HOME > 質屋ブログ

質屋のスタッフブログ

保証書の日付(買った日)と製造日

こんにちは。鴫原質店の弟さんです。

本日、このブログをみて頂いたお客様にかなり遠方よりご来店頂き、そしてとても高価なお品物を買って頂きました。同じタイミングで買取見積6点と質預かり見積1件があった事、通販での販売が5点あったことなど全てが重なり、スタッフ全員バタバタとして、殆どお話する事ができませんでした。この場を借りてお詫びいたします。見て頂いている方々が「知りたい事」「興味がある事」など書いていきたいので、本当は私も色々と聞いてみたかったです。ご来店ありがとうございました。

さて、本日は9月11日の更新「昔のROLEXの保証書」の最後の方に書いていたけど削除した脱線事項に関して書いて見ます。

最近の市場状況でこそ、ROLEX などの人気モデルは店頭に出したらすぐ売れるので保証書の日付が新しいものは製造が新しいと容易に想像できますが、実際にある事項を絡めて、時計を買う時に重要な点をまとめてみます。

まず最初にこの保証書から読み取れる事を考えてみます。保証書の画像保証書の画像
詳しい説明は省きますが、2002年頃に製造された商品が2003年の2月に販売されたことが分かります。製造から販売までとても速いので何の問題も起きなかったと思われます。


次にこの保証書保証書の画像保証書の画像2006年頃に製造された商品が2007年の11月に販売された事が分かります。1年ちょっとなので、これも何の問題もなさそうです。

先の2件は流通が早かった為、恐らく購入された方には何の問題もなかった例です。そしてこれから紹介する2件が、皆さんに知って頂きたい実際にある事実です。

最初がコレ。保証書の画像保証書の画像この件は以前のブログ(こちら)に詳細を書いたことがあるものです。保証書から読み取れる事は、2006年頃製造の品物が2016年に新品として販売されている事。色々と品物には問題が見られましたことがリンクのブログで書かせて頂きました。

次の保証書は当店に最近入荷したタグホイヤーの保証書に関してです。保証書の画像保証書の画像
2018年3月に新品で購入されているのが分かります。そして、この時計にはもう一つこのようなものが付属されています。保証書の画像保証書の画像
これはメーカーで修理をした時にもらえるメンテナスカードのようですね。2018年6月19日、購入から3か月後に入院したようです。修理内容は注油を目的としたオーバーホールですね。展示期間が長いのか、最初から問題があったのか、はたまた使い方が悪かったのかは分かりませんが、色々なことを想像してしまいます。

現実的な話として、製造された時計がすぐに売れる訳がありません。店頭での滞在時間は必ずあるのです。一般的に自動巻きの時計は、3年から5年に一度オーバーホールをお勧めしますというのが、雑誌などでの今の常識だと思いますが、3年から5年くらいなら店頭で新品商品として陳列されているものはあるのかもしれませんし、もしかしたら・・・・・結構あるのかも?

ロレックスのランダムシリアル化は製造年数の推測を不可能にしてしまいました。そして2015年頃から、新品を購入した時の保証期間を2年から5年に延ばされております。これは売る側と買う側にとってとてもいい調整だったと思います。購入者が安心して購入できるメンテナンス体制と、このような事もある事を購入者全員が知っていることも大切なのかもしれません。

さて、それでは中古の時計に関してはどうでしょう?お店のスタンスにより保証期間は様々で、このことが販売値段にも実は影響してきます。

当店では現状1年保証で販売させて頂いておりますが、昔は3年保証で販売していた時もありました。「何で短くしたの?」と思う方が多いはずなので解説します。単純に、新品購入時の保証が2年しかないものを、中古製品で3年間の保証をつける事はものすごい事です。悪いものを販売している訳ではなく、3年に1度オーバーホールをするのが一般的なのに、3年間の動作保証をするのですから、販売価格にオーバーホール費用1回分を上乗せしないと販売の継続などできません。要するにお客様への安心と約束を前提に数万円高く販売するのです。

これは悪い事ではありません!商品価格が高くても「この店から買う」というお客様がいるということはむしろ良い事でしかなく、そのお店の力と信用なのですから。地域密着を目指すのであれば、この販売方法がベストだと今でも思います。

ところがネット販売が主流になる現在、同じモデルの場合はより安い方から売れる傾向があります。販売店名の事を気にするお客様も確かに多いですが、よりよい条件の物を選ぶことが当たり前になり、数万円高いという事はネットショッピング上で販売する上では障害でしかなくなりました。

さらに、特にROLEX に関してはこの10年間の相場上昇により、中古で買った値段よりも売れる値段が高くなり、メンテナンスをするというよりは売って違う時計を買うという文化が新しくできたように思います。販売前の点検とメンテナンスを行い、1年間の保証で安めの価格で販売するほうが、今の市場では回転率も上がり仕事としては成り立ちやすいのではないかと思います。

ベタ打ちの記事で思うままに書いているので、話が二転三転しますが、最後に時計を買う時に一番重要なことについてのまとめです。それは間違いなく「保証」だと私は思います。中身の状態の確認をしなけれ保証などつける事はできず、またその期間の長さは、お店側が最後まで対応してくれる期間なので、もちろん長いにこしたことはありません。

中古の時計の場合は、「値段」「商品の状態」「付属品」「お店(保証)」を中心に選んで頂ければよりよいお買い物ができるかと思います。オークションサイトで「ノークレームノーリターン」という売り方もありますが、安いと思って購入してもとんでもない修理代金が待っているという事も十分あるので注意が必要ですね。

今日の文面、長すぎました(-_-:)。これから写真撮影と画像加工を頑張ります!



質屋の道具「時計の備品」

鴫原質店の弟さんです。

本日は、質屋で使うアイテムを紹介したいと思います。
最初にブログを書き始めたころ、特に書くことも見当たらないので、質屋で使っている道具の全てを一気に紹介するつもりだったのですが、珍しい道具や高価な道具が終わった頃から取り上げなくなってきました。

今後、新しい道具が入っててき紹介することもあると思いますが、既存の使用している道具をサクサクと紹介し(ブログを更新して)てひと段落させたいと思います。

本日の質屋で使うアイテムは時計の代替パーツです。


まずはこのピンから。 時計のピン時計のピン
時計のバンドやバックルを止める為に使用され、長さと太さが色々あります。一流ブランドの高級時計の場合は、それ専用のピンやネジが製造され使用されていますが、実売価格が安いものやこだわりがあまりないメーカーさんの時計では、大体このような汎用性のピンが使われています。

電池交換やベルト交換の際に、これらのパーツが腐食している場合などは、さらりと新しいパーツに変えるので結構な頻度で使用しています。

次にこのピン。 時計のピン時計のピン 時計のコマを固定するピンで、単価の安い量販モデルではこの形状のピンが大半で使われています。

最後に精密機械ネジセット。 ネジセットネジセット
ネジが古くなり腐食した場合など、ネジを回すだけで天井の工具穴が割れる事があります(ネジの回し方が悪いのではありません!)。そんなときの交換用に使重宝しています。正直言って、この交換パーツがあるのとないのでは時計を触れる覚悟が全然変わってきます。

このネジ袋には色々な長さや形と直径のものが揃っており、時にはネジ先端部分を削って丁度良いパーツに仕上げてから使うこともあります。あまり使わないものですが、本当に重宝しています。でも、50個のネジで2千円か~、いい値段ですな。

時計の備品の紹介でしたが、以前紹介したパッキンも含めると、時計には消耗品がとても多い事をご理解頂けたと思います。

時計備品の集合写真時計備品の集合写真
その為、大体の時計で使える汎用性分品が多くあり、修理やメンテナンスが簡単にできるようになってます。メーカーごとでパーツが違ったら本当に大変なことになりそうです!

因みに当店の店頭で2~3千円で綺麗めな中古の時計を売っていることがあります。結構すぐに売れてしまうので遭遇率は少ないと思いますが、外装を簡単に磨いて、このようなパーツを使ってメンテナンスをして、電池を替えて出しております。利益は私の時給を考えると全くありません。でも買っていくお客さんがいつも喜んでいること、定期的に探しに来てくれること、などもあり個人的な趣味で続けています。

以上



カルティエラニエールのサイズ変更!

鴫原質店の弟さんです。

店頭に宝石を並べるまでの私の仕事の流れですが、最初に値札を造り、傷消し(表面研磨)、バフ粉の洗い流し洗浄、油落とし洗浄、写真撮影、画像の加工、というような工程を全て終えた後、値札を商品に付けて店頭に陳列します。

本日は、写真撮影までやったのに店頭に出せない商品をご紹介。それがこちら。

ラニエールの写真ラニエールの写真

カルティエのラニエールというリングですが、面取が多く研磨作業がとても大変です。研磨機との接触面を平行にして1面ずつこまめに磨いていかないと、面の角が丸くなってしまうので、地道に磨いていく必要があります。研磨をおこなった後にバフ粉を洗浄して、目につく傷があればまた研磨するという事を繰り返す為、この指輪の研磨作業だけで30分以上かかってしまいました。

それが終わると写真撮影!マクロレンズで見て気になる傷があると、研磨粉が入ったクロスで表面をなめし、できれば肉眼では見えないようにしてあげます。マクロレンズを通して物を見ると実物の数倍大きく見えるので、研磨や掃除などは撮影時は頻繁にやっている感じがします。

写真撮影も終盤に差し掛かったとき、撮った写真をみて違和感を覚えます。それがこの2つの画像です。

違和感がある画像違和感がある画像

この品物のサイズ表記は「49」(日本でいう9号)なのに、サイズ棒にさしてみると7号しかありません。カルティエのリングで、49の表記で8号とかは結構頻繁に見てきたのですが、2号も違うものを見たことがなく「こんなのあるのかな~」と皆に問いかけてみました。

(次の瞬間)

若手スタッフM君は「偽物なんじゃないですか?」と、、、、、そして社長さんは「刻印や作りを見てもものは大丈夫だ」といいます。私は「こういうのもあるのかな~?でもお客さんは納得しなさそうだから業者売りかな?」というような話をした直後、社長さんから「サイズ変更してない?」と強烈な発想がありました。

(数秒考えました)

ラニエール、、、、、、サイズ変更なんてできる訳がない!デザイン的に無理だし、、、、など思った後、撮影した画像を一応みてみたら。

サイズ変更の証拠サイズ変更の証拠

切った跡がある・・・・・・・・・。

サイズ変更するんか! というかできるんか!
信じられん(T_T;)です。

色々手を尽くした後の検品で、店頭販売をしないという商品はバッグなどでは多いです。ポケットの中の汚れやファスナ回りのトラブルなど、パッと見て分からないものが理由だったりします。今回のこの指輪に関しては、デザインの特徴上、サイズ変更?というか指輪をぶった切ることなどできないという概念から、このつなぎ目を最初から最後まで見ることができませんでした。

お客様に売ってからでは遅いのでとても良かったですが、先入観って怖いですね。手を加えたこの品物は当店で販売することはできません。業者売りか、はたまた金塊への道筋をたどるのか、少し考えてから少しでも高く売れることを模索したいと思います。





1 2 3