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愛用されたロレックス チェリーニ Ref3880

鴫原質店の弟さんです。

買取品の中に私好みのお品物がいたのでご紹介させて頂きます。古びたロレックスこの子はロレックスのチェリー(Ref 3880)にという個体で、私よりも年寄りの方(笑)。

まずは裏蓋に刻まれた製造番号し大体の年齢を確認しましょう。裏蓋のシリアル番号25で始まる7桁だから1968年頃製造ということで、約56歳!!。頑張って生き続けてる感じが心地よく、何かしら共感してしまいます。1968年の日本は高度成長期の真っ最中で、日本GDPベースで世界第二位となった年。1ドル360円と固定相場制でしたが、景気がいいとは言え、相当な高額品だったと推測されます。(←推測ね!)

個人的にこんな部分がいいな~って思うんだよね。削れて原型のないリューズ型を留めていないリューズは、如何にいっぱい使われたかの証!。スレて削れてロレックスの王冠マークさえ見当たらない。わざわざ削る理由などないので、洋服などに擦れ続けた結果がこの原因だと思われる。金(ゴールド)が柔らかいのは常識とは言え、スレて表面がここまで削り取られるというのは凄い事です。

硬度が高いステンレス製のバックルは形状を維持してました。バックルの画像最高級時計って何故か金無垢やプラチナで造る傾向にあるけれど、そこに一体何の意味があるのか考えさせられます。柔らかいし重たいし傷つきやすいし、実用性を重んじる私のような人間には不可解な事だ。

裏蓋のオープナーを引っ掛ける場所も少し変形してました。裏蓋のオープナー部分リューズほどではないけれど、日常的に手首に振れただけでこうなるんだね。頭の中では当然とは思いつつも、こうして目の当たりにする金(ゴールド)の柔らかさにはドン引きしてしまいます(汗)。

折角だから日頃目に触れる事はない中身も覗き見。ムーブメント画像ロレックスの手巻きによく採用されていたCal.1600様。こちらは1960年代中盤から~1970年中盤まで製造されていたムーブメント。時計好きの方はすぐ気が付くと思いますが、この時計に防水という概念はなさそうだ。部品の欠品かもしれないですが、パッキンさえないのはかなり不思議な状況だね。普通はあんのかな??。

ネジの錆はしょうがないとして、歯車の間にも錆が見え隠れしてます。「動かしたら壊れそうだ・・・・な」と思ったけど、これは既に壊れてるというのかも。ってか動くのかね?(汗)。色々と錆びたムーブメント歯車に傷が沢山あるので50年の間に何度かオーバーホールはしてそうだけど、この状態を今からメンテするのはしんどい・・・。錆びたネジを取って、非純正で新しいネジを造るだけで2万円位。それに歯車とゼンマイとその他もろもろを交換すると一体いくらかかるか想像もできないや。そんな部分を考慮すると、この子の道具(時計)としての役割は終えたのかもしれないな。愛用され続けたこの子が、いま私の手元にある理由がそれなんだろうね・・・。50年間おつかさ様でした。いっぱい使って貰って良かったね!。

裏蓋を見ると正規店で一回だけオーバーホールをしてるようでした。裏蓋の裏側このブログで何度かこのような画像を掲載してますが、時計をとても大切にしてる方にはショッキングな部分。裏蓋にひっそりとメンテナンス記録のような文字が刻み込まれますが、削って落書きしてるようにしか見えないのは私の歪んだ性格だからに違いない。

個人的にはこのように沢山使って貰った時計を鑑賞するのが好きだったりします。数十年間も使用し続けた品物を、私が一つも所有していない事が原因かもしれません。子供の頃好きだった「ぬいぐるみ」などは保管してるけど、汚れ切ったものを思い出として置いてるだけ。以前書いた事があるお気に入りのバッグは、「一生使いたい」という思いから5個ほど保有してるけど、所詮使い捨てだと思ってるから同じもの買ってるしな。少し前までは「一生もの」という言葉を使う人が多かったように思うけど、1人の人間が死ぬまで使える道具って、今の時代において何があるんだろ?。何一つ思いつかないのは、私の頭が悪いからなのか、それともそれが当たり前なのか、少し悩んでしまいます。

本日は以上でございます。

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