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片耳専用耳飾り

鴫原質店の弟さんです。

今回は質屋のオークションで社長が仕入れてきたイアリングについて。お品物はこちらです。タンザナイトのイアリングステキな色合いのタンザナイトの回りを、小さなダイアモンドで囲んだデザインイアリングです。話の流れ的に最初に申し上げますがこれは片方しかありません。恐らくもう一方は無くしたとか、壊したとかなのかな。

長くこの仕事に関わっていますが、少し前までは片方しかない耳飾りなど「売ろう」とさえ思いませんでした。片方しかないなら金属として溶かすことが当たり前だったのです。言い訳ではありませんが、片方しかない靴や手袋とかと同じ感覚で「商品にならない」という思いがあったのです。ところが近年、そんな固定概念をぶち壊す商品をいくつか取り扱ってきました。

例えばこちら。ルイヴィトンの片耳専用ピアス当店のホームページで販売中のルイ・ヴィトンのピュス イディール ブロッサム。メーカーさんのホームページの商品説明では片耳用ピアスとして販売されています。定価は¥121,000のようですが、中古品で7万円で売ってます(よろしくお願いします!)。

そしてもちろん他のメーカーでも同じような流れが。ブルガリのイアーカフ当社のホームページから取ってきた画像ですが、これはブルガリのイアーカフ。耳たぶではなく耳の上の方に引っ掛けるタイプらしい。販売価格は¥74,000でしたが既に販売済みです。定価が¥167,420もするそうで驚きます。これも片耳用の商品でしたが、私のようなおじさんにはイアーカフって「何ですか?それは…‥」という馴染みのない新しい言葉でした。

そしてこちらもブルガリさん。ブルガリの片耳用ピアスこれも当社のホームページから取ってきた画像で、既に販売済みのお品物です。ブルガリの公式ホームページでは、B-zero1の片耳用ピアスという名前で紹介されてます。

今でこそ、片耳用耳飾りという言葉は一般的になりつつありますが、最初にこの言葉を聞いた時は本当に衝撃的です。上の販売済みのブルガリのイアリングは「こんなの売れるの?」と本気で言っていたのを覚えてます。

こんな時、自分の思考が時代に合っていないことを実感させられます。そして少し前から、片方しかなくても「もしかして売れるのでは?」と感じるものがあれば、トライアル的に販売しております。当店で販売した片方欠品のイアリングもう販売済みの商品ですがですが、当店のホームページに画像がまだ残ってました。この2つの品物は、一つ欠品したと思われる耳飾りです。ですが「片耳用」として販売してみたところ両方ともすぐに売れました。そして「そもそも両方揃っている必要が無い」というニーズがある事を悟ります。

今までは一つしかない耳飾りなど、片方が欠品している欠陥品というイメージしかありませんでしたが、それこそが固定概念だったのです。片耳用が2つあれば今まで通りの耳飾りセットになるだけにすぎません。言い方や解釈の問題になってきますが、「片方のみの耳飾り」や「片方欠品の耳飾り」と「片耳専用耳飾り」では言葉のイメージが全然違います。

ファッション的な話になれば、両耳に違うデザインを着けたい方や、特にピアスの場合は穴を開けた数が両耳で違うとか、また開けている場所が違うとか、理由は様々ですが、2つ揃っている必要が無いと考える方が増えたのかもしれません。「片耳専用」はそれらのニーズを的確に捉えた、頭の良い方が創った新しい言葉だと私は考えてます。もちろん両方に同じものを着けたいのであれば、片耳専用を2つ買えばいいだけなので、両方のニーズにも対応している点も素晴らしいことです。

そのような流れで、片耳とか両耳とかいう概念がそもそも不要で、2つあっても1つずつ販売したほうがいいのではないか、と最近では思うようになってます。タンザナイトのイアリング因みに市場(競り場)で片耳だけのものを買ってきたのはこれが初めてだったような気がします。

お客様のニーズに合わせて販売方法もどんどんと変化してます。そのうち、靴や手袋などの2つで1つが当たり前だった品物まで、別売りの時代が来るのかもしれません。(※来ないとは思いますが‥‥)。というか左右対称で同じデザインでなければならないという考え方や見方こそが固定概念で、近い将来は「右足用の靴」と「左足用の靴」が売られてたり、デザインも左右で違うものをお店で選ぶというような買い方がでてくるのかな(笑)。(※恐らくないと思いますが)。色々考え始めると「これもそうだ」とか「あれも分解できるよね」とキリがないので、この話はここまでにしたいと思います。

最後に「片耳専用耳飾り」をグーグル翻訳で英訳してみたところ「Earrings for one ear only」 となります。そしてこの英語を、同じくグーグル翻訳で日本語にすると「片耳のみのイアリング(耳飾り)」とでてきます。色々と書いてきましたが、一般的な感覚では耳飾りは2つセットで一つという考え方が常識で間違いないように感じます。日本語のみに与えられた素晴らしい表現方法なのかもしれませんね。

本日は以上でございます。

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