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パテックフィリップ(カラトラバ 日本限定発売150本 )のメーカーオーバーホールについて 

鴫原質店の弟さんです。

今回は少し前の事ですが店頭で買取した腕時計について。パテックフィリップカラトラバの写真こちらは1987年に日本国内で限定発売されたパテックフィリップ カラトラバ。グレーとシルバー、そしてこのアイボリー文字盤のラインナップで各種50本、合計150本の限定販売品という非常に希少価値の高い品物のようです。素材はステンレスで型番は「3923A」。一般的に発売されていたカラトラバ「3923」は金無垢なので、限定品という付加価値はあるものの、ステンレス製であるこの品物がお客様にどのように評価されるのかが興味深いところ。ケース直径が31.5ミリの小ぶりの時計で、腕時計の巨大化が進む今の現状ではレディースサイズに感じてしまいますがメンズ用です。

売って頂いたときの状況はというと、査定金額を提示して一度はお帰りになられましたが一週間後に再度来店されて、前回の値段なら売りたいという話で商談がまとまりました。希少な品物である事は間違いないので、多くの店舗で見積もりを取られたのでしょう。他店とどのくらいの差があったのかは知りませんが、お譲り頂いて良かったです。

ところが買取させて頂いた後に【時計が壊れている!】事に気が付きます。事前の見積の時は何の問題もなかったらしい(←他の人がやったから知らない!)のですが調子が悪い。確認しない方も悪いが、一体どこの誰が壊したのか(涙)。それに壊れてるものを同じ値段で買っちゃダメじゃん(哀)。

そしてここからようやく本題に。上記のような経緯があり、こちらのお品物は正規代理店へ入院(メーカーオーバーホール)となりました。パテックフィリップの修理明細書入院費は消費税込みで228,800円なり~~~~~~!。世界が誇る時計メーカー様の正規メンテナンスなので請求される金額のみが妥当な金額。保証書が無い品物ですが、メーカーでの正規メンテナンスという安心感により莫大な付加価値が加わり、その商品価値は一段と高まったことでしょう!‥‥‥‥(本当か?)。

ベルトもピッカピカの未使用品になりました。パテックフィリップの新品の革ベルト裏にパテックフィリップのロゴが刻印されたクロコダイル製!。クロコダイルのベルトは安いもので5~6千円で買える時代に、このベルトはなんと60,500円。このロゴの刻印にそれだけ付加価値があるという事ですね。

パテックフィリップって
「なんか」凄いね!。

そしてケース仕上げが47,300円!。当店は一般的なケース仕上げを通常1万2千円(税抜)でやっているので、この金額には少し驚きました。何か特殊な事があるのかなと仕上具合を見ても、特に変わったとこは無いような気が。パテックフィリップの新ケース仕上げ形状を変えず薄く表面を削って、商品のベースを崩さない感じのタッチかな。私も簡単な仕上げは自分でやるので「この傷は消した方がいいかな~」とか興味深く見てしまいました。この仕上げに関しては、パテックフィリップ正規代理店がやったという事実を証明する【領収書】がとても(×3)重要です。この領収書が無ければ、「私が仕上げしたもの」か又は「当店提携工房が仕上げしたもの」か「正規店で仕上げしたもの」かなんて判断する方法があるのかどうか。

とはいえパテックフィリップの正規メンテナンスで仕上げした事実がとても重要で、それは私の感覚ではなく一般認識だと思います。だからこそ同じ仕事でも高額に設定でき、その価格設定に対して誰も疑問を感じません。それこそ値段に対して疑問を頂くような方は、パテックフィリップのお客様を続けることはできないのかも。

パテックフィリップって
「やっぱ」凄いね!。

時計修理に限らずどんな業界にも言える事ですが、同じものを販売(提供)するにも、利益をより多くとれるということはとても大切です。そしてまた、支払側が満足し納得するもの(事)であれば「高い」という感覚さえありません。本当に凄い事ですが、それこそが長年培ってきたブランド力そのものであり、他では変わることができない存在であるからできる事なのでしょう。今回はパテックフィリップの値段設定を見て色々と考えてしまいました。

どんな業界であろうと、このような独自性を持つことが重要なはず。そしてふと自分に当てはめてみると、一体何ができるかなど考え込んでしまいます。ブランドそのものに価値があり、その価値ある品物の中古品を販売している私たちが持てる独自性‥‥‥‥、そんなのあるのだろうか。ましてや質屋という事に関して言えば価格競争以外には、一般的ユーザーが望むことがあるのだろうか。安心感や昔からの付き合いとか周りからの評判とか、確かにそういうものはあるにせよ、むしろ価格競争で勝負した結果として周りの評価がある気がしてなりません。

インターネット経由の販売が主流になりつつ今、色んな事が変化しているので今一度何か見つけないといけないのかもしれませんね。なんだか思考が纏まらないし、だらだらしてきたのでこの辺で終わります。最後に、昔からよく知っている事ですが今回は改めて思い知りました。

パテックフィリップって
「ホント」凄いね!

本日は以上でございます。

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