鴫原質店の弟さんです。
9月4日と5日は仙台で開催されているリサイクルショップのオークションに参加してきました。月初めに毎月開催されておりますが、2日間通して沢山の品物が売買され、私にとっても色々と勉強できるとても重要な場所です。
本日は、そのオークション会場でダイヤモンドリングとして出店されていた品物のお話です。そのお品物はこちら。2.045カラットの石がセッティングされているプラチナのリング。とても綺麗に光を反射していますが特定の角度から光を入れると白っぽく曇りのようなものがみえます。カットのされ方は非常に丁寧で、各エッジ(各面の角)もとても綺麗なものでした。
ダイヤモンドは非常に硬い鉱物でちょっとぶつけたなどでは傷つきません。その性質ゆえにダイヤモンド特有の傷のつき方があり、傷つくというより欠けるという症状がみられることがあったりします。例えば、石の表面のちょっとした傷つき方を見て、硬度が柔らかい石という判断をして、ダイヤモンドではないと断定することもありますが、この石に関してはそのような傷はありません。
また、画像でみても分かると思いますが内包物がありません。ルーペで覗いても視認できるインクルージョンはありません。光の反射が白っぽい単色のみなので、「ダイヤモンドなのか?」などと不思議に思いましたが、もしもこれがダイヤモンドだった場合は200万円以上の価値があります。
興味本位でルーペについている紫外線ライトで照らしてみました。
蛍光性なし!というかほんのりと赤色の反射が感じられます。何に反応してこういう色がでるのかは私ごときには理解できません。
その場にいた宝石屋さんに「この石って?」と聞くと、その方が事前に預かって色々な検査をしたところ「人工ダイヤモンド」だったということです。「今はやりのⅡ型ですか?」と聞いたところ「違う」という事です。「熱伝導率はどうでした?」と「弱い」と簡単な回答がありました。下見という最も重要で忙しい時間なので最低限の言葉だけの会話です。お仕事の邪魔になるのでそれ以上のことは聞けませんでした。その方の人工ダイヤという言葉だけではキュービックのような類似石なのか、それとも人口的に造られたダイヤモンドなのかは分かりませんが、これを天然のダイヤモンドとして判断して出品しているのであれば、荷主さんはものすごい大損をするはずです。
当店には機材が沢山あるので色々な検査ができますが、機材が無い店舗の場合、どういう基準で何を見て値段をつけているのだろうかと色々なことを想像してしまいました。この指輪は荷主さんがダイヤモンドとして判断してこの石にいくらかは値段をつけお客様から買ったのでしょうが、仮に鴫原質店でこの指輪の見積をした場合この類の石は値段をつけず、プラチナだけの買取値段になります。
お客さんの目線で見れば、この石がダイヤモンドかどうかなど関係ありません。自分の持ち物をより高く買ってくれるところがいいお店であり、それが例えお店の間違いであろうと関係ないのが現実です。私も複数店舗での見積もりを推奨する一人ではありますが、それはあくまでも、ダイヤモンドグレーディングの見解の違いがあるからで今回の件はそれ以前の話です。今回のように、この石をダイヤモンドとして買ってくれるお店があれば、見積もりが競合した場合に勝つ理由は全くありません。(もちろん勝とうとさえ思えませんけど)
もちろん、このようなケースが続けばそのお店は営業を続けることはできなくなると思いますが、お客さんはどんな風に当店を含む各店舗のことを見ているのかなどと色々と考えてしまいました。何にせよ、何度も書いていることですが、お見積はしっかりと出したいと思う今日この頃です。