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切り裂かれたルイヴィトンのバッグ

鴫原質店の弟さんです。

市場(業者間オークション)に参加していた時、出品されていた品物に不思議なものがありました。鋭利な切込みが入れられたルイヴィトンのバッグこちらはルイヴィトンのアマゾン(M45236)というバッグで、20年前位に爆発的に流行した知ってる方も多い品物です。バッグの名前などはどうでもいいのですが、背面から鋭利な何かでザックリと切込みを入れたような状態で、内部が完全に露出した状況でした。「何をしたらこうなるんだろ?」とその状況を意味もなく想像してしまいます。「刺された?」「刺した?」「ストレス解消?」「八つ当たり?」などか?。そもそも空想する時間が無駄だだけど・・・・・考えてしまうのは性格のせいです。

考えてみれば内部を見る事ができる貴重な機会かも。一般的な業界語で「トアル地」と呼ばれているモノグラムやダミエで使われているこの素材は、丈夫な綿素材にコーティングを加えた素材ということ。普段は表面のコーティングされている部分しか見えませんが、素材の裏をマジマジと観察する事ができます。素材の内側背面はとても細かく編込まれた丈夫な繊維質の素材(画像の左側)。触れてみるととても丈夫な素材である事が再確認できます。内張りの内側(←言い方が難しい)はザラザラとしたコルクが連想されるような素材で造られおり、湿気などにも強そうな感じですね。

向きを変えてもう1枚!(パシャリ)。断面図の画像
内ポケットまでザックリと刻まれた断面により普段みる事のない部分が観察できます。凄くどうでもいい話ではありますが、切り口を見ると数回に分けて強い力で引き裂いたという感じでしょうか。鋭利な刃物だとしても一刀両断とはいかない強度なのかもしれないですね。

そしてこのようになったバッグはいくらで競り落とされたのでしょう!?。何と最高落札価格は5千円でございます。5千円は確かに凄い金額だと思いますが、発句が千円に対して1~3千円で多くのバイヤーが声を出しており、たまたま5千円つけた方がいたという感じに見えました。内張りがベタベタで外側のダメージが大きい同じバッグが3千円で競り落とされている状況下で、刻まれたバッグが5千円というのも物珍しさへの敬意なのか?。

韓国のユーチューバーがルイヴィトンの大きなバッグを分解してトアル地を採取し、その素材を器用に利用して、ルイヴィトンの再生品のようなものを制作している動画を見た事があります。どうせ素材を取るのであれば旅行カバンのジャンク品などから大量のトアル地を採取した方が効率は良さそうなので、今回のケースでは素材集めに購入した可能性は無さそうかな。色々な立場の人々が集まる市場なので、全てを理解する事などはできませんが、この品物の使用用途を色々と考えてしまいました。未熟な私には理解できない値段ですが、正規品の中古を販売するという枠からは逸脱した値段である事は間違いなさそうで参考程度にと考えています。このバッグをもし店頭に5千円で展示しても売れる気がしないしね。

本日は以上でございます。

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