルイヴィトン、ディオール、グッチ等の人気商品が所狭しと並んでいます。
先ずは一番出来の良いバーキンを見せてもらいます。
店頭で査定するように隅から隅まで見てみてもかなり出来は良く、熱心にコピー品の勉強をしていない人なら本物と思うレベルです。
ただ、私が今までみてきたコピー品の中でかなり上の出来ではありますが、最高ではありません。
私「このバーキンはいくらですか?」
店員さん「15万円だよ」
私「もうすこし出来の良いのはないの?」
店員さん「よく知ってるね!最近入ってこないんだよね。でもこれで十分だよ。大阪の●●の○○なんか500万円分も買っていったよ」
15万円という単価も驚きだけど、500万円分って…その品物の先の流れはどうなるのでしょうか?
次は時計を見せていただきます。
数点見ても良く見かけるレベルの出来です。
時計はあまり得意じゃないのでしょうか。
続いてはディオールのブックトートです。4種類あり、面白いことに価格により出来が違います。
以前搾取問題でニュースにもなりましたが、こういう原材料が安いモデルは原価≒製作時間でしょうから、ある意味正直な価格設定な気もします。
とはいうものの、正直という表現は適切ではないかもしれません。勿論タイでもコピー品販売は犯罪で、警察も放置しているわけではなく偶にブランドの社員と警察が取り調べに来るそうです。
「先日はゴヤールと警察が来たよ」とにこやかにしゃべります。
「でも事前に情報が入ってくるから問題ないんだよね」
確かに2重の隠し扉に、事前情報があれば簡単には摘発されなそうです。
当店は全国質屋ブランド品協会(ATF)に加盟しているため毎月コピー品の勉強をしていますが、これだけたくさんの上質な(?)コピー品をみれる機会はありません。
もっと見ていたかったのですが、お付き合い頂いたお二人にも申し訳ないですし、店員さんにも申し訳ありません。
欲しいものが無いので帰りますと伝えると「また来てね」とすんなり返して頂きました。
偽物ではないけど微妙なラインのお店もいっぱいありました