HOME > 質屋ブログ > PTD刻印とは

質屋ブログ

PTD刻印とは

おはようございます。鴫原質店の弟さんです。

先週の買取品にこのような指輪がありました。古物のデザインリング石も入っていないデザインリングですが、何やら見慣れぬ刻印があります。リングの刻印この刻印から分かる事は「ジュエリーマキさんの商品」で「18金」で造られている事。そしてP.T.D‥‥‥って何だ???。インターネットでググってみると、所説あるようですが、そもそも所説ある時点で情報として不信感があります。

興味と後学の為にプラチナの品位を調べてみる事に。リングを破壊先ずは破壊します。だた行動あるのみ。

バッチリと刻印がある部分を使って比重を計ってみます。金属の比重大気中での重さが「0.78グラム」、水中での重さが「0.73グラム」という画像ですが、実は水中の重さが安定せず「0.72」と「0.73」を彷徨います。

何度も書いておりますが比重は(大気中での重さ)÷(大気中での重さ-水中での重さ)で判明します。

これに当てはめて、両方の重さで比重を計算します。
比重=(0.78)÷(0.78-0.73)=15.6(←60%位がプラチナ?)
比重=(0.78)÷(0.78-0.72)=13.0(←45%位がプラチナ?)
ダメだ‥‥分母も分子も小さすぎて数値があてにならない。

重量を増やす為に指輪をさらに破壊します。指輪を更に破壊資源の採掘みたいで楽しかったりします(笑)。

そして重量を増やして再度比重を計算。比重の再計算比重=(1.71)÷(1.71-1.59)=14.25(50%位がプラチナ?)

実験的にやってみましたが品位は推測の域をでませんね。重量が絶対的に少なすぎて無理です(開き直り!)。しかしながら、この数値だけを見るとPTD刻印は「半分くらいがプラチナ」という認識で問題無さそうな気がします。でもどうなんだろ?、比重だけではあてにならないのか?。そもそも本当にプラチナが入っていたらの話ですよね。「そもそもこれがプラチナなのか」と疑う事を忘れてました…‥‥(←色的にプラチナに間違いないと思いますけど一応ね)。

なのでついでに硝酸テストも試してみます。試金石と硝酸画像のように3カ所の部分を試金石にガシガシと擦りつけました。そして硝酸投入。硝酸テスト左側だけ極端に薄くなりましたがどの部分も一応痕跡が残ります。部分的に品位が少ないとかはありそうな感じですね。プラチナは硝酸に溶けないという科学的根拠により、PDT刻印はプラチナが入っているということが分かりました(パラジウムかもしれないけど‥‥)。そして品位についても大方の想像がついたので実験を終了します。

長々と書いておりますが、この実験って2分位で終わります(笑)。でも記事化するのは、写真撮ったり加工したり文章書いたりで多分2時間以上かかりました(汗)。そのうち社長さんから「真面目に仕事しろよ~~」と言われますね。でも、P.T.D刻印はプラチナ40~50%を想定して買取すれば大丈夫という事が分かったので、とても重大な仕事をしたのではないでしょうか!。

そしてこの件を地金屋さんにしっかりと確認しました。取り扱いはインゴッドの値段の45%、実質プラチナ50%で扱うということです。実験の推測通りです!。「最初から聞けばいいのでは?」とか思う方がいると思いますが、自分で解決する努力が大事だと私は思います。

最後に、取り扱い品位については地金屋さんによって変わる可能性があるので、取引先への事前確認をお勧めします。また店舗の運営方針なども異なるので、鴫原質店はP.T.D刻印をPt500で扱うだけで、このことが一般論ではないことをご承知下さい。扱わないという対応もあるかもしれませんしね。

本日は以上でございます。

[ カテゴリ:質屋あれこれ ] [ ブログ記事一覧 ]