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昔のROLEXの説明書(日付変更の注意点)

鴫原質店の弟さんです。

最近、ROLEXの付属品によく見る「時計を使う注意点の説明」の日付変更注意点について、とある事に気が付いたのでその事について。ロレックスの使用上の注意点を説明する文章日付変更の注意点について、「午前0時から午前6時を表示している時間を避けてやってね!」とだけ書いてありました。いつの頃からは知りませんが、日付変更に関する説明が変わった事を今更知ります。別にどうでもいい話ですが、5年前ですら「最近」と思ってしまう自分の時間軸は少し変なのかな~と最近考えてしまいます。

ちょっと気になったので、蔵の備品貯蔵庫から昔の説明書を4つ拾ってきました。古い4つの説明書いつの時代の説明書か分かりませんが80年代~2000年頭位の付属品だと思われます。

上の写真の左下のただの紙に印刷された使用説明書から。古い説明書の日付変更の説明分日本ロレックス株式会社サービス部と右下に書かれたこの説明書によると、日付変更に関する注意点は現在の説明に加えて日付変更点(夜の12時)を逆走した場合に日付の先送りはやめてね!って優しく教えてくれてます。私の場合「基本的に逆走はダメだよ~~」ってお客さんに伝えるので、この点に関して説明したことはありません。凄く古そうだけど、4つの取説の中では最も丁寧な説明書きのように思います。ただの紙切れですが・・・。

次に3つある説明書の一つ目。古い説明書の日付変更の説明分「午前0時から午前6時を表示している時間を避けて」って書いてない!。考えてみれば20年位前って、機械時計を持っている方でも、この話を知らない人が多かった記憶もあります。今でこそネット環境が整い、知りたいことはグーグル先生が何でも教えてくれますが、この説明書の時代は知識を得るのも一苦労の時代でした。恐らく販売してる方も余り理解していない可能性も考えられます。一つ気がづくのは、婦人用時計でリューズを回す方向が違うって書いてあるので、79174とかが造られていた1999年~2003年の保証書だと推測できます。

次に3つある説明書の二つ目。古い説明書の日付変更の説明分説明書として成り立っておらず、一体何を説明しているのか?。「日付の早送りができない時、無理にリューズを回さない」と書いてるけど、力を入れずとも回ってしまう気もします。何というか・・・やっぱり時代ですな。お店で中古品買う時、日付が全く変わらないロレックスって多かった記憶がありますし、そもそも説明すらされていない時代だったのかもしれないですね。リューズの回す方向に言及しているので、こちらも恐らく1999年~2003年の保証書と推測できます。

次に3つある説明書の三つ目。古い説明書の日付変更の説明分やっぱり「午前0時から午前6時を表示している時間を避けて」って書いてない!。「リューズを回すときひっかかる感じがしますので判ります」とカッコ書きにある部分について、確かに慣れれば分かるんですが、リューズは簡単に回ってしまうものです。この雰囲気を文章にしてるあたりに、これまた時代を感じてしまいます。

ついでに「日付の先送り」に関するルールについて。電池時計や自動巻き、高級品や100円の時計などに関係なく、日付変更機能がついてる大体の時計に適用されるルールで【PM20:00~AM4:00の時間帯に日付を変更してはいけない】というものがあり、その点について簡単(?)に書いていきます。

日付表示があるカレンダーディスクという部品の内側の突起(←三角形のやつ)を、①の部品(カレンダー車)が24時間かけて一周してカレンダーディスクを1日分(歯車一つ分)のみ回転させることで、時計の日付は変更されます。そしてまた一般的に、カレンダーを先送りする機能が腕時計にはついており、リューズを引き抜くことで②の部品(カレンダー早送り車)がカレンダーディスクの突起と接触する位置について、カレンダーの早送りをスムーズにできます。時計の日付変更機構①の部品(カレンダー車)は時計全体の歯車と連動しており、24時間かけてカレンダーディスクと接触する位置にきます。そして②の部品(カレンダー早送り車)は時計全体の部品とは連動しておらず、人為的にリューズ操作をすることでカレンダーディスクと接触します。構造や部品の形は違いますが、時計のカレンダー変更の仕組みは、多くの時計がこのシステムにより動作しております。人が関与できない「カレンダー車」と、人が関与できる「カレンダー早送り車」のどちらかにより「カレンダーディスクの歯車」を回すことができますが、歯車の位置関係によっては「カレンダー早送り車」を回す(←リューズを引き抜いて回す)だけで歯車が破損してしまう場所があります。簡単に言うと、⓵の歯車がカレンダーディスクの歯車とかみ合ってるとき、②の歯車で無理やりカレンダーの歯車を回せば、関連するどこかのパーツがダメージを受けるんですね。

そしてこのルールを破るとこんな感じになってしまいます(哀)。曲がった歯車時計内の部品の一部なので普通はみる事などできませんが、カレンダーが変わらなくなったりするのは、歯車がいかれてしまうから。一般的には「時計内の時間」が夜8時~朝4時の時間帯で、カレンダーディスクとカレンダー車が接触する位置にある為、その時間帯で「日付先送り」をすると、歯車がこんな感じになってしまいます。尚、上記の画像はウォッチライフ(HPはこちら)、WATCH COMPANY(HPはこちら)よりお借りしたものに印(〇や説明)をつけさせて頂きました。時計の構造や修理などについて色々なコンテンツがあり、とても参考になりますのでご興味があればご覧下さい。尚、最近のムーブメントはこのルールが適用されないものもあるので、その時計の構造に沿った使用方法が必要です。

部品の名前や呼び方は人によって結構違ってたりするので、上のパーツ名称が正しいかは分かりません。そして私、質屋の従業員であり時計のプロではないので、間違ってることを書いているかも(許して!)。ROLEXの説明書の話から変な方に話が飛びましたが、「ROLEXのAM0時~AM6時まで日付変更はしてはいけない」という説明に間違いは絶対に無いはずです。ただ私個人、ROLEXを20年以上使用しており、AM5時位に日付変更をやり続けてます(←習慣!)が壊れた事はありません。時計全般のルールに従っているだけなんですが、メーカー様(ロレックス)が「AM6時まで日付変更はするな」というので、本来であればやらない方がいいのかもしれませんね。説明書をちゃんと読んで、理解してから使った方がいいなと改めて思いました。説明書がまともなら・・・ですが(笑)。なんというか、たかが説明書の記載内容に関してですが、良くも悪くも時代を感じてしまう出来事でした。

本日は以上でございます。

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