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質屋の道具「ウォッチエキスパート2その5」

鴫原質店の弟さんです。

さて、本日は質屋で使うアイテム紹介。
引き続きウォッチエキスパートで時計症状のチェックのお話。
本日のテスターにかける時計は
シーマスタープラネットオーシャン コーアクシャル
型番 2201.50 です。

こちらは全所有者の申告では1年前にオーバーホールをしているということです。
早速数値を見てみましょう。

表示グラフと日差をみると調子よさそうにみえます。
着目したいところは振り角が「342」もあること。

一般的な時計だと驚きの数値で、ようするに342度の角度で時計の振り子が回っている状況。例えばそこにちょっとした動きや反動があれば、振り子が約360度回って(イメージです)、振り石がアンクルの反対側に当たって跳ね返ってしまう事象があらわれることがあります。機械時計は振り子の反復運動で歯車を進めておりますが、その時は跳ね返るその勢いが加わる為、反復運動以外の力が歯車の進み具合に影響してきます。これを振り当たりといいますが一般的には時間が進む症状があらわれます。

平らな場所においている場合は時間のズレはないけど、腕につけているときはすごく時間が進むなどの場合は振り当たりが原因のことが多いみたいですね。普通の時計なら速攻で内部点検に回して調整するところです。

話を本題に戻します。
そもそもこのオメガに搭載されているコーアクシャルという機械には大きな特徴があります。カンギ車や3つ爪アンクルなど他の時計とは違った造りで、拘束角が低く振り角が少なくても安定性があるという優れものですが、非常に最大振り角が高いという特徴があります。つまりこれがこの時計の通常の状態という事ですね。
コーアクシャルを知らなければ「何かがおかしい!」と錯覚するのが普通です。

いつもながら話が長くなりましたが、時計の構造によって情報の読み取り方が違う点が今日のポイント。クロノグラフやら何やら色々な機構の時計がありますし、そもそもにして振動数が違いますので、各機械の特徴を理解する必要がありますね。

でもこのオメガさん。
継続的な片振りのような症状が確認できるので、外装仕上げと同時に内部点検を依頼しましょう。優秀な技工士さんたちがしっかりと調整してくれるはずです。
今日はここまで。

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