鴫原質店の弟さんです。
「類は友を呼ぶ・・・」という言葉があるが、今月2回目のご対面でこれは珍事に違いない。そして今回は、より緊張感が増す1911年の10ドル金貨!。警戒心を煽るこの枠の雰囲気は、もしかして今まで散々見てきたアレかもしれない・・・。品質の悪いダイアモンドで着飾る、750刻印の枠には怪しい先入観を抱きました。
【宿敵登場か!?】
お客様へ丁寧に説明し、過去の経緯や偽物の実物をご覧頂き、購入できる金額を伝えた後にやれる限りの検査を開始します。法定通貨である10ドル金貨は16.72グラムだけど、目の前の品は重量が16.30グラム・・・・。目方(重量)はデータ値より少ないけど、比重はOK、試金石の色味はOK、硝酸もOK。色味はちょっと不安があり、銅が入ってるような色味には見えないのは何故だ?。とはいえ、できる範囲の事で見る限り、個人的には21.6金であると判断して買取を決意します。あ~~怖い怖い。
製造から100年以上が経過する今現在、色々と「いじられてる」のよね。部分的に削られていて、ジュエリーとして加工するする為か、厚みが調整されていました。逆にこの部分をみて中身は金(ゴールド)とも確認できる。重さが違う点はこんな発想で、自分を納得させる材料にしてますが、あ~~怖い怖い。
ここは厚みを足したと思われる部分。金を加工してるだけなのでなんとも思わないけど、アンティークあるあるの話でもある。そもそもココに足された部分の金品位はどの位なんだ??。
1911年のインディアン金貨は前回も触れたけど、ダメな物(金じゃないもの)を沢山見てきました。持ち主に全く悪意が無いのも特徴で、それがいつの時代に製造されたものかも正直分かりません。全知全能のグーグル先生に尋ねると、発行年数は1911年で枚数は505,595枚との事で、発行枚数は1910年製との比較で物凄く少ないのに、いっぱい見る理由はそんな経緯もあるのかも。冷静に淡々と観察し、やれる限りの事をやらないとひどい目にあいます(←なんせ経験者です!!)。
状態的にとても綺麗に見えるところが「かなり嫌」だったけど、こんな部分も興味深いね。発行から113年が経過し、所有者が変わる時に疑念を抱き、確信を持つために一部にメスを入れたのかもしれない(←※妄想!)。硬い金属ではこのような細い溝を掘り進めることは容易でなく、この傷こそが柔らかい金の特徴でもあります。
今回の金貨は「綺麗すぎた」から余計に疲れました。下記画像は、真ん中が今回の品、右が前回の品、左がずっと前から持ってるサンプル(偽物)。柔らかい金(ゴールド)という素材が色んな形状に変化していく中で、彫りとかデザインとか模様とかを参考にはしますが、状態が個別に違うので金貨はとても難しいな。上の方に銅が入っている色味に見えない・・・などと書いてしまいましたが、並べて見ると入ってる色味にも見えてしまう。僅か10パーセント(←銅の割合)の成分の違いは、とてもいいヒントになります。
金価格高騰により、色々なトラップ品が増えてきたこの10数年。判別の難易度も上がってきてますが、今はまだ何の不安も感じず直ぐに決断できてます。ただ、金貨は判断基準の少なさと、損失の大きさのバランスが非常に悪い商品なので、「綺麗すぎるもの」は破壊検査を前提!、綺麗であればあるほど傷つけないと買えない・・・など、そんな対応が今後は一般的になる可能性ありえそうかも。凄く出来のいい「偽物コイン」を拝見させてもらって以降、ゴールドの柔らかさを視認できないものは「バ~ルでへし折るゼ!」位の勢いで考えるようになりました。確証が得られないものに関しては、触らぬ神に祟りなし・・・ですね。しかし、1910年の金貨を見て興奮し、1911年の金貨を見ると怯えるてしまうという、この心境こそが経験則ってやつなんだろうね。あ~~怖い怖い。
本日は以上でございます。