2018年11月01日
鴫原質店の弟さんです。
「質屋で使うアイテム紹介」のウォッチエキスパート2。
ここまでくるのに長くなりましたが本日よりテスターを使ってみましょう。
店頭で販売している商品(停止状態)のゼンマイを20回程度巻いてからテスターにのせます。
(=ゼンマイはいっぱい巻かないという意図です)
まずはROLEXの16234という腕時計からです。
当店の提携工房でオーバーホールと外装仕上げをしてから販売しているものです。
確認するのは主に下記3つの数字とグラフ。
日差 +8秒
振り角254
片振り0.1
日差は24時間でどの程度時間がずれるかを示します。この時計は1日で8秒進みます。
振り角はテンプが反復する角度ですが、よくゼンマイを巻いた状態で280位までがよい調整のようですね。時間が経って(ゼンマイの力が弱くなって)きたときに、この振り角がある一定の数値を示さないようではゼンマイなどに異常があることが多いです。その為、ゼンマイをよく巻いた状態と一定程度巻いた状態でテスターの数値を見ることも必要です。正しいのかどうかは分かりませんが、私はゼンマイを5~10回程度巻いた時の日差や振り角なども気にします。
片振りはアンクルの往復するタイミングのズレを数値化したもの。簡単にいうと「チック タック チック タック」の間隔のズレのようなイメージで数値は低いほど良いです。
オーバーホールをして各種調整も行っておりますので何も問題はありませんね。
続きましてROLEXの216570という腕時計です。
こちらは外装仕上げをした時に内部点検及び調整をしております。
日差 +8秒
振り角267
片振り0.2
こちらも簡単に言うと点検と調整をしているので問題ありません。
本来は色々な姿勢でこの数値をみていきますが整備されている時計ですのでどの姿勢でも問題ないので省きます。
ちなみに16234のゼンマイをさらにリューズ10回転分巻き上げると下記のようになります。
振り角が理想的な数値になり、日差が+6秒になり更に安定しました。
最後に1つ、着目したい点。(気が付きました?)
この整備された2つの時計の数値やグラフが本当に似ていること。
こちらの2点の時計は当店提携の時計工房で調整されました。その工房で調整されるものは大体の場合はこのような状態と数値になってきます。技師さんの理想と考え方で時計の調整も変わります。別の工房に出すこともありますがそんな時はこれとは違う調整がされてくることもあります。ちなみにこの2機種の波形を見ると振り角に若干の違いがありますが、ゼンマイの巻き具合で少し変化する数値ですしムーブメントも違う為、全く問題視しません。
時計の内部状況を数値として確認できるこのアイテム。
時計の買取の時も販売の時も非常に重要な役割をはたしていますね。
今回は整備された状態の良いものです。
次回からは問題ありの症状をご紹介したいと思います。
時計の修理/電池交却/販売/買取は仙台の鴫原質店へ
お見積は無料ですのでお気軽にご利用下さい。
本格的な修理は専門の時計工房で技術者がおこないます。