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アンティーク コルム オリンポス ピラミッド(30.137.56)

鴫原質店の弟さんです。

今回はしばらく前に店頭で買取させて頂いた古い腕時計に関してのお話です。金色に革ベルトの写真これはコルム オリンポス ピラミッド(30.137.56)、本体が18金で製造されているレディースのお品物です。売って頂いたお客様が「少し前に時計屋さんで電池交換をした」と言っていたとの事。(←ここがポイント)

あまり古い時計は扱わない当店ですが、付属品があったので販売してみた次第です。(※既に販売済み)付属品の写真値札?に青いハンコが押してあり、いい感じの雰囲気を感じます。昔の値札ってこういうのが多かったんですよね。私はこういう事に突っ込むことが大好きな、超絶性格がねじ曲がった人間なので今回は色々と粗さがしをしてみたいと思いながら品物を見ていました。因みに時計の年代など知りもせず、付属品を見て「古い」と勝手に決めつけてます(汗)。

まずは保証書の裏表はこんな感じでした。保証書の表裏横にすると文字を認識するのが難しいですね。

保証書の中央部を拡大してみます。保証書の中央を拡大赤丸の部分「本書に明示した期間」とは一体なんでしょう!?。上の画像の通りこの保証書には何の記載もありません。昭和の頃ってこういうのがすごく普通です。いま時のように細かくないザックリした感じが懐かしくてうれしいですね。しかも65万円の高級時計の保証書がこんな感じという事が「ホントいい感じ~~」。

保証書の下の方にはこのような表示があります。時計の注意書き「消耗した電池を15日間以上」という文言に関して、電池の液漏れの話を言っているのだろうか?。15日には何の根拠も無さそうだけど、とにかく早く電池交換した方がいいという事を言っているのだと推測します。こういう曖昧な昭和的ニュアンスにはやはり好感が持てます。今時ってもの凄く細かいので・・・・・。

簡易的な説明書も突っ込みどころがあります。時計の説明書き精度は「月差±15秒以内・・・・・」ってすげ~雑!(笑)。こういうもの凄く適当で曖昧な感じが今時と違って素敵すぎます。そしてまた少し気になったのが、「電源には、銀電池(1.5V)を使用」という文言。お客様が電池を少し前に交換したというので電池交換の必要は無いと思いますが、銀電池(1.5V)の正体を確認しておくことにします。「月差±15秒」を可能にした信頼性の高いスイス製のムーブメントも見たいしね!。

裏蓋を開けてムーブを確認すると「みんな大好きETA社さん」のE03.001が使用されていました。これは確かに信頼性の高いスイス製のムーブメントで間違いありません。ムーブメントの拡大画像
個人的にはETAのムーブメントはとても素晴らしいと思っており、正常な状態で「±15秒」の誤差があるとはなかなか考えずらいかな。秒針がない時計だから「半年で1分位は気にしないでね」という事を表現した言葉なのかも。でもこの長針で1分は確認できそうにももないから「多少の事は気にすんな」的なノリか!?。そして散々「昭和~~」と書きましたが、もしかしたら平成生まれちゃんなのかも。内部に関しては腐食もなくとても綺麗ですし数十年前のモデルには思えない。そして眺めてたら、赤丸の部分の黒いものに気づきます。これはなんでしょうか?。

そして開けた時は気にもしなかった裏蓋の内側にその理由を発見します。インクでべたべたの裏蓋電池交換をした方がマジックか何かで記入した文字のインクがベトベトになってました。2021年11月の文字はしっかり残ってますが、中央部はインクが垂れるほどの状況です。仕事として適当過ぎる気がしますが、さすが昭和ですね!(←昭和と何にも関係ありません)。

ティッシュペーパーで裏蓋を撫でるだけでこのインクは簡単に除去できましたが何とも凄いものを見たものだ。インクを拭き立った画像インクが落ちた場所によってはムーブメントの故障に繋がるので無事で良かった。そもそも「電池とムーブメント」に興味があって時計内部を確認しましたが、こんな症状はとても稀なケースです。誰がやったかなど関係なしにこの状態のままで販売したら、売った方に責任があるのは当然の事です。例えどんなものだろうと、内部確認は絶対に必要だと再認識させられました。

ねじ曲がった性格の私が付属品をブログで紹介をする為に写真を撮り始めた結果、内部の異変に気が付いたという不思議な出来事です。もちろん販売する為にどこかのタイミングで時計内部は確認するのですが、今回は「説明書の文章からムーブメントを見たいと思った」というところは正に偶然の出来事。半分趣味のようになってきたこのブログも、たまには仕事に役立つようです!。でもふと思うと、平成元年って1989年だから、この時計は恐らく平成生まれのような気もする。私が昭和世代なので古い物のイメージを昭和って言ってるけど、時は流れて今や年号は令和の時代。私には新しいイメージがある「平成」という言葉も、そのうち古いイメージが定着していくだろうか?、などと、意味不明な事を考えてしまいます。そもそも3~40年前のものはアンティークって言わないか・・・・

本日は以上でございます。

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