2025年05月13日
鴫原です。
先日、株式会社藤田商店の社長である藤田健様がタイを案内をして下さるとの連絡を受けました。
藤田さんは、以前GIA-AAJ(GIA同窓会日本支部)の会長を務められ、日本ジュエリー協会(JJA)の理事としても活躍されている、宝石業界では広く知られた方です。
個人的にも親しくさせていただいており、震災の際にも大変お世話になりました。少し不安もありましたが、藤田さんが案内してくださるのであればと思い、タイ行くことにしました。今回の旅行記を数回に分けて掲載したいと思います。
とはいえ、案内とはいっても、藤田様は現地で仕事をされており、その合間に私たちに時間を割いてくださる形になります。また、参加者それぞれの都合に合わせて、自由に集合・解散するスタイルです。すでに現地で合流していた方々もいましたが、私は「GIAバンコクへの訪問」から合流しました。
今回は藤田さんの事前の交渉により、GIA同窓会日本支部として受け入れていただけることになりました。
先ずは藤田さんの宿泊しているホテルに集合し、徒歩約20分の場所にあるGIA Bangkokへ向かいます。
タイの一般的な電柱。電線がぐちゃぐちゃになっています。後のことを考えてない気がする・・・ 
立派な高層ビルに到着しました。こちらがGIAの入っているビルのようです。
セキュリティは非常に厳重で、GIAに辿り着くまでには以下の手順を踏む必要があります。
①エントランスでパスポートを提出してキーを受け取る
②キーをかざしてゲートを通る
③エレベーター内でキーをかざし、GIAのフロアへ移動
④インターフォンでドアを開けてもらう
私たちのために歓迎の画像を作成してくれたようです
到着後は責任者のClaudiaさんから歓迎のご挨拶を受けた後、GIA Bangkokの歴史を伺います。
その後は宝石学フィールドマネージャーであるWimさんによるレクチャーが始まりました。特に、産地特定に関するお話が非常に勉強になりました。
以前から、成分分析や拡大検査で産地を特定することは知っていました。しかし、「この元素が含まれているのでモゴック産」「このインクルージョンがあるのでコロンビア産」といった具体的な特定は、元となるデータがなければ不可能です。そのデータがどのように収集されているのかについては、これまで知る機会がありませんでした。
データを収集するために、GIAでは沢山のサンプル(石)を集め、分析、保管しているとのことです。
そのサンプルは現在のところ29,000点以上あり、収集方法によって以下のようにタイプ別に分けているそうです。
- Aタイプ
-鉱山でGIAのフィールドジェモロジー(宝石学者)が自らハンマーで岩を叩いて採掘した石
- Bタイプ
-鉱山でGIAの研究者が地中から採掘者が石を採掘したところを見たものを入手した石
- Cタイプ
-Bタイプと同様鉱山で入手する石だが、採掘者が採掘する瞬間を見ていないもの
- Dタイプ
-鉱山ではなく採掘者から入手する石
- Eタイプ
-鉱山の近くにいる仲買人から入手する石
- Fタイプ
-国際市場の取引において2次的なソースから収集された石
AからFにいくにつれ信用度が下がっていきます。
勿論Aタイプのサンプルだけが理想的でしょうが現実的ではありません。彼らは100回以上鉱山へ収集に行っていますが、常に石を掘り当てられるわけではありません。
宝石とは希少だから価値が高いのです。
また、信用度の非常に低いFタイプも研究に役立つとのことです。例えばザンビア産とラベル付けがされたエメラルド100石入りの袋を見ても、10個が明らかにコロンビア産のように見える場合です。
それがFタイプのものであれば、誰かがコロンビア産のものを混ぜたのだろうと考えられます。しかし、それがAタイプのものであればザンビア産エメラルドの10%が実際にはコロンビア産に酷似しているということになります。この信用度の違いが研究においてとても重要とのことでした。
Wimさんのレクチャーを終えると今度はラボを見学させていただきました。
普通は関係者以外は入れない領域ですので写真撮影どころか荷物を持っていくこともできません。
スマホも含めたすべての荷物を部屋に置き、スタッフオンリーと書かれたドアのロックを外してもらって入室です。
先ずは最初に案内されたのはダイヤモンドグレーディング室でした。そこでは複数の専用の機器でカットグレードやカラーを計測しています。また、沢山の顕微鏡があり、大勢のグレーダーがクラリティーのグレーディング及びプロッティング(キズの形状・場所の記録)を行っていました。
次は研究室です。
現在の宝石の研究においてはいくつもの専門的な機器が不可欠です。
この研究室には数百万~桁が一つ増える機材まで沢山の機材が所狭しと配置されていました。
また、前述の290,000点以上あるというサンプル収納場所をみせて頂き管理方法も説明いただきました。
研究室を後にし、最後はスクールを案内していただきました。
新しいビルで内装も綺麗、さらには高層階にあるため窓からの眺めも良く非常に快適です。
廊下には本棚がおしゃれに設置され世界各国の宝石関係の書籍がならんでいます。その中にはSUWAブランドで有名な諏訪恭一さんの本もありました。(ちなみに諏訪さんは日本人初のGIA-G.G.取得者です)
GIAに通っていた当時を思い出すと、朝から晩まで小さな石たちとにらめっこをするため、息が詰まりそうになったものです。こういう環境ならもっと捗っていたと思います。
GIAバンコクのスクールの特徴としては入学者は世界各国、本校があるアメリカからも来ているそうです。
その理由は、タイは宝石の加工が盛んなため世界中から宝石が集まり取引がされています。GIAで学びながら現場でも学べ、常に宝石に触れることができるから、本気で勉強したい人には最高の環境だとのことです。
とても良い環境にあるGIAバンコクへの日本からの入学を大歓迎しますとのことでした。

参加者全員にお土産を頂きました
2025年05月09日
鴫原質店の弟さんです。
個人的には興味深い「昭和天皇90周年 公式記念貨幣」という品物を譲って頂きました。
戦後を境に日本では、文化や思想や社会制度や教育、そして高度成長や近代化などなど、様々な事が大きく変化していく激変の時代であり、その時の年号が正に昭和でした(←生きてる訳でないので、文字で学べる程度の知識しかありませんが!)。令和の年号になった今、「昭和」の時代に興味を抱く若者はとても少ないのも事実ですが、昭和の時代を節目で祝うこのような記念品はとても多く、継続して製造され続けている事には、もしかして何か大きな意味があるのか?と考えてしまいます。そして来年には、多分ですが、100周年記念として色々でてきそう(←個人的な推測!)。
意味も無く「昭和」を語ってしまいましたが、この品物の付属品に、保管状態がとてもいい切手がついてます。
昭和天皇が即位した1928年11月10日に発行された記念切手で、記載がある通り「昭和大礼記念切手」というもの。画像にある1銭5厘と3銭の他、6銭と10銭が発行されたみたい。「1厘」を千個集めると1円、「1銭」を100個集めると1円になるという、既に消滅した日本の通貨単位ですが、通貨について書く事も多いのでこの件は前も書いた事ありそうかな。当時の通貨単位である「厘」や「銭」が歴史的な標本になってる現状を見て、「円」という通貨は今後どのようになるのか、いつも考えさせられます。通貨の切下げや切上げ、デノミやデフォルトなど、世界を眺めれば最近でもおきてるし、通貨価値が不変なんてことは無さそうです。
厳重な木箱の蓋を開けるとこんな感じ。
金貨と銀貨が2枚あるけど、表面に透明素材の何かで蓋がしてあり、左下の方に光が反射して私の指が見えてて、なんか心霊写真見たい(笑)。取り合えず、この子達を鑑賞する為にも、この丁寧な梱包をこじ開けてやる事にしました。なんか画像がちょっとボケてるね(汗)。
そして取り出したるは、超~~カッコいい~~鳳凰さま。発行年数である2016年とプルーフ証明である「.9999」が下にクッキリと確認できます。
このデザインは前に調べた事がある【高御座(たかみくら)】。昭和天皇の即位にあわせて大正2年につくられたもので、紫宸殿の奥にひっそりと実在する、いつか見てみたい貴重な憧れでもあります。「Showa Emperor」がなんかカッコいい!。そして鳳凰の描写もイケてる!。
裏面はこんな感じで、「RAINBOW’S END」(虹の終わりにある国)その名もパラオ!。ポセイドンとマーメードらしき描写の意味は分からないけど、カッコいいからグッド!。
南国の楽園として有名な国だけど、現地通貨はUSドルです。つまりこれはUS50ドルって事になるのか??。今のドルベースでこの金貨の価値は約1,700ドル位だから、通貨としては絶対使ってはいけない、金貨あるあるの奇妙なお話ですね。(※1オンス3,400ドルで計算)
銀貨のデザインはこんな感じ。
天皇様に関わる様々な貴重品に記される、象徴でもある羽根を広げて天に羽ばたく2羽の鳩(?)かな~と最初は思ったけど少し違う・・・。左と右の鳥様の目つきが違うし、右側の鳥さんの足が3本ある。という事は!、右の鳥さんは日本神話ででてくる「八咫烏(やたがらす)」で、左の鳥さんは「金鵄(きんし)」さんだろうか?。調べ始めると没頭する人間なので、この鏡のようなものについては未解明で終わろうと思います。グーグル先生を駆使しても少し時間がかかりそうで・・・本業が忙しいからちょっと手抜きします!(汗)。
裏面は金貨と同じでちょっと残念かな。
こっちは5ドルで、重さが違うと言えども、金属相場を考えるとこの銀貨は凄く高い気がする。金貨が50ドルで銀貨が5ドルなら金貨もらうよね。因みに素材価値になおすと5ドル銀貨が32ドル位(※1オンス32ドルで計算)、50ドル金貨は1,700ドル位なので、通貨価値としておかしいのは火を見るよりも明らかで、この不均衡を見る限りでは今現状の金(ゴールド)価格はバブルなのかもしれんね。
金貨と銀貨の説明書がついてたのでそのまま掲載させて頂きます。
金貨はたった500枚しか発行されていないらしい。記録に残せてラッキーかも。
事実関係はよく分かりませんが、性格が超曲がってる私はこんな部分に注目してみる。
見た目上は、パラオ共和国が昭和天皇90周年に合わせて発行してるようにみえるけど、実情として、日本側が費用を出してパラオ共和国の造幣局の許可を受け、発行してる可能性を想像してしまいました。むしろ、そういう風に書いてるようにも見えるけど、真実は如何に?。ま~そんなことはどうでもいいか。
パラオ共和国は世界地図でいうと、フィリピンの少し右側(←東って意味)にある小さな島々で構成される共和制国家。そして何故にパラオが昭和天皇の記念貨幣の発行を許可したかについて調べてみると、日本とパラオ共和国は深い歴史があるようです。背景としてパラオは第一次世界大戦後に日本の統治領となり、第二次世界大戦の敗北までそれが続いた事や、その後の継続した経済支援によりパラオ国内の発展を支援した事などを含め、様々な面で常に強調してきた日本の友好国という歴史がありました。パラオの国旗は日本の国旗の色違いのようなデザインで、それが偶然だとはとても思えず、両国間の関係を表すものなのかもしれない。天皇皇后両陛下がパラオの現地で、戦争によって亡くなられた人々を慰霊し、平和を祈念した記録が宮内庁(こちら)のページで見る事ができます。
今回はパラオ共和国の歴史を少しだけ見つめましたが、大航海時代の世界の流れに吞み込まれた過去がありました。大戦後(WWⅡ)の数十年の平和が当たり前だと思ってましたが、争いが絶えない過去の長い長い歴史を見るに、改めて「平和って大切」だと感じてしまいます。新たに始まった南アジアの紛争の早期終結を望みながら、雲の上の方々の聡明なご判断を期待し、世界の平和を祈り続けようと思います。でもさ~~、あそこの指導者って少し前に「戦などやってる場合でない!」と他国の指導者に明言してたけど(哀)、なんだかな~って感じ。私のような平民にできる事などありませんが、世界が平和でありますように!と祈り続けようと思います。
本日は以上でございます。