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質屋の道具「ウォッチエキスパート2その7」

鴫原質店の弟さんです。

質屋で使うアイテム紹介。
ウォッチエキスパート2で時計症状のチェックのお話。
長きにわたり続いたこの話も本日が最終話です。

本日は2点テスターにかけますが、修理箇所の度合いが違うもののお話。

ひとつ目はROLEXのcal.3135を搭載した時計(機種名は伏せます)。
まずは平置きで計ります。

片振りの状況が見て取れます。
次は縦置きで計ります。

やはり片振りの状況で、振り角も安定していません。
でもオーバーホールをしてゼンマイを交換するだけで症状は改善する可能性が高いように思います。開けてみないと分かりませんが修理費はさほどかからないと思われます。

 

次はROLEXの69174という機種ですが、こちらは非常に大変そうです。
まずはテスターの数値から平置きと縦置きの両方をご覧ください。

数値が何もかも標準値からかけ離れています。
手でゼンマイを巻いた時点で「ギギギ~」と唸っているので、テスターを試すまでもなく何かがおかしい状況は分かります。それ以前にこのような状況では歯車を回すことにすら罪悪感を覚えます。何かが削れていく音にも聞こえますので。

現状で触って分かる範囲では、カレンダーが朝3時くらいに切り替わりますのでカレンダー送り車(日送り車または切換車)の破損。リューズの回りが半回転ほど足りないので防水テストに合格する為にはリューズやリューズチューブの交換も必要かも。
ゼンマイも含めるとこの時点で部品代だけで4万円以上です。

もし修理するのであれば、外装を開けて技術者が交換の必要な部品とその見積もりをくれますが、この「ギギギぎ~~」という状況下ではその他の内部パーツ交換もあると思うので修理が相当高額になるでしょう。

時計の見積の際に見るポイントは非常に多いですが、お客様から安く譲っていただける訳ではありません。複数店舗で見積もりをとり1番高いところで売却するのは当たり前の時代です。だからといって、この修理費の想定を間違って時計を買ってしまうととんでもないことになります。

時計を販売する際のチェックにも、買取する際のチェックにも、このテスターは非常に重要な役割をはたしてくれています。

その7まで続いたこのテスターのお話。
前半部分はブログ的につまらない内容ですが私自身勉強になりました。
前も書きましたが、このテスターが30万以上もするという事さえ知らなかったので。

やっとここで終わりです。
長かったですね(笑)

本日も鴫原質店のブログをご覧頂きありがとうございました。
時計の修理/電池交却/販売/買取は仙台の鴫原質店へ
お見積は無料ですのでお気軽にご利用下さい。
本格的な修理は専門の時計工房で技術者がおこないます。

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