鴫原質店の弟さんです。
昨日お店の買取品でグッチのカメレオンがありました!その日の気分に合わせて簡単にベゼルを交換できるというアイデア商品で20年前位にとても流行した商品です。普通に「カメレオン」と書いていますが、今世代の流通ではチェンジングベゼル(ref:11/12.2)という呼び名で取引されているようです。このカメレオンという呼び方が、全国規模での話だったのか、東北の質屋市場だけだったのかは不明なところです。
昔はとてもよく見た商品でしたが、私の記憶だとその当時の市場では3千円位の相場で取引され、小売りでは5千円で出してても売れない商品だったという記憶があります。流行した為に中古品の数も多く、お客様も「昔これ流行ったよね」とは言いますが、欲しい商品という対象ではなかったように思えます。色々と思い出がある時計ですが、最近ではめっきり見る機会も減ってきました。ですが実はコレ、海外では人気モデルになっており、最近の市場では1万5千円程度で取引されるようになりました。なんか不思議な感じですね。
というのは全て前置きです。グッチの商品説明をする為に書き始めたのではないのに、えらく長い文面になってしまった‥‥‥‥反省。実はこのカメレオンを見た瞬間に思い出したことがあったんです!。それがこれ。質屋の道具「時計のオープナー」(詳しくはこちら)で「これからも使う事はない」とぼやいていたオープナーです。こんな機会は今後ないかもしれないので、オープナーの使い方と、ついでにカメレオンの電池交換を説明したいと思います。
この時計の構造は一般的なオープナーを入れる隙間がありません。目につくのは、ベルトと本体の繋ぎ目にあるベルトの可動域を広げる穴だけ。
そしてその穴にこのオープナーを入れ込みます。そして「クィ!」っとオープナーを持ち上げると簡単に裏蓋が開きます!。これを知らないと開ける事ができません。
開けたところを見てみても、本体と裏蓋を固定する仕組みはなく、パッキンの圧力だけで固定されていることが分かります。それ故に引っ掛けるだけで開いてしまうのですね。多分クリップなどでも開ける事が出来そうです。それにしても、内側の縁に防水用のパッキンが入る事を考えると、リューズの巻き芯が常に湿気にさらされています。まさに非防水といった感じの構造です。
では次に閉め方について。これも少しコツがあります。開けた時に本体か裏蓋のどちらかにパッキンがくっついているはずなので、まずはそれを取り出します。今回は裏蓋にくっついていました。
そしてそのパッキンに油をつけます。これがとても重要です。
そして本体の定位置にパッキンをしっかりと固定してあげて、裏蓋を重ねて圧力をかければすぐに裏蓋が本体と密着します。因みに画像ではパッキンの右上の方にねじれがありこれでは閉まりません。(写真を撮ることに夢中になり後で気が付きました。)分厚いレール上のパッキンなので、しっかりと捻じれが無いように取り付けないと、接触面の関係で裏蓋はつきません。しっかりと確認しましょう!(←失敗したくせに……………)。また、当店でも大量に保有している代替パッキンは使えないので、パッキンを傷つけない事がとても重要です。切れたりしたら合うものを探すのがとても大変ですね。
なんだかグッチの電池交換の説明のようになってしまいましたが、この特殊なオープナーの説明ができて良かった。1990年代の時計ではこのような構造になっている時計もあり、昔はこのオープナーもたまに使用する事がありました。ただ、前回ブログで取り上げたときに書いたように、最近では殆ど使用する機会がありません。もしかしたら、もう2度と使用する事がないかもしれませんね。
長い間仕事を手伝ってくれた道具です。それなりの愛着があって当たり前。例え使うことが全くなくても、机の引き出しの奥にでも、ひっそりと保管し続けたいと思います。また活躍してくれる時があればいいですね。