鴫原質店の弟さんです。
今月の質流品の中に綺麗なグランドセイコーちゃんがありました。 使用感がとても少なく付属品完備、しかも新品で購入されてから少ししか時間が経過してない品物なので、こういう品物を探してるお客様が多い、正に売れ口商品のひとつ。
ところが検品すると残念な部分を発見(哀)。ベルト調整ネジの最後の部分が崩壊してました。もちろんまだ「回す」事は可能だと思うけど、ネジとしての寿命は相当短かそう。あまり知られていませんが、グランドセイコーあるあるのお話でもあります。
因みにですが、コマ調整で回したであろうネジの全てが崩壊気味でした。たかがねじ回し・・・されどねじ回しで、この件については何度も取り上げています。とりわけ、グランドセイコーのネジは硬度が柔らかいのも特徴で、ドライバーがほんの少し合わないだけでこんな風になっちゃうんだよね。とはいえ・・・人の目で見ても小さすぎるのでこんな状況を目視する事はなく、大体の人は気にならないし、そして全く知らない部分かもしれない。だって小さくて見えないもん・・・。
グランドセイコー専用ドライバーなども販売されてますが、私はこの2本を主に使用してます。精密機械ドライバーでグランドセイコーのネジの幅にピッタリあうものを選び、先端を削って厚みを調整してるので、大体のものはこの2本で調整が可能です。前に一度紹介した事ありますが、持ってるドライバーの数自体が多い(約30本位かな)中の、貴重な2本でもある。
赤いドライバをネジに合わせるとこんな感じ。特に強い力など入れなくても、幅と厚みが合ってれば、ここまでネジ穴が変形する事はありません。もし合うのが無かったら、削って調整するのを日常でやっていて、数十秒で対応が可能です。
このお品物は、このまま販売する事もできなくはないけれど、ネジがもし回らなくなった時の事を考えると、とてもお店で販売する気にはなれません。このネジをこれから回す人の「考え方」や「スキル次第」で、瞬間的にネジ山が崩壊する可能性があるのだもの。たかが「ネジ」の話ですが、回らなくなったネジを取るのって結構費用がかかるし、もし仮に、変形したネジを純正の新品に交換する事も可能ですが、手間とお金がかかるから非現実的です。
中古の時計を購入される方は「キズや程度」をとても気にされます。そういう部分に敏感だからこそ、殆ど目につかない「ネジ」レベルも注意が必要。そして面白いのは、傷1つさえない「新品」を購入してコマ調整をした後に、そのネジが実は崩壊していた・・・という事もありうる点。コマ調整後のネジの具合など、新品を購入した後にこそ確認して欲しい!。そんな意識が多くの方に芽生えれば、よりいい状態の中古品がでてくる!!というのが目論見・・・だったりもします。たかがドライバー・・・、されどドライバー。回らなくなったネジの処置の大変さを知らないと、この価値感は理解されないかもしれないのが少し残念です。ま~~そう言ったとて、たかがネジの話でもあり、ネジを完全無傷で回す事は極めて難しいので、大なり小なりキズはつくので大差ないかも。自分の持ち物だったら実際にどうでもいい話だしね(笑)。
本日は以上でございます。