2021年05月01日
鴫原質店の弟さんです。
今回は長くて字ばっかりで読みずらい(>_<:)です。
数日前にロレックス114270 エクスプローラー1(M番)の質入がありました。(画像は昔の商品画像を当ててます)質入金額は60万円です。尚、同時に買取の見積として65万円をご提示させて頂きました。相場に応じて買取金額と質入金額を提示しただけでしたが、お客さんがとんでもなく驚いております。
過去にご利用頂いた履歴があり、5年ほど前に同じ品物で30万を借りて頂いた記録がありました。「同じくらい借りれればいい」という感じで来たところ、倍の額を提示されて戸惑ってしまったとの事。
「売りたくはない」という思いから品物を一時的に預ける「質入れ」というシステムにおいて、質屋側はできるだけ高い金額を借りてもらいたく、その時の相場の安全圏で金額を提示します。ただ、お客様は借入額が多くなればその分利息がかかり、60万円を借りるということに対しての不安もあるようです。
「そんなに高いならもう手放してもいい」という思いと、「思い出の時計だから手放したくないという思い」の葛藤もあったのか。結果的にやはり売ることは嫌なので、質入れで品物を預けるという選択でしたが、最後までお悩みの様子でした。
油切れの症状がありオーバーホールが必要なエクスプローラー1が「65万円か~」、というのが私の思い。時々昔話になりますが、大規模金融緩和が開始された頃から、様々な品物の相場の上昇がありました。私たちの扱うものはその影響を受けたものが多く、ブランド品全般や高級時計全般や貴金属がそれにあたります。
このエクスプローラーという時計に限定して、販売額推移を当店の商品台帳から引っ張り出してみます。物量が多く沢山扱ってきた商品なので、年ごとの最高値だけピックアップし、またギャランティーが付いているのは(保)と記します。
2009年 店頭販売¥230,000 F番
2010年 店頭販売¥240,000 F番(保)
2011年 店頭販売¥240,000 Y番(保)
2012年 店頭販売¥275,000 K番
2013年 店頭販売¥300,000 D番
2015年 店頭販売¥410,000 Y番
2016年 店頭販売¥421,000 Y番
2017年 店頭販売¥436,000 Y番(保)
2018年 店頭販売¥500,000 K番(保)
2019年 店頭販売¥525,000 D番
2020年 店頭販売¥540,000 F番(保)
2020年 ネット ¥630,900 Y番(保)
記憶に残っている事なので驚きませんが、なかなかの値上がりです。2010年頃の感覚では、保証書有と無では1万円程度の金額差だったように思いますが、今現在ロレックスのスポーツモデル全般で、保証書有と無で10万円の価格差があります。使う事のできない保証書に、この金額の価値を感じる方がいるという事実なのでしょう。10年前に中古品が24万円で買えたエクスプローラー1は、今現購入するのに70万円以上必要で、もしかしたら今後も上がっていくかもしれません。
2次流通市場では顕著に分かりますが、需要に対して供給が足りないとその物の値段が上昇します。ロレックスに限らずこの現象は多くのものでみられ、数年前から日本酒も日本のウィスキーも、スイッチなどのゲーム機でさえ同じ状況がみられます。投資的な力が加わり続けると上昇率はどんどん増えて、商品そのものを新品(定価)で買う事が難しくなります。
では「供給量を増やせば」その物を提供する方がいっぱい売れるのでより利益を出せるかというと、そうでもなさそうです。希少という品物本来の価値がなくなり、そのもの自体が定価ですら売れなくなる可能性もあります。正規代理店にいつでも人気の商品が陳列されて、お金さえあればいつでも買える状況になってしまうと、当然ですが2次流通の取り扱い金額は流通量に応じて下がっていき、結果して中古相場は大暴落いく可能性が大きいです。その結果、その品物のブランドイメージさえ崩れていくかもしれません。
相場が上がり続けた10年間でお客様から感謝されることが多かったように思います。今後10年の相場推移は想像もできませんが、下がるくらいなら上がり続けて欲しいと私は願います。売れる金額が高い物ほど、質屋にとってはありがたい質草となりますから。
本日は以上でございます。