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ウバローバイトガーネット「灰クロム柘榴石」

鴫原質店の弟さんです。

社長様が仕入れてきたジュエリーに興味深い鉱物がついてたので取り上げます。緑の石が付いたペンダントヘット なんとも不思議な構成だな~というのが初見の感想。少し地味にさえ思える、なんとも言えない雰囲気を醸し出すダークグリーンが特徴です。

ところがね、光で照らしてあげると何となく素敵な感じなのだよ!!。緑の石を光で照らした画像光の多角的反射がとても綺麗で、なんとも表現しにくい、明るくそして深い緑色がキラキラと輝いてくれます。写真で伝えるのは不可能だと思われるのが残念だ。

そしてこの不思議な鉱物はガーネットらしい。色々な種類のあるガーネットの中で、クロムとカルシウムを主成分とする「ウバローバイトガーネット」という事。ソーティング火成岩や変成岩の中でクロムを含む鉱物とともに産出されることが多いようですが、中に含まれる成分により派生する鉱物名は十数種類あるようで、その中の1種類という事で話は終わりにしておきます。その派生する鉱物名まで掲載し始めるとキリがないからね。

発見された時のロシアの鉱物好きの文部大臣の名前「セルゲイ・ウヴァーロフ 」(Sergey Uvarovite)にちなんで「ウバローバイト」と名付けられ、和名では「灰クロム柘榴石」と命名されてます。灰クロム柘榴石を顕微鏡で拡大して撮影した画像結晶構造がもろく(モース硬度:6.5-7.5)、結晶体をルースとして取り出すことが困難な為、鑑賞用とする場合は原石のままが主流となるようで、まさにこれが原石です。この画像は顕微鏡で表面を撮影したものですが、結晶がこのまま成長し大きくなったとしても、どっかで「パリ~~~~っん」って割れちゃうんだろうな。これが大きくなったからグリーンガーネットになる訳じゃないって事ですね。それにしても、拡大して覗かせて頂くとかなりステキな光景です。

横から見るとこんな感じ。側面から見た画像母岩から緑色の結晶が沸いている様子が面白い。日本では海道平取町仁世宇(にせう)地区にある日東鉱山で発掘されるようですが、1960年(昭和35年)に閉山したとの事。現地に行けば、もしかしたらこんなのがウニョウニョ沸いてるのかしら??。ま~そんな情報からも察するとおり、この鉱物には金銭的価値があまりありません。

蛍光灯の下でも、角度を変えればいい感じの緑色になってくれるので、鉱物好きな人が買ってくれそうな感じ。首につけたイメージ写真個人的には結構好きなジュエリーだけど、ちょっと地味かも。でも喜平ネックレスとの相性も良さそうなので、男性にもおすすめできそうです。

などと考えていたところ、ネット掲載後にすぐ「見に行くから取っておいて~~」と直電が入りました。こんな小さなお店ではありますが、自社ページをチェックしてくれてる方がいるのは本当にありがたい事です。取り置きを2つされたので、この子を選ぶか、他を選ぶかは分かりませんけど、果たしてこのウバロちゃんは選んで頂けるのかね?。加熱処理や放射線処理やカットなど、天然石を綺麗に見せる為の科学的技術は多くありますが、天然のままの美を宝石として身に纏うのは、なんだかとてもお洒落に感じてしまう一品だと思えました。こういう変わったジュエリーをお店にもっと展示したいですね。

本日は以上でございます。

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