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アメリカの法定通貨 1910年発行 10ドル インディアン金貨

鴫原質店の弟さんです。

今回はお店で買取したこのペンダントヘットについて。買取したペンダントヘット昔からのお客様の品物だった事、そして視覚的に問題ない!と判断し買取させて頂きましたが、通常この金貨は査定額にご納得頂いた後に、枠からコインを取り出して、コイン単独の検査をしてから買取する流れです。枠に入っている状態だとちょっと不安もあるから・・・というのがその理由。

普通は、コインを囲むこの金属は果たして金だろうか?から始まります。金貨を固定する金属のアップ画像ロウ付けされてる部分の雰囲気で、金と判断しますが一応・・・話の流れ的に壊します。

爪をたててコインを取り出しました。枠から金貨を外した画像少しの力でグニャ!っとなり、金の柔らかさを確認。因みに白いのは接着剤かな。

念の為、話の流れで試金石と硝酸テスト。枠を試金石と硝酸で検査してみた高純度の金である事が確認できます。

次にコインの比重を計測。コインの比重を測る様子比重の説明は何度もしてるので省きますが、17.2でクリア!。特に問題がない21.6金のコインだという事が判明します。ま~大体の流れはこんな感じかな。

そこまで神経質になる理由はコレ。金貨の偽物と本物を並べてみた様子今から20年前くらいの事、このコインの偽物が大量に出回っており、当店でも一つだけ掴んでます。今まで何度となく偽物のコインを見続けてるので、市場にはまだありそうかな。18金の枠にコインだけ偽物が入っている物が多く、そんなものを何度も見てきてるので、今でも警戒感は消えません。既に趣味となってしまったコイン鑑賞のキッカケでもある。そして今では見てすぐ「金じゃないね」と分かるこのコインは、その当時の私達(社長と私)には気づけなかった悲しい過去と損失の証!。※18金が800円の時代の話で、損失は大した事ありませんが・・・(笑)。

枠に入っている状態では確認する事の出来ない側面に、青錆(緑青)があるものが多く、実は粗悪品だったりします。金貨の偽物の詳細外傷の部分からその内部が確認できれば、その時点でアウト判定。最近は、とても精巧なコインの偽物がでており、上記検査などでも判別不可能な構造をしており、中々難しい時代となりました。地金屋さんにそのコイン(←偽物)の実物を見せて頂きましたが、メッキの雰囲気を察するとか、硬い物を当てた時の「音」が違う・・・とか、言葉では伝わらない感覚的な部分も大切な気がしてます。そして前例(※情報含む)のあるモノは破壊検査前提で話を進める事になりそうな予感も。触らぬ神に祟りなし。

金独自の柔らかさや、レリーフのされ方なども参考に。金貨の詳細部分金相場高騰につき、1つ掴んだだけで相当な損失が確定するので、念には念を。そして目の前にあるものを注意深く観察し続けようと思います。

そして最後にコインのご紹介。これはアメリカの旧法定通貨インディアン金貨。金貨の表面直径27.1ミリで重量は16.72グラム(※比重計では16.73になってた!)。金品位はau900のK21.6で、発行期間は1907年から1933年です。御年114歳のとても古い金貨で、今まで何人の所有者を渡り歩いてきたのか・・・。傷が少ないものは若干のプレミアムもついてますが、ここまでボロボロだと難しいかな。1910年の発行枚数は約235万枚ちょいで、それこそ昔は日本でも沢山みる事ができたけど、最近少なくなってきたかな。

もう片面はアメリカの金貨に多いイーグルが描かれてます。金貨の裏面そして面白いのは、この金貨の価値が10ドル!ってところ。1オンス2,800ドルを瞬間的にとはいえ超えた今日この頃、1グラムのドル建て金価格は2,800÷31.1≒90ドル。この金貨が約16.7グラムなので、ドル建てでこの金貨の現在価値を算出すると約1,500ドル!!。金本位制だった時代にこれら金貨をタンス預金でため込んだ一族は、もの凄い富を築いたに違いない。ただ、ニクソンショックやブレトンウッズ体制崩壊などの歴史を見るに、1オンス35米ドルと固定されていた金(ゴールド)が変動相場に移行する過程で、金(ゴールド)を保有し続ける事の出来た勇気ある方々でもあるので、とても真似なんてできやしないし、そもそも結果論かな。

アメリカで金本位制度が廃止されたのは1933年で、これはこのインディアン金貨の最終発行年でもある。金本位制の時代に10ドルという「実貨幣」だったこの金貨が、本当に10ドル分の金が使用されているか興味が湧きました!。貨幣は金(ゴールド)と同価値と定める金本位制との連動制を確認する為、いつも使ってるトレーディングビュー(こちら)のフルチャート表示で1910年1月3日の金価格を確認してみます。すると、1オンス約20.6ドルであることが確認でき、「20.6÷31.1=0.662」だから当時のドル建てゴールドは1グラム0.662ドル。コインが21.6金って事は90%が金って事なので、16.7グラム×0.662×0.9≒9.94!!。お~~~さすが法定通貨!!でほぼピッタリ10ドル分の金が使用されてると分かりました(※当たり前だ!とか突っ込み不要!!)。興味さえあれば、知りたいことが簡単に調べられるいい時代です。

こういう品物を見ると私は妄想が止まらない・・・・。昔の品物を見て、当時の歴史や社会情勢を空想するのがとても好きな私は、当時の10ドルで一体何が買えたのだろう?と考え始めますが、興味がある事や調べた事を羅列しまくると、恐ろしく長くなる傾向があるので、ここまでにしておこうと思います。ちなみに、法定通貨が金貨という事は、当たり前ですが、買い物した時の「おつり」も金貨!。その「おつり」に使われてたかもしれない品物も譲って頂いたので、気が向いたらネタにさせて頂きたいと思います。歴史って面白いですね(笑)。

本日は以上でございます。

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