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魅惑の宝石 デマントイドガーネット

鴫原質店の弟さんです。

今回はタイトルにある通りデマントイドガーネットについて。GIA公式ページから引用すると、ガーネット鉱物は6つの一般的な種類(アルマンディン、アンドラダイト、グロッシュラー、パイロープ、スペサルティン、ウバロバイト)があり(←GIA【こちら】から引用)に分類されてます。その中の一つで、鉄分を多く含むという鉱物がアンドラダイトガーネットと分類され、その和名は「灰鉄(かいてつ)柘榴石」。そして更にその中において、緑色の鉱物がデマントイドガーネットと呼ばれ、和名は「翠柘榴石」。幅広い鉱物の総称がガーネットと呼ばれますが、宝石学上での横文字(カタカナ)や和名(漢字)はとてもややこしく、すんなり記憶にとどめる事が難しい。私の趣味嗜好や興味の問題なのかは分かりませんが、何度聞いても覚えられる気がしません。

当店の社長様はデマントイドガーネットのジュエリーをよく仕入れてきます。デマントイドガーネットのジュエリーその品物を商品としてネット上に掲載する為にパチパチと写真を撮りますが、この子はとても映りが良かったので取り上げる事に。

保証書に説明文があったので時短の為、そのまま掲載させて頂きます。保証書の説明ホーステールインクルージョンについて書かれていますが、これをルーペで確認できる一般の方は少なく、商品画像に載せたベース画像もあるので、こんな感じに見えますよ~と紹介してみようかしら。

宝石をルーペで見るとこんな感じかね?。ジュエリーの拡大画像宝石として見る場合、大体はこのような「見方」をしてしまいますが、単一焦点のルーペでは、内部のインクルージョン位にしか認識できません。もっとよ~く見たい場合は鉱物の内部を覗くという感覚が必要になります。

光の手助けを借りてこんな角度でみてみると、クリソタイルインクルージョンが徐々に姿を表します。内部のインクルージョンを撮影クリソタイルインクルージョンは白石綿の繊維状鉱物による内包物がその特徴で、デマントイドガーネットの特徴の一つでもあります。ただ、これがあるからデマントイドという訳でもなく、インクルージョンがない物もデマントイドと認定されるので、あくまでも特徴の一つという認識。宝石名を決めるにあたっては、鉱物を形成する物質や屈折率の方が重視されているのだろうか?。難しすぎるゼ!。

そしてもっと奥へ突き進みます。焦点を石の中央部分に合わせていくとより鮮明な内包物が姿を表してきて幻想的。内部のインクルージョンを拡大して撮影保証書に記載されてるように、馬の尻尾のように見える「らしい」事からホーステール インクルージョンと呼ばれています。一応、ルール(学問)なので馬の尻尾!という事で覚えますが、これのどこで馬の尻尾に見えるのか、頭の悪い私には分かりません。

そして更に奥の奥へ突入開始!。ルーペの拡大倍率では見る事の出来ない世界です。内部のインクルージョンを拡大して撮影GIAのホームページに掲載されてますが、ロシア産のデマントイドに、このクリソタイルインクルージョンが必ずあるわけでもなく、イラン産とイタリア産のデマントイドにも見られるとの事。そして、ナミビア産やマダガスカル産のものには無いそうです。こういう「見方」も宝石の楽しみ方の一つで、自然が創り出した神秘性に心が魅かれます。ただ、ひいき目に見ても、馬の尻尾が連想できないのは、私の想像力が欠如してるからなのでしょう・・・。純粋無垢な子供達に「これ馬の尻尾にみえる?」と聞いてみようかな(汗)。

デマントイドガーネットは「高い屈折率」と「高い光の分散度」が特徴的な宝石です。キラキラ光るデマントイドガーネットライトなどで照射せずとも力強い存在感を見せ、ダイアモンドを脇役にしてしまう位の輝きが人の目を引き付ける。そして、こういう「見方」も、これまた宝石の楽しみ方の一つでもあります。所詮はただの商品画像だけど一応工夫して撮影してるんだゾ(涙)。

職業柄もあり、多くのモノを見る機会に恵まれてますが、「これイイな~」とか「これ欲しい」とか思う気持ちは、職歴の長さに応じてドンドンと減ってきました。常にそういう商品を見てるから、珍しいもの意外には興味さえ示さなくなるのは、良いのか悪いのか・・・。若い頃は大げさなジュエリーに目が魅かれた事もあったけど、最近はジュエリーとしての華やかさや美しさに合わせて、実用性という部分が魅かれる要素に加わりました。たった0.6カラットしかないこの子がとてもいい品物に思えるのは、恐らくそういう観点なんだろうね。なんかね、ホント可愛いのよ、コレ(笑)。ステキだと思うからこそ、撮影に気合が入った一品のご紹介でした。難点として石の傷がどう見えるかだよな~~。モース硬度が約7位なので、鉱物として柔らかいのよ(汗)。そんな特徴もデマントイドガーネットの一面として、可愛がってくれる方を待ち続けようと思います。〔※一昨日の9月11日売れてしまいました。可愛かったもんな~。〕

本日は以上でございます。

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